会報「ゆきしろ」68号
(平成25年9月発行)
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第68号
(発行者)
社会福祉法人 富山県視覚障害者協会
〒930-0077
富山市磯部町3丁目8番8号
電話 (076)425-6761
Fax (076)425-9087
Eメール:bcb05647@nifty.com
Homepage:http://www.toyama-ssk.com
(発行責任者)
会長 中西 美雄
上の題字は 鶴木大壽 氏によるものです。
【ゆきしろ(雪代)の意味】
雪国にあって、大地が春の雪原と接する部分で静かに融けはじめ、しずくとなり、やがてかすかな流れをつくり、それが集まって春のはじめの雪どけ水となって音をたてて大河に注ぐ様を、古くから俳句における春の季語として「雪代(ユキシロ)」とよばれています。
当協会が、このしずくが集まって大河をつくるように大きく発展していくよう、願いを込めて命名いたしました。
【ゆきしろ68号 目次】
◆巻頭言 会長 中西 美雄
《大会参加報告》
◆平成24年度日盲連北信越ブロック会議
★1.代表者会議 総務部長 布尾 英二
★2.青年部協議会 青年部長 濱野 昌幸
★3.女性部研修会・協議会 女性部長 柳田 信子
◆第40回北信越グランドソフトボール大会 高橋 克人
◆北信越東海ブロック代表決定戦 高橋 克人
◆第66回全国盲人福祉大会〈福井大会〉
会長 中西 美雄、副会長 塘添 誠次、副会長 堀 惠一
★第1日目(6月21日 金曜日)
★第2日目(6月22日 土曜日)
1 生活分科会(塘添)
2 バリアフリー分科会(中西)
3 職業分科会(堀)
★第3日目(6月23日 日曜日)
◆障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 塘添 誠次
《事業報告》
◆理事会・評議員会・定期会員総会 総務部長 布尾 英二
◆別表 平成25年度役員担当専門部及び業務内容・担当事業
◆三療部会だより 富山支部 藤井 清隆
《みんなの広場》
◆知ってください盲ろうについて 富山盲ろう者友の会 九曜 弘次郎
◆グランドソフトボール観戦記 ひまわりの会 永長 陽子
◆第66回全国盲人福祉大会 福井大会に参加して 高島 ヒサ子
《事務局から》
◆消息、訃報
◆時事暦
◆平成25年度後期 主な行事予定
◆《編集後記》 文化部長 上坂 敏彦
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《巻頭言》
◆さらなるバリアフリーを目指して
会長 中西 美雄(なかにし よしお)
昨年12月に誕生した安倍内閣も早半年が過ぎました。この間においてアベノミクスという言葉が先走りしているように思います。確かに株価は倍増し、円も100円を超えるまで下がり、輸出産業は莫大な利益を上げています。
反面、輸入産業は原材料の高騰と円安により大打撃を受けています。一方我々の生活はどうだろうか。ガソリン高、灯油高、輸入食品の高騰などにより物価は急カーブで上がっています。この上に2パーセント上昇の物価水準を行なうとなれば消費者物価は3パーセントにも4パーセントにも上がらないとは限りません。
これからは、内需を拡大し景気を改善させるといいますが、給与は上がるのでしょうか?患者は増えるのでしょうか?治療費は?
去る2月に開催いたしました「北信越ブロック会議」も100名を越えるご参加をいただきまして、大成功のうちに終わることができました。また、5月の「北信越グランドソフトボール大会」も、富山県グランドソフトボールチームが優勝するという最高の結果を得ることができ、選手団応援団と共に喜びを分かち合ったところです。その後、東海地区優勝者と「第13回全国障害者スポーツ大会」への派遣をかけて愛知県チームと戦いましたが、残念ながら東京行きの切符を手にすることはできませんでした。
今年は、日盲連の竹下会長と2度も会合を持つことができました。1度目は北信越大会のときでした。竹下会長は、石川県出身で同じ北陸ということで話も進みました。富山県のみならず地方都市が抱えている多くの問題を解決するためにがんばって行くとの強いメッセージを受け取ることができました。2度目は6月の富山フォーラムの講師として来県されたときで、自営の視覚障害三療業者にも同行援護やヒューマンアシスタント制度が利用できるようにしたい、道路運送法を改正し同行援護時のガイドヘルパーが運転する車に同乗できるようにしたいなどと率直な意見を聞かせていただきました。
このことは、昨年の「富山県への要望事項」にも載せてあります。また、6月9日に開催しました「定期会員総会」に来賓としてご出席いただきました野上参議院議員(本会顧問)は、国土交通省の委員会に所属しておられるとのことで、早速「法改正をし、ガイドヘルパーが運転する車での同行援護が行なわれるようにしてほしい」とお願いをしました。そして、これらの実現を目指して協会が一丸となって運動を展開して行かなければならないものと思っています。
私は去る4月の理事会において三期目の会長という役職を賜ることとなりました。行動力においても、知力においても、財力においても人並み以下の人間です。そんな者が「協会の長として6年も時間を費やしていいのだろうか」といつも考えています。それでも選ばれたのです。選ばれた以上は精一杯背伸びをして、あと2年を全力で働かせていただければと思っています。皆様の更なるご協力とご支援をお願いいたします。
《大会参加報告》
◆平成24年度 日盲連北信越ブロック会議
1 代表者会議
総務部 部長 布尾 英二(ぬのお えいじ)
平成24年度の北信越ブロック会議(代表者会議、青年部協議会、女性部協議会・研修会)は、本県の当番で、平成25年2月16日(土)・17日(日)に富山市婦中町の「いこいの村 磯波風」を会場に開催した。参加者は、北信越5県から付き添いを含め代表者会議に33名、青年部協議会に11名、女性部協議会に69名、総計113名で、当日は、小雪が降る寒い日となったが、大雪とはならず関係者一同安堵して会議を進めた。
この参加報告では、私が出席した代表者会議を中心に報告したい。
1.開会式
開会式は、1時半より、別館3階大ホールで行われ、白口務厚生部部長の司会により開始し、開催県を代表して、中西美雄本会会長が「雪の降る中の来県を感謝し、実り多い充実した会議になることを期待します」と挨拶を述べた。その後、北信越ブロック長の小山尊福井県会長の挨拶、来賓の助野吉昭富山県厚生部障害福祉課長の祝辞、そして竹下義樹日盲連会長の挨拶、各県会長より挨拶をいただき終了した。
2.代表者会議
本館4階ホールで行われた代表者会議では、竹下日盲連会長にも出席していただき、司会は私が担当し、33名の出席により会議を進めた。
はじめに中西会長の挨拶の後、参加者の自己紹介を行った。続いて、竹下日盲連会長の挨拶、次に小山北信越ブロック長の挨拶があり、その中で、今年6月に福井県で日盲連全国大会を開催するので、是非、参加してほしいとの要請があった。
報告としては、はじめに、日盲連理事会報告を小山ブロック長からいただき、日盲連会長に竹下義樹氏(石川県出身)を選出した経緯や厚労省への陳情についても、述べられた。次に日盲連あはき協議会については、田村陸男長野県理事長より、特に①有資格者の研修の充実の必要性 ②介護保険の訪問マッサージの問題の2点が協議されたと報告された。また、日盲連総合企画審議会については、松永秀夫新潟県理事長より①日盲連千葉大会で採択された要望事項のまとめ ②平成25年度の運営方針の検討を行ったと報告された。
議事に移り、塘添誠次・堀惠一両副会長が議長・副議長に選出され、協議が行われた。以下その確認された内容の概要を述べたい。
(1)全国大会提出議題について
新潟県提出・・・視覚障害者の就労の場を拡大してほしい。
富山県提出・・・同行援護のガイドヘルパーの運転する車での移動時間を利用量に算定してほしい。
(2)「光の泉賞」候補者推薦について
富山県射水市 大谷 あさ子 ※ブロック会議開催県から推薦
(3)女性部研修会の継続について
代表者会議の総意として「女性部研修会を継続してほしい」と決議し、女性部に要請する。
(4)平成25年度全国盲人福祉大会について
平成25年6月21日(金)~23日(日)福井県で第66回全国盲人福祉大会が開催され、理事会・評議員会・代表者会議・研修会・全体会・分科会・懇親会及び大会式典が行われるとの説明があった。
(5)次年度ブロック会議について
平成25年度のブロック会議は、新潟県が当番県であることが確認された。
(6)東洋試験財団共催の生涯研修会について
小山ブロック長より「同財団共催の生涯研修会の申請をしてはどうか」の緊急提案があり、あん摩・はり・きゅう師の研修の必要性についても話し合われた。
(7)各県情報交換
福井県・・・全国大会準備をしている。盲人ホームの充実・活動センターの充実・グループホームの課題。
長野県・・・協会加入者の減少。弱視者の加入を勧誘。同行援護の障害保険の加入の問題など。
新潟県・・・会員数の減少で対策を検討。
石川県・・・公共施設の音声案内装置の設置の促進。
富山県・・・同行援護事業の地域間格差問題への対策。銀行の窓口代筆については、理解が拡大。
なお、青年部協議会及び女性部協議会は、この代表者会議と同じ時間帯に行われた。
3.懇親会
16日(土)の18時より、別館3階ホールにおいて山内正一副会長の司会により、懇親会が開かれた。ここでは、山内副会長のユーモアたっぷりの司会により、会場はおおいに盛り上がり、各県からの出し物もあってなごやかに交流の輪が広がった。
4.講演会
2日目の9時15分から別館3階大ホールにおいて上坂文化部部長の司会で、講演会が開かれた。演題は、「最近の中央情勢」。講師は、竹下義樹日盲連会長であり、参加会員は、直接日盲連会長からホットな話題が聞けると大ホールに集まった。
竹下会長は、石川県立盲学校、京都府立盲学校を経て、龍谷大学法学部を卒業され、司法試験に全国で最初に点字受験し、合格されたそうです。現在は、京都の弁護士会に所属し、事務所を開いておられると紹介があった。竹下会長は、日盲連副会長を6年間笹川前会長と共に活動してこられました。
中央情勢については、いくつもの当面する課題についてその取組みと、今後の方向性について述べられた。
その中で、平成25年4月1日から施行されることになった「障害者総合支援法」は、障害者制度改革推進会議総合福祉部会の出した骨格提言が十分に盛り込まれていないことが問題となっている。また、平成23年10月より施行された同行援護事業については、全国各地で地域間格差の問題がクローズアップされています。特に、地方のバス路線の少ないところに問題があり、法的観点から取り組んでいきたいと述べられた。
国連障害者の権利に関する条約の批准については、国内法の整備がまだ不十分である。これに関しては、障害者虐待防止法が、昨年10月に施行されたが、実際の活用状況を見守る必要がある。また、障害者差別禁止法は、全国各県の取り組みもあり、ほぼ検討が終わり、今国会で成立の見通しであると述べられた。
その他、あん摩・はり・きゅう師の無資格業者の問題、視覚障害者の職域の拡大・就労支援の問題、災害時避難の問題など、多くの課題についてもふれられた。
5.全体会
講演会終了後、安田庄内施設部部長の司会で各会議報告が行われた。
報告者は、代表者会議については布尾が行い、青年部協議会は、濱野昌幸青年部部長、女性部協議会は、柳田信子女性部部長がそれぞれ協議概要を述べた。
6.閉会式
引き続き閉会式が行われ、主催県を代表して、中西会長から、参加会員への感謝を込めた挨拶があった。次いで、次期開催県を代表して松永秀夫新潟県視覚障害者福祉協会理事長から挨拶をいただいた。松永理事長は、今回の富山での会議開催への感謝を述べると共に来年2月に開かれる新潟でのブロック会議への参加を要請した。終わりに、堀惠一副会長が参加者への感謝の言葉を述べ閉会した。
100名を越える参加者での北信越ブロック会議は、当面する北信越5県の課題を話し合い、会員相互の友情と絆を深め貴重な体験となった。
2 青年部協議会
青年部 部長 濱野 昌幸(はまの まさゆき)
今年の青年部協議会では各県青年部のマネジメントについて勉強してみました。少し前からアニメや映画で有名になったピーター・ドラッカーによるマネジメントですが、職場での目標管理としては、それ以前から取り入れられていました。我々の青年部においても根拠に基づいた目標を持つことは大切と考え、このテーマにしました。
まず、目標はとてもシビアに検討します。アクシデントがなければ実現可能で、具体的でなくては役に立ちません。よって「青年部員を30人増やす」とか、「楽しい青年部にする」などはNGです。したがって、目標を達成するための手順もすべて実現可能で具体的でなくてはなりません。
このルールで各県の代表のかたに2013年度の目標を立ててもらいました。
・富山県 ネットショッピングの講習会を開く
・石川県 介助者同伴での買い物ツアーの実施
・福井県 女子大生同伴ハイキングの実施
・新潟県 青年部再結成のための人集め宴会
各県共通して若い人不足で苦しい現状ではありますが、何とかしようという気持ちは強く、このような目標になりました。この中からいくつの目標が達成されるのか、来年のブロック会議が楽しみです。
最後に、本来ならこのマネジメントはもっと複雑で、考えなければいけないこともたくさんあります。マスターするためには長期の研修とロレックスが買えるくらいのお金がかかります。それを2時間で頑張ってくれた参加者の皆さんに講師役として感謝します。
3 女性部研修会・協議会
女性部 部長 柳田 信子(やなぎだ のぶこ)
午後2時30分から会員とボランティアを含め、80名の沢山の参加者のもとで、女性部研修会が行われました。今回は、「女性部活動に参加して得たこと・思ったこと」のテーマで各県5名の代表者の発表が行われました。
1.新潟県
女性部活動として、編み物教室に参加しています。いろいろな物を作ってそれを展示してその収益を寄付活動としています。また、バスハイクでいろいろな場所へ出かけて、沢山の方々とふれあい、沢山の勇気をもらって毎日の生活に役立てています。
2.長野県
長野県は3区に分かれておりまして、活動としては、うどん作りや健康問題を考えて血圧測定をしたり、骨密度を検査したりといろいろなことを教えてもらっています。和気靄靄とした中で女性部活動を行っています。また、全国盲女性大会にも積極的に参加していろいろな講演を聴き、自分自身に沢山の勇気とパワーをもらっています。大会後の旅行も楽しんでいます。
3.福井県
女性部活動に参加して先輩の方などからいろいろな話を聴いたりみんなでおいしいものを食べたりして、和気靄靄と行っています。自分の世界が大きく広がり、心も豊かになっていきました。また、地元では、男女共同参画ネットワークに参加して地域のなかで協力しあって皆さんと活動を行っています。
4.石川県
中途失明で視覚障害者になって、気持ちも真っ暗になっていた時、女性部に入会しました。しばらくして全国盲女性大会に参加した時、大会ではみなさんが活発にいろいろなことをしておられることを目の当たりにしてびっくりしました。石川県の女性部部長をしていた期間に全国で積極的に活動をしておられる方々と友達になれたことがほんとうに自分の宝であり有り難くてうれしく思っております。これからも、女性部活動の中、皆で助け合ってお互いの経験を話し合い、すばらしい活動が出来るようにしていきたいと思います。
5.富山県
女性部に入会したきっかけは、障害者事業所の販売を手伝っていたとき、長く販売していくなかで、いつも同じ商品ばかりなのが気になり何かほかにないのかなぁ、と思ったとき、女性部で手芸を教えてもらえることを知り入会しました。そして料理も習いました。同時に仕事もしていましたので、職場での人間関係のストレスが大きくなり、女性部活動に参加することで職場のストレス解消と、またあしたからの仕事の元気をもらっていました。これからも楽しく女性部活動をやっていけたらいいなぁと思っています。
各県の発表の後、フロアディスカッションが行われました。日ごろ、自分達が生活していくためのいろいろな話題や質問が活発に行われ、実りある有意義な研修会となりました。
5時から、同じ会場で協議会を行いました。最初に出席者の自己紹介と各県の現状報告を行い、社会現象と同じで、女性部会員の高齢化、また若い会員の入会が少ないために、全体会員数が減少していることが問題となっております。
次に各県の提出議題を協議しました。今回は「視覚障害者が入院する際に病院内でも今まで使っていたホームヘルパーを利用できるようにしてほしい」「同行援護制度の地域格差、事業所格差をなくしてほしい」と2題を要望することに決定しました。
それから8月に行われます、全国盲女性大会のレポート発表テーマを、「明るく老後を過ごすためには」を北信越ブロックからの提出と決めました。
最後に、昨年の協議会で提案されました、女性部研修会を取りやめたほうがいいのではないかという案について長時間をかけて話し合いをした結果、引き続き研修会を行うことに決定しました。これからの研修会は、女性部だけではなく、もっと底辺を広げて会員全員で行って欲しいと改めて提案しました。
今回は、富山県が当番県であったことで、多くの会員の皆さんに参加していただきましてありがとうございました。また今回は、今までの北信越ブロック女性部研修会の有様を考える分岐点になったのではないかと思っております。
◆第40回北信越グランドソフトボール大会
グランドソフトボール部主将 高橋 克人(たかはし かつひと)
第40回北信越グランドソフトボール大会が二年振りに富山県で開催になりました。
昨年、長野大会において三位入賞する事ができましたが、初戦で負けてしまい悔しい一年間でありました。初戦の相手は、昨年負けた石川県。試合は8対2で勝利しリベンジを果たす事ができました。
決勝戦の相手は長野県。先制点を取られたものの少ないチャンスをものにし、2点を取り逆転、柳沼投手も長野打線から14奪三振を奪う好投で試合終了、そして北信越大会で優勝する事ができました。
試合を最後まで応援していただいた皆さんのパワーにより優勝する事ができたと感謝しています。本当にありがとうございました。
◆北信越東海ブロック代表決定戦
グランドソフトボール部主将 高橋 克人(たかはし かつひと)
グランドソフトボール北信越東海ブロック代表決定戦が名古屋であり、愛知県チームと対戦しました。北信越大会から三週間万全の態勢で臨んだ訳ですが、ヒットはでるものの得点に結びつかず、反対にちょっとしたミスが相手に得点を与えるという展開になってしまい終わってみれば走攻守すべてにおいて上回っていた愛知県チームに勝利する事ができず、全国大会出場は、夢となりましたが、北信越大会より応援していただきました皆さん本当にありがとうございました。
◆第66回全国盲人福祉大会<福井大会>
会 長 中西 美雄(なかにし よしお)
副会長 塘添 誠次(とうぞえ せいじ)
副会長 堀 惠一(ほり けいいち)
大会は、平成25年6月21日(金)~6月23日(日)の三日間に渡り、福井県のグランディア芳泉(芦原温泉)とサンドーム福井(鯖江市)を会場に、全国から約2千人が参加し、「曹洞宗大本山永平寺、また、コシヒカリ発祥の地、ここ福井において全国の視覚障害者が一堂に会し、私たちを取り巻く諸問題について論議し、自立と社会参加の実現を目指す」を目的として開催されました。
6月21日、特急サンダーバードで中西会長、堀副会長夫妻、宮田所長、吉野さんと塘添の6人が先発し、会議の行われる芦原温泉にあるグランディア芳泉に向かい午後からの会議に出席しました。
★第1日目(6月21日 金曜日)
1 評議員会(中西)
13時から5階のグランディアホールにて、評議員総数64名中58名の出席をもって開催された。
挨拶で竹下会長は、この大会を開催してくれた福井県視障協のご苦労に対してねぎらいの言葉を述べられた後、国の動きとして6月13日に「障害者雇用促進法の改正案」が成立したこと。この法律では、民間企業を含む全ての雇用主に障害者差別と合理的配慮が法的義務として位置づけられ、障害者の職域の拡大や職場環境が改善されることが期待されること。又、6月19日には「障害者差別解消推進法」が成立したこと。この法律では合理的配慮について、民間事業主に対しては努力義務(雇用面では法的義務、サービス面では努力義務)としている。が、3年後の施行までに策定される指針の中へ、日盲連の意見が組み込まれるように努力していきたい。そして、「障害者権利条約」の批准に向けて、他団体とも協力しながら我々の権利擁護に努めていきたい」と述べられた。
続いて岐阜県の清水和弘氏と北九州市の野村秀則氏を議長に選び、議事に入った。
第1号議案の平成24年度事業報告では、福島県へおしゃべり線量計を送ったことが新規事業として目を引きました。
質疑応答では、
Q:視覚障害者が使いやすい新商品の開発をメーカーに要望していますか?
A:地デジラジオがその代表的なものでしょうか。他には、カセットテープレコーダーのように簡単に使えるCDプレーヤーの製作をお願いしています。皆様からの要望を用具部の方までお寄せいただければ対処できる体制になっています。
⇒採決の結果56名の賛成で承認された。
第2号議案である平成24年度決算報告では、総収入が5億円あまりと本県の10倍あまりで全国組織として比較すると驚くほどのものではなさそうに思う。
質疑応答では、
Q:総予算が5億円あまりなので、その1割の5千万円以上の繰越金をあげてほしい。もっと儲けてほしい。
A:日盲連の収入の多くは自治体からの補助金や委託金であるので、そうはいかない。ただ、収益事業(用具販売など)で利益をあげなければならないのであるが、思うようにいっていない。
Q:総職員の数は?
A:現在40名が正職員で、10名ほどがパート職員である。
Q:退職金の積み立ては日盲連独自でやっているようであるが、なぜ公的の共済に入らないのか?
A:社会福祉団体が入れる国の「退職年金積立共済」に入っていなかったことが、日盲連の失敗であった。現在の職員がそれに入れるものではないけれども、新しく採用する職員からはそのようにしたい。
⇒採決の結果、58名の賛成があり、承認された。
報告事項として、仙台市の高橋会長から「災害語り部派遣事業」について説明があった。それによると、「宮城県、岩手県、福島県、仙台市の4団体が東日本大震災の体験を広く伝え、災害時の避難誘導に役立ててもらうことと、歳月が経ってもこの教訓を風化させることなく、今後の視覚障害者の防災・減災に役立てていきたいという思いから、語り部を組織し、各団体からの要請にこたえていくプロジェクトを立ち上げた」との説明があり、評議員会を終了した。
2 スポーツ協議会(塘添)
議事に入る前に、昨年の全国障害者スポーツ大会のグランドソフトボールで優勝した山梨県チームに優勝旗と賞状が手渡された後、「第8回通信競技大会」の1位から3位の入賞者27名が発表され、表彰式に移りました。
対象競技は、昨年度までは陸上の50メートル音競走と100メートル走、水泳の50メートル自由形でしたが、今年度から陸上の立幅跳と幅跳が追加されました。
富山県の入賞者は、陸上は、「男子50m音競走2部」塘添誠次3位、「男子100m走1部」中島剛司(なかしまたかし)1位、「同2部」直井典夫(なおいのりお)2位、「女子100m走1部」椎名孝子(しいなたかこ)1位、「男子立幅跳2部」塘添誠次(とうぞえせいじ)3位、「女子立幅跳1部」加藤璃乃(かとうりの)1位、「男子走幅跳2部」直井典夫1位。水泳は、「全盲女子50m自由型1部」加藤璃乃1位でした。
尚、この競技は平成24年9月~同25年1月の募集に、8団体から37名の参加しかなく、少し物足りない気がします。来年度からはもっと多くの団体からエントリーして欲しいものだと思います。
引き続き議事に移り、慣例により議長は開催地の福井県、副議長は九州ブロックの代表(次期開催地の大分県の人が欠席のため)が選出されました。
資格審査では、61団体中出席42名、委任状7名、欠席12名で過半数以上の出席があり、会議の成立が伝えられ議事に入りました。
議事では、平成24年度事業報告、同決算報告、監査報告、平成25年度事業計画(案)、同予算(案)が提出され、活発な討議が行われ承認されました。以下は、その質疑内容(一部)です。
質疑応答では、
Q:通信競技大会の対象競技種目に、水泳の25メートルを加えていただけませんか?
A:今回若干種目を増やしましたが、どこまで拡大すればよいかは検討したいと思います。
Q:通信競技大会には、各都道府県で開催される障害者スポーツ大会の予選会以外の競技大会でも参加できるのですか?
A:しっかりとした記録が測定できた大会であれば参加できます。
Q:視覚障害者ができるスポーツ競技が色々あるようですが、知らない競技については、このスポーツ協議会に問い合わせすれば教えていただけるのでしょうか?
A:多くの競技があるので、全てを網羅するのは難しい。どのようなスポーツであるのかについては、インターネットで調べていただいた方が早いと思います。
(この回答に対し、竹下会長は、「執行部の回答は不親切である。卑しくも日本の視覚障害者を代表する日盲連のスポーツを束ねている組織としては、新たなスポーツ競技が発生したら、調べに調べて情報ぐらいつかんでおいて、質問があったときは、きちんと答えられるぐらいの準備をしなければならない」とコメントされました)
Q:平成24年度の決算の数値に一部合わない箇所があるのですがいかがでしょうか?
A:修正して再度各団体に資料を送付します。
(実は、昨年も同様に数値の誤りがありました。これに対し、竹下会長は、「法人の一組織としては、お粗末過ぎる。間違いのないものを資料として出さなければならない」とコメントされました)
Q:グランドソフトボールが、全国障害者スポーツ大会の競技種目からはずされるという噂を聞いたのですが、本当ですか?
A:来年の長崎、その次の和歌山までは間違いなくあります。正式な場で、そのような話は出ていません。
Q:昨年の役員改選において、鈴木副会長が顧問になったことにより、日盲連の理事が不在になったことに対し、役員の任命を日盲連の本部にお願いするということになっていました。どのようになりましたか?
A:本部と話し合った結果、確かに規約の中に日盲連の理事から役員を一人選ぶことになっています。しかし、もうその必要性がないほどのスポーツ協議会になっているのではないか。そこで、規約を改正することも含めて執行部に任せていただきたい。(竹下会長から「法人であるから顧問も役員である」というコメントあり)
以上ですが、他に、今年から障害者スポーツ大会の競技種目として、ボウリングがオープン参加となり、来年の長崎大会から正式種目になるとのことでした。
3 あはき協議会(堀)
今回は、中西会長と堀が出席しました。15時15分に開会し、時任(ときとう)常任委員の開会の挨拶に続き、小川協議会長より「あはき業を取り巻く環境には、いろいろな難しい多くの問題があるが、視覚障害者にとって職業的自立の中心となるのはやはりあはき業である。安定した就労ができるように、昨年8月に立ち上げたあはき問題戦略会議なども併せて鋭意努力しているが、中央と地方が一体になって進めていきたいので宜しくお願いしたい」と挨拶がありました。
次いで竹下日盲連会長から「視覚障害者の職業にはいろいろ言われるが、何といってもあはきは現時点では天職であり、単に守るという姿勢ではなく、しっかりとした職域の基盤をつくるという攻めの姿勢で日盲連会長として取り組んでいきたい」と力強く挨拶されました。
議長に東京都の笹原さんを選出し、議事録署名人に静岡県の佐藤さん、三重県の内田さんを選び議題に移りました。
まず1号議案の平成24年度事業報告、決算、監査報告があり、数件の質疑の後、51名の挙手にて承認されました。
次いで2号議案の平成25年度事業計画、予算案について審議され、56名の挙手にて承認されました。
以下に、主な内容を書きます。
1.小川会長からの報告
①無資格者との区別化を図るため、NTTの電話帳(タウンページ)には有資格者を分けて掲載することが決まった。
②厚生労働大臣免許を「厚生大臣あん摩マッサージ指圧師○○」と広告できるようになったので、皆さんに伝えていただきたい。又、他の広告制限についても取り組んでいきたい。
③あはきプロジェクトとして出された8項目の課題提言についても、あはき問題戦略会議において取り組んでいる。そして、最大の課題である無資格者の温床となっている昭和35年の最高裁判決、その後の医務局長通達についても憲法学者さんにも加わってもらい、勉強会を始めた。
④柔整問題についても、会計検査院及び厚労省と話合いをもって進めている。
⑤就労問題についても、会長にいろいろな会議の機会に話してもらっていますが、同行援護の通勤時のガイド、自営業者にも支援の手が向けられるように、ヒューマンアシスタント制度がもっと広がるように進めている。
2.憲法学者松本教授(同志社大学)の話の内容についての質問に答えて
竹下会長:無資格者問題の解決に向けて、昭和35年の最高裁判決について、憲法学者及び弁護士を交えて検討を進め、裁判闘争が組めるのかも含めて35年判決の読み方に問題がなかったか、医務局長通達による医療類似行為の定義を取り崩すことができないかを手を付け始めたところである。
そして、参議院選の後の社会保障審議会保険医療部会において、このことについては、はり灸マッサージ療養費制度検討委員会で検討しましょうという段階までやっときた。
最高裁には15人の裁判官がいて、8人以上の人が賛成したものが多数意見となるが、35年判決では多数意見は、施術を受けた人に危険がなく、害が及ばなければ、それは医療類似行為とはならない。それに対し、少数意見にはいろいろあったが、害が及ばなくても医療類似行為になるという判断であった。
松本教授の意見は、多数意見には問題はないが、それが無免許者を取り締まれない理由にはならず、それらの行為を認めるものではないというものであった。
しかし、竹下会長、藤井理教連会長は多数意見はおかしいという考えで、無免許者は判決を逆手にとっているのではなく、医務局長通達を逆手にとっていると考えている。即ち医療類似行為というのは、それを行うことによって身体に具体的な危険が及ぶ場合は制限されるが、それがない場合には免許がなくても構わないのだと。医療類似行為の範囲に入らないのだと解釈していると。危険か危険でないか言っていたら不安定だ。もともと医療類似行為というのは、身体に生理的に変化を与えるものだ、そういう影響があるものだから免許にしているのだ。
3.診療報酬におけるマッサージの点数の復活を。署名運動を。
4.あはきの保険取扱が増えるように。
現在、日マ会を通して各県で保険申請の代行を行っているが、月に1400から1500件程度で1500万円ぐらい取り扱っている。視覚障害者は6割程度で、前年比12%増である。
5.中西会長から竹下会長の挨拶に対し「あはき業の自営業者の介助にヒューマンアシスタントを派遣できるようにしてほしい。それが可能になると、保険の申請も十分に増えると思われるので、是非実現していただきたい」という要望が出されました。
その要望に対して、竹下会長から「大変重要な課題で、雇用の場合、アシスタントはありますよね。病院で勤務していても不十分ではあるが、ヒューマンアシスタントは使える。しかし、自営業という形式では使えない。そこで、視覚障害がある者が鍼灸マッサージで職業的に自立を図るには、当然職場介助者が必要であるという本質はなんら変わらない。そのことをなんとしても実現しなければと、国の審議会で強調してきました」と答えられました。
更に、「同行援護が通勤は駄目で、琴の先生や鍼灸マッサージ師が出張治療では営業活動ということで使えない。これは視覚障害者の自立という点から成り立たないと強調している。今後どういうシステムになるかは分からないが、検討していくということにはなってきている」と述べられました。
6.日マ会とあはき協議会が一体となって、実技の研修に力を入れて、あれこれいう前に資質の向上が大切なのではないか。盲学校で実技を軽視する傾向がある。実技を重視した教育を望む。などの意見も出されました。
最後に、3号議案として「プリンターの導入について」が提案され、「複合機で500万円ぐらいするが、年間24万円のリース料をあはき協と日マ会が半々で持つので、印刷の単価も安くなり、いろいろ経費の軽減を図るためにもお願いしたい」という説明があり、55名の賛成で承認されました。
その他に、訪問マッサージや同意書の問題の意見も出されましたが、活発な意見交換の後、笹原常任委員の閉会の挨拶で終了しました。
★第2日目(6月22日 土曜日)
10時から11時45分まで、田中伸明弁護士による「『障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律』の制定に向けて」と題した研修会があり(51ページ参照)、昼食休憩後、12時30分から「第50回全国盲人代表者会議」が開催されました。
ここでは、13時25分まで全体会議、その後、13時30分から16時30分まで分科会、16時35分から17時30分に再び全体会議が行われます。
竹下会長はこの会議の挨拶で、「私たちが要求してきた障害者雇用促進法の改正案が成立し、障害者差別解消推進法が成立した。このように福祉の分野での新たな法律や制度が満点とは言えないが、徐々に前に進んできている。こうした一つ一つ前進を勝ち取れているのは、全国の皆さんの声が日盲連という組織を通じて国を、そして、政治を動かした結果だと思います。
又、世の中はどんどん変わってきている。世の中が変わっていけば、日盲連も変わっていかなければならない。私自身は、昨年から会長を引き受けた訳ですが、世の中が変わっていくときにこそ新しいリーダーが求められるのだと思う。ただ、リーダーの顔が変われば新しくなるものではない。顔が変わることによって、何を変えていくのか。
一つは、みんなが自分たちの生活をよくしようと思わなければ新しい要求は出てきません。二つ目は、人様の声に耳を傾ける。世界に目を向ける。あるいは、他の障害者の動きに注目する。世の中の動きにも注目する。要するに、大きな視野をもたなければ私たちの新しい要求は生まれません。そして三つ目は、深い論議だと思う。思い付きでは駄目だ。
新しい要求、広い視野をもち、そして自分たちが生活をよくしたいという強い思いをみんなの討議の中で一つの声にしていく。これをこの大会を通じてやりきりたいと思っています」と力強く述べられました。
全体会議の議長は日盲連の前川副会長、副議長は福井県の小山会長が選出され議事に入り、平成24年度の事業報告と運動の成果を次のようにまとめられました。
1.障害のある人の権利条約批准に向けた国内法の整備として、平成24年度には、改正障害者基本法及び障害者虐待防止法が施行され、わが国における新たな障害者政策がスタートした。又、就労の場における差別禁止と合理的配慮を法制化するため、障害者雇用促進法の改正に向けた論議が進められ、平成25年6月13日に成立した。更に、障害者差別禁止立法の準備が進められていたが、平成25年6月19日に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が成立した。
2.東日本大震災により被災し、今なお復興が実現していない東北3県に対し、年間を通した支援を行った。本連合から現地に役員を派遣し、東北3県4団体との連携を図り、被災視覚障害者からのヒアリングを実施するなどして、現状を把握することに努めた。こうした現地における活動によって得られたニーズに基づき、被災地の団体と被災視覚障害者に対し、第2弾としての義援金を送るとともに、福島県の視覚障害者に対して「おしゃべり線量計」を届けた。
3.ラジオでも地デジ放送が聞けるようにするための要望活動を展開し、数社によって地デジが聞けるラジオが開発され、販売が開始されるようになった。しかも、地デジ放送が聞けるラジオは、日常生活用具に該当することが厚生労働省から全国の自治体に示された。
4.視覚障害者の入通院時における介助と安全確保のための制度を実現させるため、日本看護連盟の副会長や社会保障法の学者を交えた、福祉と医療の狭間における制度の在り方に関するプロジェクトを立ち上げた。
5.視覚障害者がわかりやすい紙幣になるよう、その改善を求めてきた。そうした視覚障害者の声を受けて、財務省などの関係機関では、その第1弾として、5000円札の改良を決定するに至った。また、紙幣をスマートフォンを用いて音声識別ができるようになり、さらには紙幣の識別専用機の開発も予定されている。
6.あはき関係においては、無資格者対策として引き続き厚生労働省や警察庁に取締の強化を求めるとともに、保険取扱いにおける免許所持者の優位性や国民に対し無免許者と免許所持者の異別性が明確となるように働きかけた。その結果、厚生労働省からは、無免許者の取締を強化することが約束され、広告への掲載事項の改善を検討することや診療報酬請求書の記載方法の改善を図ることが検討されることとなった。
平成25年度の運動方針は、後述の決議に反映されていますのでここでは省略します。
以下は生活分科会、バリアフリー分科会、職業分科会の討議内容です。
1 生活分科会(塘添)
座長に日盲連の江藤理事、福井県の坂部副会長を選び、助言者に日盲連の前川副会長を迎えて開催されました。
この分科会では、災害支援、障害者総合支援法、同行援護事業、病院内におけるヘルパー利用、介護保険、補装具・日常生活用具、年金・手当等福祉施策、同行援護、その他の要望事項について審議し、採択していきます。
北信越ブロックからは、「同行援護事業でのヘルパーの自家用車使用を認め、移動に要する時間を利用料として算定に加えるよう要望する」。
[提案理由]
北信越は山間地域が多く、公共交通機関が発達していないので、公共交通機関を利用しての同行援護サービスが受けられません。又、平野部であっても公共交通機関の便数が著しく少なく、利用しづらい地域であります。たとえ公共交通機関が利用できても乗換えにも不便であり、車での移動に比べ3~4倍の時間がかかります。それだけ行政の負担増加にもつながります。
北信越は、移動には車が不可欠の地域です。従って、同行援護を利用する際、ガイドヘルパーが運転する車での移動が切に望まれるものです。
そのためには、事業所が参入しやすいようにその利用料が算定できるようにならなければなりません。これが認められれば、視覚障害者の社会参加が大いに促進されるものと考えます。
富山県からは、「現在日常生活用具の給付は、市町村の決定に委ねられており、視覚障害者にとって有用な日常生活用具を給付品目の対象に加える場合、他の市町村と比べられなかなか認定されず、高額なものを全額自己負担で購入しなければならないため、日常生活用具の給付に対しては、国が一定の指針を出すよう要望する」。
[提案理由]
現在日常生活用具の給付は、市町村の決定に委ねられています。この状態が継続すると、視覚障害者にとって有用な日常生活用具が開発されても、それを給付の対象品目に加えてもらう場合、「他の市町村はどうか」と言い、なかなか認めてくれません。これを認めさせるのには大変なエネルギーが必要です。
給付品目に加えてもらえない場合、高額なものを全額自己負担で購入しなければならないことになります。これでは業者が製品を開発しても売れず、開発費すら回収することが困難になり、開発してくれなくなります。
ちなみに、外国に輸出できるほどまでに成長した、プレクストークのような優れものは誕生しないことになります。
そこで、日常生活用具の給付に当たっては、国が一定の指針を出すようにしていただきたいのです。併せて、これは他の団体にも共通の問題点だと思いますので、連携をとって改善していただきたいのです。
以上2題を含め、提出されていた38題全てが一部修正を加え採択されました。
2 バリアフリー分科会(中西)
座長に三重県の内田氏と福井県の竹川氏を選び、助言者に日盲連副会長の鈴木氏を迎えて、13時30分から2階の寿楽殿にて開催された。
初めに「安全な移動の確保」の項目には18題が付託され、「情報に関するバリアフリー」には5題、「その他」には9題、合わせて32題が各団体から提出されていました。
審議方法としては、1題ごとに読み上げ、提案団体からの提案理由の説明の後、十分な質疑応答を行ない、採択の有無を確認していくという方法で審議した結果、全ての議案が採択され、日盲連理事会に付託しました。理事会では、これをもって厚生労働省を始めとする関係団体へ陳情するということになります。
以下は、その討議内容です。
1.安全な移動の確保
ここでは、誘導ブロック・エスコートゾーン・音響式信号機(弱視者対応信号機)の設置促進を要望していますが、秋田県から「除雪時に除雪車がエスコートゾーンを剥がしてしまう。白線の場合は、春になれば引き直していますが、エスコートゾーンも剥がれたらすぐに引き直してほしい」。又、提案者からは「中心部だけでなく町内隅々まで設置してもらいたい」との意見が出ていました。
続いて、「バイクや自転車のマナー違反を取り締まってほしい」との提案に対し、白杖や盲導犬を使用している視覚障害者への対応について、「免許取得時などに教育を徹底してほしい」。又、「自転車の暴走は特に危険であるので、取り締まりを強化してほしい」。
ここで話題になったのは、道路交通法には白杖に対する明確な規定がないという話になった。しかし、道路交通法第14条には「視覚障害者は白い杖または黄色い杖を携帯しなければならない。運転者はこれを見かけたら徐行ないしは停止しなければならない」と規定しています。「この辺りをしっかり調査して陳情に当たってほしい」との要望を受けて採択。
交通機関に関する要望では、時刻表や掲示板を見やすく、ホームドアや内方線付き警告ブロックの設置促進、トイレ内の点字表記と音声案内設置と表記法や操作法の統一が要望され、いずれも採択された。
石川県からは、国道の歩道に融雪装置(ロードヒーティングなど)の設置が要望されていました。
2.情報に関するバリアフリー
ここでは、テレビの緊急放送や字幕放送、外国語でのインタビューの同時通訳、解説放送の充実が要望され、助言者からのアドバイスとして「解説放送の基準を作ることが必要である。例えば、冒頭に少しだけ解説を付けたものも、解説放送であるとかとされている」を含めて採択された。
続いて、公的機関からの文章は点字化・音声化・拡大文字化することについては「合理的配慮の一環であろう」という意見が多くあった。
更に、「使用しやすいIT機器の開発やスマートフォンなどの新しい情報端末をも容易に活用できるようにしてほしい」という要望に対し、助言者から「スマートフォンなどとありますが、実際の機種名を言ってほしい」。それに対し「例えば、タブレット端末です」の発言を受け、「スマートフォン、タブレット端末」とすることで採択された。
3.その他
「視覚障害者が有料道路を利用する際は、障害者手帳の提示のみで割引されるように」との要望に対し、助言者から「車の登録制は車を運転できず、他人の車に同乗するため登録制は適さないから、是非とも手帳のみで割引されるように」と陳情していきたい。
紙幣の識別に付いて、「点字標記をつける、携帯電話に認識させる、紙幣に触れて容易に金種が判別できるようにする」の提案に対し、助言者から「いろんな機械で識別するよりも手で触ってすぐに分かるものが一番いいと思います。そのような形で要望していきたい」。
富山県からの提案である「最高裁判所判事の国民審査における点字投票と墨字投票の不合理の解消」については、出席者の共通の認識は得られたが、その方法について議論が伯仲し、今日の議論を踏まえて陳情していくことで採択された。
又、バス路線の廃止に伴い、視覚障害者の日常生活や社会参加が著しく制限を受けるため、これを補う制度(福祉有償運送や福祉タクシーなど)を構築してほしい。
以上で、バリアフリー分科会が終了しました。毎年のように提案される多くの問題、解決に向けて、日盲連や下部団体の努力している様子がよく分かりました。
3 職業分科会(堀)
座長に糸数あはき協議会副会長、福井県の橋本副会長が選ばれ、助言者に時任あはき協常任委員、小川あはき協議会長、筑波技術大学の藤井准教授(理教連会長)また竹下会長、大牟田弁護士の同席を得て、出席者52名で開かれました。
予めいただいていた資料とは違う、あはき関係11件とその他3件に分け直して審議しました。
提出議題の内容が提出したものと違うまとめ方をされていたので、最初からしばらく紛糾しましたが、何とか修正を加えながら議論を重ねて、提案者欠席の1件を除き採択されました。
北信越ブロックから出された「視覚障害者の仕事は三療といわれているが、三療を望まない人も少なくなく、退職者の更生相談において、ハローワークに相談しても仕事が無いといわれるケースが多く見られるため、障害者の雇用率が上がっても、視覚障害者を雇用する事業所は少ないのが現状である、広く視覚障害者の理解を深め、視覚障害者の就労の場の拡大を要望する」については、「何を要望すればいいか分からない」という竹下会長からの提言があり、そこで、「あはき業以外の職域の開拓を」という表現に変えることで採択されました。
以下に主な内容を書きます。
1.無免許者の取り締まりの関係について
①視覚障害者の仕事が立ちゆくように、取り締まりの強化が急がれる訳だが、マスコミでは資格者も無資格者も認識がなく、番組にも堂々と無免許者が出ているとか、公共施設の施術所に無免許者がいるとか、いろいろ抗議すべきところも出され、無免許者の追放のビラ配り運動も提案されました。
②取り締まりが進まないことを改善するためにはと、助言者からは昭和30年の法改正時の指圧の導入の話も出て、それに35年最高裁判決の後の医務局長通達を改めさせることが論議されている。今後の取り組みとして、裁判も視野に入れていく(1000万円かかる?)との考えも出されました。
2.実技の技術低下が多くの一致するところで、学校教育での実技の充実、教育制度の改善、研修制度、就労センターの開設など、いろいろな面から資質の向上を図るための議論を進めるべきだとされました。そして、国家試験に実技もやるべきだという提案もありましたが、これはいろいろ問題があり、反論も多いのでそれは入れないことになりました。
3.仙台市からは、被災あはき師のまだまだ大変な現状の説明があり、是非緊急に職域の拡大と収入の補償のため、一般企業はもとより、公的機関にも産業マッサージ等を導入し、視覚障害者の職域範囲を拡大するよう強く要望されました。
それに対し、助言者から過去の経験から一般論としては難しい面もあると助言されましたが、会場からは現実に大変困っているので、特区なども念頭に入れて、是非強く要望すべきとされました。
4.就労の問題について
①一般就労と同様に、あはき業、音楽家などにもヒューマンアシスタントは当然必要である。
それに対し、開業している自営業者への支援、職場での介助、外出での介助が第4次障害者基本計画に盛り込まれるはずである。ガイドヘルパーでも通勤、通学、自営業者の外出、出張訪問であれ利用できるように要望しているとのことでした。
②医療機関の診療報酬では、マッサージはマッサージ師でなくてもできるようになっているが、マッサージ師がやるマッサージに見合った点数に値上げし、病院マッサージ師の職域の確保と介護施設での機能訓練マッサージ師としての職域を確保できるようにしていただきたい。
③今後、裾野の広い職域についてもっと議論をしていく必要がある。
④視覚障害者の仕事として、スペインでは宝くじの販売があると聞いたが、日本でもできないか?
それに対し、竹下会長からスペイン盲人協会が元締めでやっているが、日本でも視覚障害者が特別な能力や技術がなくても働けるような職域がないか、日盲連としても議論を重ねていかなければならないと考えていると述べられました。
最後に小川あはき協議会長からまとめとして、「国民にはマッサージに免許がいるのかどうかさえ分からないということもあるので、いろんな方法で知らせていくように中央と地方が一体になって運動しなければならないと考えるので皆さんのご協力をお願いします」と締めくくられました。
又、竹下会長から「放っておけば盲人の職業どころかマッサージの免許が崩壊してしまうというのが私の信念であり、運動が次の段階に来ているのではと感じている」と話されました。
私にとって、視覚障害者の自立のための職業のことだけに、熱の入った活気のある討議には、いろいろと勉強になる時間でした。
会議終了後、6人は同会場で開催された日盲連の懇親会に出席し、全国からの代表者と懇親を深めました。その後、吉野さんと塘添は4人と別行動をし、芦原温泉の「清風荘」へ移動し、22日の朝に出発した富山県の旅行団と合流しました。
★第3日目(6月23日 日曜日)
"急げ、東日本大震災からの復興。学べ、被災障害者の体験。"
"機は熟した。障害者権利条約の批准。作ろう、障害者も安心できる社会を。"
"守れ、鍼灸マッサージの免許制度。"
"広げよう、日盲連の仲間。示そう、日盲連の団結力。"
の4本のスローガンを掲げ、鯖江市の「サンドーム福井」において、第66回全国盲人福祉大会が開催されました。
富山県からは、22日に出発した旅行団32名と先発の6名及び当日参加の7名が合流し、合計45名が大会に参加しました。
第1部は式典が行われ、その中で射水市の大谷あさ子さんが光の泉賞(内助等功労)を受賞されました。おめでとうございます!!
第2部の大会議事では、次の決議がなされました。
1.障害を理由とする差別をなくするための新たな法律の制定と障害者の権利に関する条約を早期に批准し、障害者が自己実現を図ることのできる社会となるよう要望する。
2.障害基礎年金を1級は月額12万円以上に、2級は月額10万円以上に引き上げるとともに、所得制限を大幅に緩和するよう要望する。
3.視覚障害者同行援護事業における利用者負担を廃止し、個人のニーズに応じた支給料を決定するとともに、ヘルパーの自家用車使用を認めるよう要望する。
4.介護保険法の優先原則を見直し、65歳以降に福祉サービスを受ける場合も、利用者が介護保険サービスと障害者福祉サービスを選択できるよう要望する。
5.災害時における視覚障害者の支援体制を確立し、福祉施設を福祉避難所に指定すると共に、障害別に配慮した避難所の設置を行い、一時避難所においても白杖や防災ベストなどの必要な物品を備蓄するよう要望する。
6.災害時の避難情報等を視覚障害者に迅速かつ的確に伝えるためのシステムづくりと、視覚障害者の避難先での生活・移動・心身のケア等をサポートできる障害者災害福祉専門員の配置等を要望する。
7.視覚障害者の社会参加と平等を実現するため、情報の点字化、音声化、拡大文字化、テレビ放送の副音声化、利用しやすいIT機器の開発など、情報におけるバリアを解消するための施策を実施することを要望する。
8.駅ホームにホームドアや可動柵、内方線付誘導用ブロックを設置すると共に、弱視者対策として、階段の段端の色づけ、時刻表や電光掲示板などを見やすいように文字サイズ、設置位置、コントラストを工夫するよう要望する。
9.安全な移動を促進するため、誘導用ブロック・エスコートゾーン・音響式信号機、弱視者対応信号機の設置と、自転車のマナー・ルールの教育とハイブリッド車静音対策の徹底を要望する。
10.日常生活用具の給付品目の指定に当たっては、国が一定の指針を示すと共に、当事者のニーズに応じた品目を決定するよう要望する。
11.あん摩・マッサージ・指圧、鍼、灸の定義を明確にすると共に、あはき業の健全な発展を阻害する無資格類似行為者の一掃を要望する。
12.視覚障害者の雇用拡大のため、介護保険施設の機能訓練指導員や、企業・自治体等の職員に対するメンタルヘルスの向上も目的としたヘルスキーパーを雇用するよう要望する。
私たちはこの大会に参加し、視覚障害者の現状と今日的課題、福祉に関する情勢と運動の展開等を理解し、又、会場で多くの仲間と集い、連帯の輪を広げました。
来年は、5月29日(木)から31日(土)に大分県で開催されます。今年同様旅行団を結成して、観光も計画されると思いますので、共に参加し日盲連大会の雰囲気を味わうとともに、土地の風に触れる旅に参加しましょう。
◆障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律
副会長 塘添 誠次
日盲連の竹下会長が、障害当事者らで構成する内閣府の障害者政策委員会差別禁止部会の副部会長を務めており、この法律の制定に尽力されていました。そして、その法律が平成25年6月19日に参議院本会議で可決成立しました。施行は平成28年4月ですが、その出来たてほやほやの法律について、6月22日に田中伸明弁護士の講演がありました。その講演内容と資料を私なりにまとめましたので、以下に記載します。
この数年間、障害者基本法の改正や障害者虐待防止法の成立、障害者総合支援法の制定など、障害者に関する法律が改正されたり、新たに制定されたりしてきました。そして今年度、精神障害者の雇用が義務化された雇用促進法が制定され、今回障害者差別解消推進法が成立しました。
この法律は障害者権利条約の批准に向けて整備されたものです。2006年12月13日に障害者権利条約が国連で可決され、2008年5月3日に発効しました。日本政府は、2007年9月28日にこの条約に署名はしましたが、批准はまだしていないのです。その理由は国内法がまだ十分に整理されていないことにあります。その国内法の整備に向けて、制度改革推進本部が設置され、障害者基本法の改正、障害者総合支援法の制定、そして障害者差別禁止法(今回の法律では「解消法」と改名)の制定を3本柱として法整備を急いでいたものです。
障害者差別解消推進法とは、一言で言えば、行政機関等及び事業者に対して不当な差別的取り扱いを禁止し、合理的配慮の提供を求めるものです。
しかし、突然、「差別解消」と言われても、なかなかイメージがわかないかもしれません。簡単に言えば、障害者が障害のない人と平等な立場で、日常生活や社会生活を送ることができるようにすることを目指している法律なのです。
中途で視覚障害を負うことになった方は、障害のない自分が社会で生活していた頃には、何の障壁もなくできていたことが、障害のある自分が社会で生活することになると、様々な障壁となって現れてくることを実感しているのではないかと思います。差別解消法は、このような障壁をできるだけ解消し、障害のある人が社会の一員として、障害のない人と共に生きる社会の実現を目指しているのです。
この法律は、第1章から第6章まであり、全部で26条から成るものです。第1章は、「総則」が定められており、第1条から第5条より成るものです。
第1条は法の理念・目的が書かれており、
①障害者基本法の基本的な理念にのっとり定められたものである。
②障害者が基本的人権を共有する個人として重んぜられる。
③共生社会の実現を図る。
ということが定められています。
今まで障害者はどちらかというと、保護の客体であって措置の対象として捉えられてきました。しかし、この法律では障害者は権利の主体であり、契約の主体であるとされました。この考え方の転換が行われたことが大きいのです。確かに障害者は障害を持っているけれども、一人の人間として、一人の個人として強い権利を有する主体であるという、あたりまえのことが欠けていたのです。これを明確に定めたというところが非常に大きいのです。
そして、共生社会の実現、即ち、障害がある人も障害のない人も互いに違いを認め合って、共に生活する社会を作っていこうという理念を定めたのも重要な点です。
第2条は定義が書かれており、「障害とは、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)、その他の心身機能の障害があるものであって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当の制限を受けるものをいう」とあり、継続的に日常生活又は社会生活に相当の制限を受ける原因として障害だけではなく、社会的障壁も制限の原因に加えられたことが非常に大きいのです。
社会的障壁とは、「社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のもの」を意味します。今の社会は、多くの場合、障害のない人しかいない社会を前提として、様々な設備や慣行が作られがちです。そのような社会の中で障害者が生活しようとすれば、当然、様々なことが壁となって立ちはだかることになるでしょう。差別解消推進法にいう「社会的障壁」とは、このような障害者が社会生活の中で直面する壁を広く意味すると捉えておけばよいと思います。
ここで、東京大学の福島教授が、この社会的障壁を医学モデルと社会モデルとして分かりやすく説明しておられますので紹介しておきます。
医学モデルとは、障害者が社会の中で生活する場合に、様々な障壁に出会います。この障壁は障害者が自らの中に障害を有するが故に生じる障壁であります。従って、その障壁の除去は、障害者の治療であったり、訓練によって除去されるものであるという考え方です。分かりやすく言えば、社会の障壁の除去は障害者自身の努力によってなされるべきである。つまり、障害者の自己責任論につながるものでありますが、全ての責任を障害者にかぶせるような考え方です。
これに対して、社会モデルは障害者が社会の中で生活する際に直面する障壁は、障害だけではなく、社会の制度や設備に原因がある。従って、障壁の除去のためには、設備の改善であったり、制度の改革によってなされるべきである。つまり、障害による障壁の除去は、社会全体の責任として背負うべきであるという考え方です。
第3条から第5条は「責務」が定められています。第3条には、国や地方公共団体は差別解消について必要な施策を作成し、及びこれを実施しなければならないという責務が書かれています。
第4条には、国民は差別解消に向けて、これに寄与するように努めなければならないという責務が書かれています。
そして第5条には、行政機関等及び事業者は社会的障壁の除去の実施に向けて必要な合理的な配慮を的確に行うため、環境の整備に努めなければならないということが書かれています。
第2章は、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」が定められており、第6条のみです。
その第6条では、この法律の基本方針を政府が定めることになっています。政府は障害者の差別の解消のための施策に関する基本方針や方向、重要事項を定めなければならないのです。そして、政府はそれを閣議決定すると公表することになっています。この基本方針が決定しますと、それに基づいて各省庁のガイドラインが定められていくことになります。
しかし、基本方針が勝手に定められてしまうと、我々障害者の意見が全く反映されないことになりますので、そこで、障害者の意見を反映させるために必要な措置を講じることができるとされています。
従って、障害者の意見が反映された形で基本方針が定められるように、十分に働きかけていかなければならないのです。
第3章は、「行政機関等及び事業所における障害を理由とする差別を解消するための措置」が定められており、第7条から第13条より成るものです。
第7条と第8条では、行政機関等や、民間事業者に対して、不当な差別的取扱いの禁止と、合理的な配慮の提供を求めています。
「不当な差別的取扱い」とはどのようなものでしょうか。法案の中では、その具体的内容については定められていません。
しかし、例えば、合理的な理由がないにも関わらず「あなたは障害者だから、私たちの会社への入社は認めません」など、障害を直接の理由として、障害者を区別したり排除したりするような扱いは、この「不当な差別的取扱い」に該当することは間違いないでしょう(直接差別)。
また、障害を直接の理由としなくても、例えば、ある会社の業務を行う上で、自動車の運転が全く必要ないにも関わらず、「私たちの会社は、運転免許を持った人でなければ入社は認められません」など、あえて視覚障害者が入社できないルールを作って、間接的に障害者を排除してしまうような場合も、障害者を排除するものとして、この「不当な差別的取扱い」に該当することになると考えられます(間接差別)。
そして、このような「不当な差別的取扱い」は、行政機関等だけでなく、民間事業者に対しても、法的義務として定められているのです。
また、差別解消推進法では、「合理的な配慮の提供」が求められています。即ち、障害者が社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明をした場合には、行政機関等や民間事業者は、障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮を行うことが求められています。
そして、障害者が、このような壁を「除去して欲しい」と求めた場合には、行政機関等や民間事業者は、その障壁の除去について、合理的な配慮を行う必要があるとされているのです。ここで、いくつかの例をあげてみます。
①障害者が「段差をなくして欲しい」と求めた場合に、その段差にスロープを付けなければならない。
②視覚障害者が「視覚的に得られる情報を得ながら仕事をする環境を整えて欲しい」と求めた場合には、その職場に音声読み上げソフトを備えるとか、その障害者にパーソナルアシスタントを付けるなどの配慮が考えられます。
③緊急地震速報については、聴覚障害者は大きな音が聞こえないので、それが緊急地震速報であることの理解が遅れる。知的障害者は意味の理解ができない。従って、全ての障害者が直ちに理解できるような方策をとらなければならない。
④視覚障害者が金融機関等では自書できません。従って意志確認のために複数の職員を立ち会わせて代筆をする。
⑤医療の分野において、医師から病気の説明を受けるとき、視覚障害者は写真を見せられてもよく分からない。聴覚障害者は、言葉が分からないので手話通訳者を同席させてもらわないと、医師からの情報が得られない。知的障害者は意味の理解ができない。従って、正確な情報を得られないと自分がどういう治療を受けるのか、手術をしてもよいのか分からない。つまり、自己決定権の基礎となる情報を得られないことになるので、医師からの情報を円滑に受け取れるような配慮が必要である。
⑥教育においては、障害の有無にかかわらず行きたい学校に行けなければならない。障害者が普通学校に通いたいと言ったときに、これを拒む理由はないのです。障害を有していても自分の希望する教育を受ける権利はあるのです。従って、入学したいという希望に沿って、学校側は受入れの準備をしなければならないことになります。
以上、合理的配慮の例や考え方を述べましたが、ただ、この「合理的な配慮の提供」については、以下の二つの点を注意しておく必要があります。
第1に、この「合理的な配慮の提供」は、行政機関等に対しては法的義務として定められていますが、民間事業者に対しては努力義務として定められているにすぎない点です。
第2に、この「合理的な配慮の提供」の実施に伴う負担が、「過重でない」こと、という制限が付されているという点です。どの程度の負担が過重とされるのかについては、「合理的な配慮」を提供する側の規模や性格などを含め、事案ごとに個別に判断していくしかないと考えられます。
第9条から11条は、対応要領といわれるもので、第9条は、国等についての職員の対応要領を定めるものであります。第10条は、地方公共団体の職員等対応要領です。第11条は、主務大臣が事業者についての対応指針を定める条文になっています。
いずれも差別解消推進に向けての措置を、それぞれ国及び地方公共団体、主務大臣が対応要領を作り、差別の解消に向けての法的措置を行うということになっています。
第12条は、主務大臣は事業者に対して報告を求めることができる。そして、差別解消について助言、指導、場合によっては勧告を行うことができる条文になっています。
第13条は、行政機関及び事業者が、事業主として労務者に対して差別解消の措置を行うときは、雇用促進法の適用をすることとなっています。
これは差別解消推進法よりも、雇用促進法の方が合理的配慮については、実は一歩進んだ形の定めになっているからです。
第4章は、「障害を理由とする差別を解消するための支援措置」が定められており、第14条から第20条より成るものです。
第14条は、国及び地方公共団体は、差別解消に関する相談に的確に応じる。そして紛争の防止又は解決を図ることができるよう、必要な体制を整備するものとする。即ち、差別解消法は紛争の解決ということを十分に内容として盛り込んでいるということであります。
第15条は、紛争解決のために、差別解消の措置として、国民に対して啓発活動を行っていくことが定められており、第16条では、国内外の情報を収集して、提供することが定められています。
この二つの条文は、共に一般国民に対して、十分な理解を図っていこう。そして、情報の提供を積極的に行っていくべきだということが盛り込まれています。
第17条以下は、障害者差別解消支援地域協議会を設置し、紛争の防止や解決を図ることができるように、必要な体制を整備することが定められています。
第19条には、関係職員に秘密保持義務が定められています。障害というのは重大なプライバシーなので、相談を受けた職員或いはその相談者であった者が職を辞した後で、対外的に情報を話されては問題ですので、そのような職員には秘密保持義務が課せられているのです。
そして、第20条では、障害者差別解消支援地域協議会が法律で定める以外のものを定められるとなっています。
第5章は、「雑則」で第21条から第24条より成り、主務大臣が誰であるか、政令で委任できるなどの制度的な絡み方が定められています。
第6章は、「罰則」が定められており、第25条と第26条から成るものです。第25条では、秘密保持義務に違反した場合の罰則、第26条では、主務大臣から報告を求められた場合に、報告をしない、或いは虚偽の報告をした場合の罰則などが定められています。
以上が、障害者差別解消推進法の全てです。基本的には、行政機関等及び事業者に対して不当な差別的取扱いを禁止し、合理的な配慮の提供を求めるというのが大きなポイントであります。百点満点の法律ではありませんが、とにかくゼロから1になったというところは非常に大きいものであります。
そして、障害者差別解消推進法の課題として、
①合理的配慮の提供が、民間事業者には努力義務にとどまっていること。
②紛争解決の手段、整理というものが果たして十分なのか。
③今後定められるであろう政府における基本方針及び省庁におけるガイドラインが、十分障害者の意見を反映したものになっていくか。
などが挙げられます。
尚、この法律は平成28年4月1日に施行が予定されていますので、これに向けて、この法律がよりよいものになるように、私たちも運動していく必要があると述べられ、講演を終了されました。
《事業報告》
◆理事会・評議員会・定期会員総会
総務部 部長 布尾 英二
1.平成24年度第2回理事会及び第2回評議員会
平成25年3月24日(日)午前10時より、富山県視覚障害者福祉センターにおいて、平成24年度第2回理事会が開催された。はじめに、中西美雄会長より「今回は、任期中の最後の理事会であり、理事各位の協力に感謝したい、また、来年度は、協会創立70周年に当たるので、記念行事を検討したい。」と挨拶があり、平成24年度本部会計・施設会計補正予算(案)について審議が行われ、原案通り承認された。
次に、平成25年度事業計画(案)及び平成25年度本部会計・特別会計・施設会計予算(案)について審議が行われ、原案通り承認された。また、平成25年4月からの次期評議員については、各支部等の推薦のあった評議員全員が同意された。衆議院議員田畑裕明氏の顧問推薦についても承認された。なお、3月当初に新しく改訂した「協会・センター案内」のパンフレットが紹介された。
続いて、同日午後1時より、同所で第2回評議員会が開かれ、冒頭、中西会長から今期の評議員に対する感謝の挨拶があり、審議が行われた。
先ず、平成24年度補正予算(案)の審議、次に平成25年度事業計画(案)及び平成25年度予算(案)が審議され、原案通り承認された。
続いて、次期役員(理事・監事)の選任について審議が行われ、外部理事及び監事については定員通りであり、そのまま選任された。各支部等の推薦による会員理事・監事についても定員通りであり、全員選任された。(別表参照)
また、田畑裕明顧問についても同意された。なお、改訂した「協会・センター案内」のパンフレットを配布した。
2.平成25年度第1回理事会・支部長会
平成25年4月7日(日)10時から開かれた新理事による第1回理事会では、会長及び副会長の互選が行われ、会長に中西美雄(富山市)、副会長に塘添誠次(射水市)、堀惠一(富山市)、山内正一(富山市)、を再任した。また、専門部長及び専門部員も選任した。(別表参照)
続いて、同日午後1時から行われた支部長会は、新役員及び新職員の紹介の後、中西新会長より「今年は、協会創立70周年に当たるので、記念行事を検討したい」と挨拶があり、平成25年度事業計画の概要説明を行った。次に、各支部から県への要望事項について及び各支部での同行援護事業の取り組み状況について、意見交換した。
3.第2回理事会及び第1回評議員会
第2回理事会は、5月26日(日)10時より開かれ、平成24年度事業報告及び決算報告を審議し、原案通り承認された。また、県への要望事項についても意見交換した。
次いで、同日午後1時より、第1回評議員会が開かれ、新役員(理事・監事)及び新職員の紹介の後、中西会長より、新評議員に対し、今年度への抱負と新評議員への期待する挨拶があった。次に平成24年度事業報告及び決算報告を審議し原案通り承認された。県への要望事項についても意見交換した。
4.平成25年度定期会員総会
平成25年度定期会員総会は、平成25年6月9日(日)にライトセンターで開催された。はじめに昨年度故人となられた方々に対し、黙とうを捧げた後、中西美雄会長から「今年度は、協会創立70周年の年に当たるので記念行事を行いたい」との話があった。
また、この日は、本県グランドソフトボールチームが名古屋で全国大会出場をかけて愛知県チームと対戦しており、エールを送りたいとの提案があり、総会出席者全員で名古屋に向けてエールを送った。
その後、小杉ライオンズクラブ・利田宗之様の多額のご芳志に対し、感謝状を贈呈した。続いて、来賓の山崎康至(やまざきやすのり)富山県厚生部部長(代理)、宮腰光寛(みやこしみつひろ)衆議院議員、田畑裕明(たばたひろあき)衆議院議員、五十嵐務(いがらしつとむ)富山県議会議員、福田孜(ふくたつとむ)富山県社会福祉協議会会長、岡本武勇(おかもとぶゆう)富山県身体障害者団体協議会会長から祝辞をいただいた。
次いで、出席者68名、委任状92名の定数確認と新役員及び新職員の紹介があり、総会議事に移った。平成24年度事業報告及び決算報告、平成25年度事業計画(案)及び予算(案)について審議が行われ、原案通り承認された。
また、県への要望事項についても意見交換した。総会終了後、懇親会が開かれ、県内各地から集まった会員相互の親睦を深めた。
◆別表 平成25年度役員担当専門部及び業務内容・担当事業
・総務部 担当役員
会長 中西美雄、常務理事 萩中俊一、理事(部長) 布尾英二
総務部業務内容
1.財産管理、会計、定款、会則、規程、議事録、名簿等の文書処理に関する業務
2.組織運営、事業の企画、連絡調整、情宣活動に関する業務
3.組織強化、他の専門部に属さない業務
総務部担当事業
1.役員会、総会の企画開催 2.上部団体、関係団体との連絡 3.専門部の総括調整 4.記念事業の企画等 5.他の専門部に属さない事業
・施設部 担当役員
副会長 堀 惠一、理事(部長) 安田庄内、理事 本江とみ子、理事(施設長) 宮田孝男
施設部業務内容
1.福祉センターの管理運営に関する業務 2.更生相談室の経営
施設部担当事業
1.施設関係会議の開催 2.福祉センター(点字図書館、盲人ホーム)及び更生相談室の管理運営 3.ボランティアと利用者交流会 4.三療研修会 5.センタークリーン作戦
・文化部 担当役員
副会長 塘添誠次、理事(部長) 上坂敏彦、理事 高島ヒサ子、外部理事 西山傳昭(つぐあき)
文化部業務内容
1.各種研修、点字技術の普及向上及びIT指導に関する業務 2.文芸、芸術推進、その他文化向上に関する業務
文化部担当事業
1.会報発行 2.文化祭(共同募金補助事業) 3.点字・パソコン競技会 4.IT講習会
・厚生部 担当役員
副会長 山内正一、理事(部長) 白口 務、理事 佐生秀一、外部理事 倉田久子
厚生部業務内容
1.生活権の擁護、生活訓練、交通安全、親睦レクリエーション、体育、医療視機能訓練に関する業務 2.更生相談会の企画、権利の保障、福祉向上に関する業務
厚生部担当事業
1.球技大会 2.宿泊研修(激励大会・歩行訓練・研修会) 3.更生相談会 4.結婚相談室 5.福祉機器展
・青年部 部長 高橋 亨(とおる)
青年部業務内容 青年の活動の促進に関する業務
・女性部 部長 柳田信子
女性部業務内容 女性の活動の促進に関する業務
・スポーツ部 部長 徳市和美
スポーツ部業務内容 スポーツの振興
・三療部 部会長 安達 実
三療部業務内容 三療研修会・盲人ホーム運営協力
◆三療部会だより
富山支部 藤井 清隆(ふじい きよたか)
○ 3月10日(日) センター和室、盲人ホーム施術室
参加12名。治療奉仕3名。
午前10時からそれぞれ二人一組になって施術の交換会が行われ、みんなで昼食をとり、午後は心臓の手術のビデオを見ました。ビデオは実際の手術をしているところがそのまま撮影されたものでした。
普段はちょっと見ることができない大変貴重なビデオでしたが、この時ばかりは音だけでホッとしました。
私ごとですが、以前部分麻酔で眼科の手術を受けたときはぼんやりとメスの形や、お医者さんたちの会話が聞こえてきたのを思い出してしまいました。
ビデオの中では心室や心房、冠状動脈など解剖学の授業で習った言葉が出てきて、頭の中でイメージしながら聞いていました。
患者さんでも心臓の手術をされた方もおられるのでとても参考になり、今後の仕事に役立てたいです。
○ 6月9日(日)センター和室、盲人ホーム施術室
参加19名。治療奉仕2名。
10時から1時間はいつものように二人一組になって施術交換が行われました。11時からは総会で昨年度の行事、決算の報告と今年度の行事などの話合いが行われました。
そのあと、これからの施術、治療院のありかたが話し合われました。今までの伝統的なやり方とは違った治療院が増えてきていること。これからの三療部会発展のためにも若い人たちの力が必要であるように思います。
三療部会では治療方針から日頃の身の回りの些細なことまでいろいろ話し合われています。どうしたらよいかわからないことも、だれかと話をしているうちに気がつくこともあるかと思います。いつまでも、だれもが気軽に立ち寄れるところであってほしいです。
《みんなの広場》
◆知ってください盲ろうについて
富山盲ろう者友の会 会長 九曜 弘次郎(くよう こうじろう)
視覚障害者協会の皆さん、こんにちは。私は富山盲ろう者友の会の会長をしております、九曜と申します。皆様には日頃から大変お世話になっております。
今回は、私たち「盲ろう者」について皆さんに知っていただきたく、この場をお借りすることにいたしました。
まず、「盲ろう者」とは、目と耳両方に障害のある人のことをいいます。ヘレン・ケラーのような人といえば分かりやすいかと思いますが、盲ろう者にはヘレン・ケラーのように全く見えず全く聞こえない人もいれば、少し見える人や少し聞こえる人も含まれます。視覚障害者でも全盲の人や弱視の人がいるのと同じです。
盲ろう者は、移動、情報入手、コミュニケーションの3つの困難があるといわれています。
まず、移動ですが、視覚障害者の人でも外出など移動に不自由を感じておられると思います。視覚障害者の場合でしたら、車の音や周囲の反射音などによって危険を察知したり周りの状況をある程度判断したりすることができると思います。しかし、盲ろう者の場合は耳にも障害があるため、それも難しい場合が少なくありません。そのため、多くの盲ろう者は家の中に閉じこもりがちになります。
次に、情報についてです。視覚障害者も「情報障害者」と呼ばれることがありますが、盲ろう者の場合は自分の周りの音を聞くこともできなければ、テレビ、ラジオ、電話などの音声を聞くこともできません。ですから、視覚障害者以上に情報の入手が大変困難です。
最後に、コミュニケーションについてです。これは視覚障害者の方にはあまり当てはまらない要素ではないかと思いますが、盲ろう者にとってこのコミュニケーションの困難がもっとも切実な問題です。通常、コミュニケーションは音声によって行います。
ところが、耳が聞こえなければ相手の声を聞くことができません。また、生まれつき耳に障害を持っている人の場合、自分で話すことができなかったり、発音が不明瞭な人が少なくありません。
この世の中で生活していく上で、人間関係を築いたり、人との関わりを持つには、人とコミュニケーションができることが必要です。盲ろう者はコミュニケーションが取れないために、人との関係を築くのが難しい障害です。
さて、盲ろう者は声によるコミュニケーションが困難な人が少なくありませんが、盲ろう者のために考え出されたコミュニケーション方法がいくつかあります。
その一つが、点字を使ったコミュニケーション方法です。「指点字」といって、盲ろう者の左右両手の指を点字タイプライターのキーに見立てて、点字タイプライターを打つような感覚で指にタッチするという方法です。
視覚障害者の方の場合点字を知っている人が割と多いでしょうから、この方法がもっとも盲ろう者とコミュニケーションを取りやすい方法かなと思います。
その他には、手話を手で触って読み取る「触手話」、手のひらにひらがなやカタカナなどの文字を書く「手書き文字」などの方法があります。
もちろん、盲ろう者であればこれらのコミュニケーション方法が全て使えるわけではありません。例えば私の場合、指点字であれば点字のベテランの人が高速で点字タイプライターを打つときぐらいのスピードで打ってもらってもなんとか読み取ることができますが、手話は簡単な自己紹介程度をやっと覚えたぐらいで、とても日常会話に使えるとはいえません。
一方、元々聴覚障害の方であとから目が悪くなってきた人の場合、触手話などのコミュニケーション方法を使う人が多くいます。
続いて、富山盲ろう者友の会の紹介をさせていただきます。富山盲ろう者友の会は、2009年6月に、盲ろう者とその支援者で設立しました。盲ろう者友の会は、他の障害者団体にない特徴があります。それは、当事者だけでなく、支援者(健常者や他の障害者など盲ろう者ではない人たち)も一緒になって活動しているということです。
先ほども書きましたように、盲ろう者のコミュニケーション方法は、盲ろうになった経緯や、また障害の程度などによって異なります。ですから、同じ盲ろう者同士であっても、コミュニケーション方法が異なるために、直接コミュニケーションが取れないことが少なくありません。加えて、盲ろう者はその障害が重度なため、盲ろう者だけで活動していくのは困難です。そのため、盲ろう者が活動するためには、支援者の助けがどうしても必要なのです。ですから、盲ろう者友の会は、盲ろう当事者だけでなく、支援者も一緒になって活動しているわけです。
現在友の会に入っている県内在住の盲ろう当事者は3名です。県内にはおよそ150名程度の盲ろう者がいるといわれています。会の設立当初から毎年県内各市町村の障害福祉課を訪問して、盲ろう者のことをご説明したり、パンフレットを市町村の窓口においていただいたり、また昨年は盲ろう者宅にパンフレットを郵送していただくように働きかけを行ったりと盲ろう者の発掘活動に力を入れていますが、個人情報保護法の関係や家族や周りの理解が得られないなどの理由で、なかなか発掘が進まないのが現状です。
盲ろう者友の会の活動としましては、コミュニケーション学習会、盲ろう者向け通訳・介助員養成講習会への協力といったコミュニケーション学習に関する活動から、お花見、クリスマス会、料理教室、バーベキュー、1泊旅行などといったレクリエーション活動も行っています。1年半ほど前からは、毎月指点字サークルも開催しています。
私から視覚障害者協会の皆様方にお願いがあります。もし身近に、視覚だけではなく聴覚にも障害を抱えている人がいましたら、是非盲ろう者友の会までご連絡ください。
次に、盲ろう者友の会は盲ろう当事者だけでなく支援者の方も一緒に活動しています。視覚障害者の方でも、指点字通訳や音声通訳など、活躍の場はたくさんあると思います。是非視覚障害者の皆さんのお力を貸してください。
また、時間的に活動するのが難しいという場合は、賛助会員になっていただき、財政的に援助していただくことも可能です。
富山盲ろう者友の会のパンフレットやホームページもありますので、詳しくはそちらをご覧いただければと思います。パンフレットの点字版も用意しています。
最後に、富山盲ろう者友の会への連絡先を記載します。
< 連絡先 >
富山盲ろう者友の会
〒930-0809 富山市木場町2-21 富山県聴覚障害者センター
「富山盲ろう者友の会」事務局長 久保(くぼ)誠人(まこと)
TEL 076-441-7331
FAX 076-441-7305
E-Mail tomonokai@toyamadb.com
ホームページ http://www.toyamadb.com/
◆グランドソフトボール観戦記
ひまわりの会 永長 陽子(ながおさ ようこ)
穏やかな天気の5月19日(日)午前中、五福スポーツ広場のグラウンドで北信越グランドソフトボール大会がありました。新潟・長野・石川・富山の4チームが参加して試合し、1試合目の勝者対勝者で優勝決定戦を、敗者対敗者で3位決定戦を行いました。1試合は7回とし、1時間20分を超えて新しい回に入らないとされてありました。
グランドソフトボールというのは、視覚障害者のための野球です。ボールはハンドボールくらいの大きさで、投げる時は地面を転がします。選手は全盲者と弱視者で構成され、晴眼者が、監督・主将・コーチャー・マネージャーとして参加し、ピッチャーは全盲者と決まっています。
それぞれの塁では補助が付き、声を出してベースの場所やボールの行方を知らせます。キャッチャーは、声と手拍子でピッチャーが投げるタイミングをバッターや守備・観客にも知らせます。全盲のバッターは姿勢を低くしてボールが転がってくる音を聴き、打ちます。
1塁から3塁のベースは2種類あり、守備用と走者用です。聴力に頼って試合をしますから、投げる時やボールが飛んでいる時など、応援は静かにしていなくてはいけません。グラウンドが旅客機の飛行ルートの真下ですので、通過するたびに中断しました。
富山と長野で優勝決定戦を行ないましたが、長野の若いピッチャーのボールは速く、投げて転がる音も軽い音がします。しかし、途中から少しコントロールが悪くなってきました。富山のピッチャーは重い音がしましたが、最後までコントロールが乱れませんでした。
私の前に立って観戦した方があり、ホームベース辺りが良く見えませんでした。でも、並んで観戦していた全盲のYSさんは全然お構いなく、場内アナウンスもないのに、次のバッターの名前とか、このバッターは全盲だとか弱視だとか、今の球は速いとか遅いとか、打った球はファウルだとかヒットだとか、今は何回の表だとか裏だとかボールカウントとか、小声で実況中継をしてくださいました。
スコアボードもありませんから、いつもの野球観戦では常にスコアボードで確認している私にはとても不自由でした。いただいた資料を必死に見ながら選手名を確認していました。
以前、『障害者のスポーツ-指導の手引』を音訳させていただいたことがあり、何となくルールは記憶にありましたが、実際の観戦は初めてでした。バッターが打ち、1塁を通り過ぎたあとに「アウト!」でしたので「エ?」と声をあげたら、全盲者がボールを受け取ったときはその時点でアウトになるとか。
私は、最終回のツーアウトを取ったあと、会場を後にしなくてはなりませんでしたが、結果は富山の優勝!! 6月9日の東海大会で愛知県と対戦し、優勝すると全国大会に出場。
野球観戦が好きな私は、皆様と共に大いに盛り上がりました。
◆第66回全国盲人福祉大会 福井大会に参加して
富山支部 高島 ヒサ子(たかしま ひさこ)
6月22日に富山駅北口を朝の7時にわくわくしながら雨の中バスで出発しました。射水、高岡駅南口、小矢部を通って次々とお友達を乗せてやがて鯖江に着き、その間バスガイドの心のこもった名調子を心地よく耳にしながら楽しく過ごすことができました。11時30分から12時15分に越前蟹ミュージアムを見学しました。
「これであなたも蟹博士」巨大ジオラマや海中シアターなどで、越前蟹の神秘を遊びながら楽しく学べる施設。蟹の姿を模したユニークな外観、3階から螺旋状に順路を下りながら見学する。
トンネル水槽には約30種の魚たちが泳ぐ。係りの方が、私たちの手をもって、突然冷たい水の中にいる大きな鰈を触らせてくださった。私は驚いて魚に噛みつかれるのではないかと思い、きゃーっと大きな声をだし、怖さで冷や汗をかきました。
でも、親切な行為に怖いもの見たさでもう一度触ってみたら、大きな鰈で死んでいるようでした。ぬるっとしたあの感触はずっと忘れないと思います。
この大きな水槽が私に見えたなら、きっと浦島太郎の世界ではないだろうかと思いました。
お昼は、豆腐づくしのメニューで大変美味しいご馳走でした。お腹が満腹になっても胃にもたれるようなことはありませんでした。
次は三国競艇場に行きました。福井県坂井市にある、北陸地方及び本州日本海側唯一の競艇場です。愛称は「ボートレース三国」で、マスコットキャラクターの名前は「カニ坊」。現在の主催者は、武生三国モーターボート競争施行組合(越前市・坂井市)と芦原市で、開催の大半は前者が主催しています。施設所有者は、京福電気鉄道系列の三国観光産業株式会社。
ここでは、選手の使うのと同じボートを触らせていただき、ものすごいスピードで走るボートの音も聞きました。実際に券を買って当たった方もいてびっくりしました。なんでも、富山から来ている女子の若い選手で、すごく速くて有名になっている選手がいると職員の方がおっしゃっていました。福井の会長さんが頼んでくださったとかで大変丁寧な説明をしていただきました。あの走るボートの鋭い音が今も耳に残っています。
次は吉崎(よしざき)御坊(ごぼう)へ行きました。
吉崎御坊=文明3年(1471年)7月下旬、比叡山延暦寺などの迫害を受けて京から逃れた本願寺第8世法主(ほっす)蓮如が、本願寺系浄土真宗の北陸における布教拠点として越前吉崎にある北潟湖畔の吉崎山(よしざきやま)の頂に建立しました。
この地で蓮如は教義を民衆にわかりやすく説き、時には御文(おふみ)(御文章(ごぶんしょう))を用いたり、「南無阿弥陀仏」の六字名号を下付したため、御坊には北陸はもとより奥羽からも多くの門徒が集まりました。また、御坊周辺の吉崎一帯は坊舎や門徒の宿坊などが立ち並び寺内町を形成しました。嫁脅し伝説や高村光雲作蓮如上人像(上野恩賜公園(うえのおんしこうえん)西郷隆盛像と並ぶ傑作)は有名です。
この日の宿泊は芦原温泉清風荘でした。福井県屈指の温泉街として、また「関西の奥座敷」と呼ばれ昔から多くの文人墨客(ぼっかく)に愛されてきました。温泉療法医が勧める名湯百選にも選ばれています。京都からこぞって庭師を招いてつくらせた、庭の美しいたたずまいです。夜はカラオケやお風呂温泉につかりゆっくりと幸せな一時を過ごしました。
6月23日朝8時に宿舎を出発しサンドーム福井で第66回全国盲人福祉大会に皆さんで参加しました。今年は選挙もあるせいか沢山の歓迎の挨拶を聞くことができました。大会の内容については、役員の方々が細かくご報告されるので、ゆきしろをしっかり読んでいただきたいと思います。とにかく大勢のお客様が隅々から集まって、私達に温かい歓迎のお言葉を沢山いただきました。
今年は、障害者の私たちにとってきっと幸せな第1歩を踏み出した年になると大会を終えた後そんなことを感じました。
午後からは、昼食を終えると眼鏡博物館に行き、眼鏡の歴史と進化を紹介してもらいました。ここは、ほとんど陳列棚の中なので触ることはできませんでした。
帰りは、羽二重餅の里の見学や一辺15cm、厚さ5cmの大きな油揚げなどのお土産をいただいたり、買ったり、また、バスガイドの心温まる名調子に耳を傾け幸せいっぱいの心豊かな気持ちで帰路につくことができました。
今回の私のグループは柳田さん、竹内さん、そして視力のある赤石さんで、視力の補えない分を、上市の嶋作節子さんやバスガイドの方にも手をさしのべていただき、心のしれた卓球組で笑いの絶えない楽しい旅行をすることができました。お世話になった皆さん本当にありがとうございました。
《事務局から》
◆消息 訃報
小松 宗春(こまつ むねはる)氏(小矢部市) 2月 逝去
坂井 啓子(さかい けいこ)氏(富山市) 2月 逝去
馬場 久子(ばば ひさこ)氏(小矢部市) 2月 逝去
尾島 正雄(おじま まさお)氏(富山市) 4月 逝去
利田 宗之(りた むねゆき)氏(富山市) 6月 逝去
ご冥福をお祈りいたします。
◆時事暦(1月~6月)
2月16日(土)・17日(日) 「平成24年度日盲連北信越ブロック会議」開催
(富山県 婦中町「いこいの村 磯波風」)。代表者会議、青年部協議会、女性部協議会・研修会、スポーツ担当者会議が開かれ、総勢約130名、当協会から40名参加
3月24日(日) 午前 理事会、午後 評議員会を開催
4月21日(日) 第13回富山県障害者スポーツ大会〔水泳競技〕(東富山温水プール)
5月12日(日) 第13回富山県障害者スポーツ大会〔陸上競技〕(県総合運動公園陸上競技場)
5月18日(土)・19日(日) 「第40回北信越グランドソフトボール大会」が富山県で開催され、富山県から19名参加。
結果は、1位 富山県、2位 長野県、3位 石川県
5月26日(日) 午前10時 平成25年度第1回理事会、午後1時 第1回評議員会を開催
6月9日(日) 午後1時 平成25年度定期会員総会を開催。会員68名・委任状92通。感謝状(小杉ライオンズクラブ・利田宗之様)
6月12日(水) 富山県総合福祉会館において、平成25年度点訳(4名)・音訳(6名)奉仕員養成講習会開講式を開催
6月21日(金)~23日(日) 「第66回全国盲人福祉大会〈福井大会〉」が開催され、富山県から総勢45名参加
◆平成25年度後期の主な行事予定
7月7日(日) ボランティアと利用者交流会「富山県教育文化会館・高志の国文学館」
7月14日(日) センタークリーン作戦
8月18日(日) 第62回点字競技会・第14回パソコン競技会
8月28日(水)~30日(金) 第59回全国盲女性研修大会(山口県)
9月7日(土)・8日(日) 宿泊研修〔視覚障害者と家族激励大会・山岳歩行訓練・研修会〕(富山市 ゆーとりあ越中)
9月21日(土)~23日(月) 第59回全国盲青年研修大会(静岡市)
9月22日(日) 第13回富山県障害者スポーツ大会〔フライングディスク競技会〕(県総合運動公園)
9月末 会報「ゆきしろ」第68号発刊
10月6日(日) 第37回視覚障害者文化祭・福祉機器展
10月12日(土)~14日(月) 第13回全国障害者スポーツ大会(東京都)
10月19日(土)・20日(日) 第22回北信越サウンドテーブルテニス大会(石川県)
10月20日(日) タンデム自転車体験会(県障害者スポーツ活動活性化事業)
10月27日(日) 第39回富山県視覚障害者球技大会〔グランドソフトボール・サウンドテーブルテニス〕(西田地方小学校、センター)
11月10日(日) 第13回富山県障害者スポーツ大会〔卓球競技〕(県総合体育センター)
11月17日(日) 三療研修会(センター)
11月23日(土) 出会いと語らいの集い(未定)
12月1日(日) 70周年記念式典・更生相談会
12月3日(火)~9日(月) 障害者週間
― 平成26年 ―
2月15日(土)・16日(日) 北信越ブロック会議 代表者会議・青年部協議会・女性部協議会(新潟県)
3月30日(日) 理事会、評議員会(センター)
3月末 会報「ゆきしろ」第69号発刊
《編集後記》
文化部 部長 上坂 敏彦(こうさか としひこ)
青い早苗が、雨日を浴びて、垂れる稲穂に、苦労が実る。
さて、私たちが長年望んでいた「障害者差別解消法」が成立し、28年度より施行となります。至る所に、必要且つ合理的配慮をとなっています。今後の活動で、実りあるものにして行かなければなりませんね!
今回、グランドソフトボール富山県チームは、北信越で優勝し、名古屋へ東海地区代表愛知県チームと戦って来ました。
これからも、いろんな情報や投稿をお待ちしています。「ゆきしろ」は、みなさんの手で作られております。
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