会報「ゆきしろ」85号
(令和4年6月発行)
この「ゆきしろ85号」は令和3年10月1日~令和4年3月31日までの分を掲載しています。
第85号
(発行者)
社会福祉法人 富山県視覚障害者協会
〒930-0077
富山市磯部町3丁目8番8号
電話 (076)425-6761
Fax (076)425-9087
Eメール:bcb05647@nifty.com
Homepage:https://toyama-ssk.com/
(発行責任者)
会長 塘添 誠次
上の題字は 鶴木大壽 氏によるものです。
【ゆきしろ(雪代)の意味】
雪国にあって、大地が春の雪原と接する部分で静かに融けはじめ、しずくとなり、やがてかすかな流れをつくり、それが集まって春のはじめの雪どけ水となって音をたてて大河に注ぐ様を、古くから俳句における春の季語として「雪代(ユキシロ)」とよばれています。
当協会が、このしずくが集まって大河をつくるように大きく発展していくよう、願いを込めて命名いたしました。
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【ゆきしろ85号 目次】
《大会参加報告》
◆令和3年度日本視覚障害者団体連合北信越ブロック大会
▼目次ここまで
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視覚による情報入手が困難である私たちにとって、書類などを「書くこと」「読むこと」は困難を伴う行為であり、社会生活を送る上でこれらの読み書きに対する支援「代筆・代読支援」は必須のものであります。
近年では、音声パソコンなどにより視覚障害者自らが様々な書類を確認したり、記入することが可能となってきていますが、実生活では紙に印刷された書類などが圧倒的に多く、読み書きの支援は必要不可欠であります。
色々な書類の手続きにおいて、「名前だけでもいいから書いてください」とよく言われます。しかし、考えてみてください。小さな枠内に名前が書けるのであれば、何でも書けると思いませんか。字画の少ない人はひょっとしたら可能かもしれませんが、私のように多い者は例え書いたとしてもくちゃくちゃになり、何の意味もないと思います。大変ストレスになるのです。代筆していただけると、大変ありがたいのです。
金融庁からの指導により改善されたものがあります。それは、金融機関での預金の出し入れ・送金は、身体障害者手帳を見せて視覚障害者であることを証明すれば、複数の行員・局員の立ち合いのもと全ての銀行・郵便局・信用金庫などで代筆していただけるようになりました(まだなお、一部の支店などで周知が行き届いていないためにサービスが受けられない事例が見られますが)。
更に窓口からの送金の場合、一般の人はATMを使用した時より手数料が高いのですが、視覚障害者は同額になっています。
日視連は、国の委託を受けて平成30年度「視覚障害者への代筆・代読支援に関する調査研究」として、自治体の障害福祉サービスでの代筆・代読支援について調査を行いました。それによると、読み書きについて全体の86%が「困っている」と回答し、そのうち全盲では90%と高く、弱視でも80%が困っていると回答しています。
読み書きに困っている私たちは、この障害をどのように補っているのでしょうか。多くは家族に依存し、また、友人・知人、点訳・音訳ボランティアの方々、そして、近年ではICTの活用により補われているのではないでしょうか。
しかし、これだけでは解消されません。そこに福祉サービスが求められるところです。では、どういう福祉サービスがあるでしょうか。
現在、①同行援護における代筆・代読、②居宅介護における代筆・代読、③意思疎通支援事業における代筆・代読支援の三つがあります。それぞれについて触れてみたいと思います。
先ず同行援護についてですが、その業務に代筆・代読が明確に含まれることが明記されています。但し、移動中、外出先において必要な視覚的情報の支援の範囲となっていますので、自宅内では代筆・代読のサービスは受けられません。移動中、外出先となっていますので、例えば自宅に届いていた書類などをカバンに入れて外出し、公共交通機関で移動中や乗り換えの待ち時間、乗り物内において代筆・代読をしてもらうことができます。また、宅配便などの送り状を予め自宅で書いてもらうことができなくても、それを持って取次店に行き、そこで書いていただくこともできます。
次に居宅介護についてですが、自宅での代筆・代読は通常業務に支障のない常識的な範囲であれば居宅介護サービス(ホームヘルパー)で提供可能とされています。しかしながら、代筆・代読をしていただくことで、居宅介護の利用時間が減ってしまうという欠点があります。
そこで、居宅介護の時間を減らさないようにするために意思疎通支援としての代筆・代読が受けられれば、私たちはより安心して日常生活を送れるようになるのです。
2013年(平成25年)より、障害者総合支援法の地域生活支援事業において、意思疎通支援事業の一つとして、「代筆・代読支援」が位置付けられています。しかし、現実的には、視覚障害者のニーズの高さに反比例して、殆どの自治体で積極的な支援が実施されていないのです。私たちがこの福祉サービスがいつでも受けられるようになることが望まれます。
ところが現時点では、次のような場合に代筆が許されていないのです。
それは、「金銭の貸し借りの借用書」「小切手や手形などの現金の代わりとなる仕組みのもの」「土地の売買などの契約書」「手術の同意書」「保険の契約」などが挙げられます。そこで、これらも可能になるような仕組みづくりが課題です。
更に、支払代金の決済などでは、視覚障害者もクレジットカードを使用しますが、直筆によるサインが弱視者や全盲者には難しいため、クレジットカードが利用できないことがあり、代筆の利用や自署を必要としない方法が求められています。
これらのように、何かを書くこと・読むことが難しい視覚障害者は、健常者の視点で作られたルールに対応できず、結果的に利用できないサービスが大変多いのです。健常者と同じようにサービスを利用するためには、コミュニケーション支援の充実が求められ、特に代筆・代読の支援が求められます。
最後に、音訳ボランティアの皆さんから読んでほしい本や書類があれば、対面音訳も可能だと言ってくださっています。心強い申し入れなので、利用されるのも日常生活を快適にできる手段ではないでしょうか。
《大会参加報告》
◆令和3年度日本視覚障害者団体連合北信越ブロック大会
令和3年11月20日(土)から21日(日)にかけて福井県で開催される予定でしたが、今回も昨年同様に新型コロナウイルスの感染予防対策のため、リモートによる21日のみの開催となりました。
開会式では、福井県の橋本会長、米島ブロック長のご挨拶をいただき、午前は参議院議員・滝波宏文(たきなみひろふみ)氏による特別講演「読書バリアフリー法の成立と障害者情報コミュ ニケーション法の実現」、日視連の竹下義樹(たけしたよしき)会長による「中央情勢について」の講演があり、午後から代表者会議、青年部協議会、女性部協議会が行われました。
以下は、その内容です。
演題について、7項目(1.全体にかかわる動き 2.情報保障 3.バリアフリーの進展 4.同行援護 5.あはき 6.合理的配慮の進展 7.教育問題)の概要は、事前に資料をいただいていました。講演は7項目の概要の順に沿って進められました。概要の後に竹下会長の話された内容を書き加えました。内容の行頭に「・」を付してあります。
中央情勢報告
1.全体にかかわる動き
令和5年4月からスタートする第5次障害者基本計画の議論が開始された。本年5月に改正された障害者差別解消法に基づく基本方針の改定に向けた議論が山場を迎えている。本年9月に設置されたデジタル庁との話し合いがスタートした。
・具体的な事でなく、どういう分野においてバリアフリーが必要か、情報保障が必要か、という事が書きこまれる。
・この中に、視覚障害者の立場から何を盛り込んでもらえるかが重要である。これについて内閣府障害者政策委員会で議論が始まりました。
・団体ヒヤリングが続いており、12月から論点整理に入り、来年1~2月まで総論の議論を終了予定。総論確定後、それを基に各省庁で各論の議論をする。
・いろんな議論の中で、どれだけ障害の特性を充分に考慮した目標値を設定したり考えを盛り込んだりできるかが重要である。
・一番わかりやすい目標は放送における字幕の音声化や解説放送である。現状では、解説放送が可能な番組の中で16%しか実現していない。ちなみに手話通訳はほぼ100%実現されている。
・もう一つは、今年5月に障害者差別解消法が改正され、8条2項の合理的配慮については、民間企業は努力義務から法的義務になった。
・大事なのは、法律ができてもそれを実施する基本方針が作成されないといけない。
・差別には直接、間接、関連の3通りある。差別の範囲やとらえ方をどのように基本方針に書き込むかが難しい。
・デジタル庁は視覚障害者の情報アクセシビリティーの面から、極めて重要な役割をする省庁である。
・デジタル庁に視覚障害者が2名公務員として採用されている。アドバイザーとして仕事をしている。障害者が採用されている意義は大きい。
・私たちの要望や声は政策立案の段階から視覚障害の特性を充分に理解しての行政が大切であり、立案、法律、政策に反映してほしい。
・そういう意味で、2名がデジタル庁に採用された事は大きな前進であり、早速、デジタル庁から、各障害者団体にヒヤリングを実施したいとの話が出てきた。大きな前進です。
2.情報保障
オリパラにおいて開会式と閉会式及びいくつかの競技で音声解説が実施された。読書バリアフリー法の施行に伴う動きとして予算の増額がされた。代筆代読については、いくつかの自治体で広がりつつあるが、動きは鈍い。そうした中で、代筆代読のための支援員養成研修の準備を進めている。点字制定200年の記念事業を4年がかりでスタートさせた。
・情報保障の問題は視覚障害者にとって永遠の課題です。世の中が進んでも、情報の8割は目からという事で、常に情報の取り込みがどのように補充、補償されるかが大きなポイントになります。
・パラリンピックについて具体的に思った事は、開会式、閉会式、一部の競技において音声解説がされ、オリパラを通してバリアフリーやアクセシビリティーに一定の前進はあったが、それが社会全体の構造や仕組みにまで組み込まれていないのが残念です。
・読書バリアフリー法に関連して、サピエ図書館への補助金予算が大幅に増え、サピエ図書館の機能が更に強化される。これは読書バリアフリー法ができた成果でしょう。
・代読代筆の普及に日視連は力を入れている。障害者総合支援法の中の地域生活支援事業の中の一つの事業であり、任意事業になっている。これを必須事業にしていきたい。
・代読代筆を制度化するためには、それを担う人(ヘルパーや支援員)の養成が必要になってくる。これについて今、厚労省と話し合っている。既に神奈川県では代読代筆支援員の養成を始めている。
・2025年がルイ・ブライユが点字を考案してから200年になる。この年に向けて四カ年事業を組んでいます。韓国では点字法が制定されている。日本ではどんな形で点字を普及できるか。例えばブレイルメモなどを使って行政の手続ができないか。
・学校でIT教育が進んで、音声やデジタル教科書が出てきているが、点字という言葉が出てこない。これで良いのか。
3.バリアフリーの進展
全国団体長会議で研修会を実施。その中で、ICカードによる割引制度、オンラインによる割引チケットの購入、高速道路において手帳の提示による割引などが検討されようとしている。7月に駅ホームにおける安全対策に関する中間とりまとめ、9月に無人駅における安全対策に関する中間とりまとめが発表された。今後は無人駅における安全対策のためのガイドライン作りが進められる。夜間における音響式信号機を作動させるための押しボタンや、高度化PICSに対応した信号機などが設置されつつある。道路のバリアフリー整備ガイドラインの改定における有識者会議に対して意見を述べた。
・バリアフリー法の改正が4月から施行されている中で、地域ごとにマスタープランを作成する事になっている。その中に障害当事者を加えて議論する事になっているが、どこまで進むか。
・先日、団体長会議をオンラインで開いた時、国土交通省のバリアフリー振興室長を呼んで勉強会を行なった。
・朗報の一つとして、鉄道利用の割引制度により、割引チケットを買えるが、ICカードでも割引されるよう、関西から関東、ひいてはJRが全国的に取り組もうとしている。
・二つ目はチケットをインターネットでも購入できるようにして行く。ここで出てくるのはマイナンバーカードです。これを使ってチケットを割引購入できるよう検討している。
・三つ目は高速道路の割引制度について。今は手続が煩雑だが、これを手帳の提示で割引できるよう検討している。
・ホームの転落防止について。ホームドアがなかなか地方に広がらない。また、無人駅が増えている。どうにかならないか、との要望が視覚以外の障害者からもある。
・防壁ホームの安全対策について、7月に中間の取りまとめがされ、9月に無人駅についての中間まとめが出た。そのガイドライン作りについて検討が始まった。
・安全対策の財源をどうするかについて、全ての鉄道利用者の料金に10円までを上乗せする事により財源にしたい、と国交省が正式に発表した。
・これまでは国と県、鉄道会社が分担していた。ホームドア一つ作るのにざっと10億円かかるそうです。
・鉄道会社は赤字路線を廃止して経営を立て直す方向にあり、無人駅をなくするのは現実的でないと思う。それよりも無人駅における安全対策をどうするか検討するのが現実的と思う。例えば地域と協力してボランティア的にサポートするしくみを作れないか。
・交差点における音響式信号機が問題になっている。普及は広がりつつあるが、地元の騒音対策として音響が止まっている時間帯があり、視覚障害者にとっては逆に大きな危険になってしまう。
・そこで、シグナルエイド方式など、端末のボタンを押して必要な時だけ音響を作用するような信号機が望まれるのだが、いろんなメーカーがあって統一されていない。警察庁に統一をお願いしているが、皆さんは各県警にお願いしてほしい。
4.同行援護
第4版のテキストが発行された。移動従事者養成のための研修を現在の20時間から28時間に拡大するための検討がされている。
・厚労省から第4版のテキスト資料が出され、第3版までになかった、タクシー、バス、電車の乗り降りにおける安全な誘導の項目が追加された。
・ガイドヘルパーの養成事業に関して、研修時間を20時間から32時間に増やすよう要請していたが、厚労省から、逆にヘルパーさんの確保が困難になるという事や、盲ろう者のヘルパーの絡みもあり、28時間で検討されるようです。
5.あはき
19条訴訟は最高裁で審議中。自営業者を労災の特別加入の対象にすることについての検討が進められている。福祉と雇用の連携による自営業者への支援が広がりつつある。
・三つの19条訴訟について、地裁、高裁は共に国が勝訴したが、平成医療学園は上告している。最高裁は3つ共まとめて審理するとの事で、来年早々にも結論が出るようです。
・国が勝訴する事を望んでいるが、例え勝訴しても少し心配があります。議員連盟を通して法律改正の動きが出てくるかもしれません。
・今月から来月にかけ、労災保険の話が出てくる。特別加入といって、いわゆる一人社長でも加入できるようになる。これに先ず柔整師が手を挙げ、特別加入でほぼ決定する。
・あはき師も加入の方向だが、個人個人でなく団体加入が原則のようで、4団体が協議して個人事業主も加入対象にするよう働きかける方向です。
・福祉と雇用の連携について、例えばあはきの自営業者が往療に出かける、演奏家がコンサートに出かけるなど、これまで同行援護事業を経済活動に使うのはだめと言ってきたが、昨年10月から認めるようになってきた。
・あはき自営業者は二つの支援を受けられる事になった。施術所での代読代筆の支援と外出時の支援である。ただし、同行援護を受けている事が必要であり、現在29の自治体がスタートしている。月80時間を認めている所もある。
6.合理的配慮の進展
障害者差別解消法の改正に伴う基本方針の改定。相談体制の確立に向けた調査研究会の設置。
・必要とされる的確な援助を工夫してもらえれば平等が実現する、というのが合理的配慮である。これまで公共機関だけが法的義務だったが、今度は民間事業者も法的義務になった。
・各省庁が対応要領と対応指針を作成する事になっている。指針は省庁が民間事業者を指導するガイドラインの事。要領は省庁が実践する内容の事。
・どこまで合理的配慮が広がるか、また、我々の日常生活にどのように結びついてくるか、みていく事が大事である。
・今、相談体制強化が大きな課題であり、特別委員会を設けて実態調査をしている。
7.教育問題
理療科教育の今後についての議論を開始した。
・今年になって出てきたのは理療科教育について。筑波技術大学の鍼灸専攻課程の今後の課題、同大付属盲学校の理療科の問題、全国の盲学校の理療科の現状をどうとらえ、どうしていくか。理療科教育の将来に大きな不安を持っている。
・筑波付属盲学校は理療科の入学採用を停止した。これは危機的である。筑波大学、付属盲学校、全国の盲学校、ともに生徒数が定員に届いていないのが現状である。
・私(竹下)は地域ごとに理療科を考えるべきでないか、都道府県ごとの対応は無理でないかとの意見を持っていたが、理教連は賛成しなかった。教育問題と理療科教員の身分保障の問題がぶつかっていた。
・あはきの将来を考えると教育問題はおろそかにできない。全国の盲学校の先生が集まって真剣に議論しないと、我々の方から文部科学省に要望する事ができない。
午後1時30分から今年度も「リモート」により、各県からの代表者・日視連「オブザーバー」竹下会長、富山県からは4名を含めた17名の参加により福井県の担当で進行されました。
以下は審議内容です。
1.日視連理事会報告
石川県視覚障害者協会米島芳文(よねしまよしふみ)理事長より報告がなされその中で主なものでは、第5回理事会(8月6日開催)において、
日視連顕彰の改正
日本視覚障害者団体連合からの表彰者について来年度からの規定の改定を視野に議論されているようであるが、現段階では各ブロックでの意見の集約が必要である事を踏まえて、この問題は今後継続審議となりました。
日視連全国大会の今後の開催順について
毎年開催されている日視連の全国大会は、近年は開催県を決めるにあたって候補地の選定が難しく困難を極めている状況に、その打開策として全国を9もしくは6ブロックに分けて順に回し、その地域で順番を決めていくという原案が示され、北信越ブロックとしては6ブロックに分けるという案が大勢を占めた。
ちなみに北信越は、東海地区と併せたブロックとなり、令和4年は名古屋市での開催がすでに決まっており次回の開催順は6年後(令和10年)に回ってくる事になるためブロック間の話し合いで開催県を決めるという事になります。
2.あはき協議会状況報告
富山県視覚障害者協会塘添誠次会長からなされ、質疑応答がありました。
3.各県提出議題
石川県1題、福井県から2題が出されました。
・石川県
視覚障害者の鉄道利用(無人駅)利用時における課題と対応策等について
提出理由:総合的な安全対策を行う上で今後取りまとめを行って全国大会に提出する。これと同様の提出理由が4項目示されているが、ここでは省略。
・福井県
① 1日も安全な歩行環境をお願いしたい
提出理由:冬場の降雪により路面状況の変化は視覚障害者の安全な歩行の支障となります。見えない人も見えにくい人にとっても歩道と車道の区別がつかなくなります。除雪にあたっては歩行者に配慮するとともに、点字ブロックに沿った歩行者の確保を優先的に行っていただくよう要望します。
② 障害者雇用に関する問題
病院や福祉施設等に従事している視覚障害者が差別なく安定して長期就労できるよう行政から指導してほしい。
提案理由:省略
この後の討議の結果、福井県からの1番目は全国大会への提出では無く、地元自治体(行政機関)に要望するのが相応しいとの意見。これらの意見を踏まえて、福井県から、この提案理由を取り下げたいとの申し出がありました。
又、石川県・福井県の2番目について、提案理由がいくつにもわたりこのままで全国大会へ提出するのは難しいとの事。今一度提案理由を取りまとめていただき、再度北信越の各団体長に内容を示していただくことでまとまり、今回のブロック会議での採択は見合わせることとなりました。
4.令和3年度日視連北信越ブロック大会日視連顕彰(けんしょう)被表彰(ひひょうしょう)候補者推薦について
日視連顕彰光の泉賞の候補者として、福井県視覚障害者福祉協会斎藤道子氏を推薦することが決まりました。
5.北信越ブロック間の来年度行事予定報告
以下、大会予定です。
・北信越グランドソフトボール大会 5月29日(日) 新潟県
・北信越ブロック会長連絡会議 8月30日(火)~31日(水) 富山県
・北信越サウンドテーブルテニス大会 10月22日(土)~23日(日) 長野県
・北信越ブロック大会 11月26日(土)~27日(日) 石川県
以上の報告で質疑は終了。
終わりの挨拶で、各県代表者、日視連竹下会長からも、2年続いたリモート会議も疲れてきているので、来年度は石川県に皆が集い1泊どまりでゆっくり懇親を深めたいと抱負を述べられて午後4時に代表者会議を終了しました。
今年度の青年部協議会は石川県の主催で行われました。石川・福井・富山は青年部員が、新潟・長野からは事務局職員の出席でした。富山県からは青年部長の濱野と副部長の小林さんのオッサン二人が出席しました。
会議の内容は大きく分けて以下の3つです。
1.青年協議会への提出議案
2.青年協議会の年齢制限に対する対応
3.グランドソフトボールチームの存続について
提出議案は石川県より無人駅の利便性と安全性を求めるもののみが出されましたので、これを提出することになりましたが、焦点が定まっておらず、「おねだり」に近い内容でしたので、青年協議会の通過は難しいと思います。
年齢制限については現在、青年部員がいる富山・石川・福井でも全員が45歳以上で、2023年度以降には北信越ブロックに青年部員は誰もいなくなってしまう可能性があります。ただ、これに対して各県は楽観的に考えているようで、特に対応・対策は考えていないようでした。富山県では若手を探し誘うことはもちろんですが、青年協議会の年齢制限に対し、詳細の再検討とともに、実施された際の対抗策を準備しています。
グランドソフトボールチームについては各県ともに存続に苦慮しています。現選手の高齢化と後継者不足による部員不足の上に、コロナウイルスの影響で練習に集まることも試合に出かけることも制限を受けています。石川県からは今後北信越大会を開催しないことを提案されました。濱野としては「やりたい」と思ってくれる若手が少しでもいる以上、年長者がそれを潰すべきではないと考え、「やれる限りはやるべき、そもそもここで議論する件ではない」と否定しました。
以上のように少し後ろ向きな内容になってしまいましたが、次年度には明るい議題が話し合われることを心から願っています。
13時30分から16時まで福井県主催のもと、新潟県の水野常任委員の進行で始まり、今年度より就任された阿部央美(あべてるみ)会長の挨拶がありました。続いて4月に新型コロナ感染症蔓延の中、心筋梗塞で緊急入院された時の、困ったこと心配したことなどやとまどいと不安・安心などの体験談を話されました。
続いて協議内容に移り下記のように決まりました。
1. 2022年日視連全国福祉大会・名古屋大会への提出議題。
医療機関における緊急時の検査や治療及び手術時において、求められる同意書やその他の書類への署名を求められますが、視覚障害者のため自署できないときには、複数の医療スタッフの立ち合いのもとで代読代筆をしていただき、早急に処置が受けられるように要望します。
2. 2022年全国視覚障害女性研修大会福島県大会への提出議題。
3月の全国委員会への提出議題。
最近セルフレジが多く導入されてきていますが、視覚障害のため精算が自分でできません。
レジ機械の画面や操作ボタンなども大きくし、紙幣の挿入口などを音声案内で行えるようにしていただき、有人レジなど人員も一人以上の配置を要望します。
3. 全国委員会出席への支援金について。
電話やリモート会議だったので支援金は集金しないことになりました。
4. 2022年福島大会での各ブロック代表の発表者は石川県からです。
5. 2022年北信越ブロック大会は石川県の担当です。
新型コロナウイルス感染症蔓延が予想されるので、日程が決まれば早急に連絡をお願いします。
全国大会で経験済みのリモート会議にも慣れて活発な意見交換が行われました。予定時間には閉会しました。
今回は、昨年と同様にリモートでの開催となりました。リモート会議には少し慣れてはきましたが、会議だけをしているという感じで人と人との触れ合い、交流がないのが物足りなく感じます。移動しなくても良いという利点はありますが、やはり直接会っての会議の方が話しやすく、お互いの気持ちが伝わりやすいように感じました。
来年度は11月26日(土)から27日(日)に石川県で開催されることが確認されました。研修会も計画されると思いますので、多数の参加をお願いします。
令和3年度の球技大会はコロナ禍のため一度は中止となりましたが、感染者が減少してきたこともあり、感染対策をとれば大丈夫ではないか、ということで10月3日(日)にサウンドテーブルテニスを行いました。
9時50分より開会式が行われ、塘添会長の挨拶に続き、審判から試合方法やルールについて説明があった後、10時から試合が始まった。
午前は女子A(アイマスクあり)の部が、9名の参加で3名ずつ3組に別れて予選リーグ戦が行われ、各組1位3人が決勝リーグ戦を行い順位を決めた。
午後は男子A(アイマスクあり)の部と男女混合(アイマスクなし)の部が行われた。
男子Aは6名参加で3人ずつ2組に別れ予選リーグ戦が行われ、その後各組1位と2位の決勝トーナメントが行われた。
男女混合の部は3名の参加で、決勝リーグ戦を行い順位を決めた。全体的に、白熱した試合が行われていました。
各部門の成績は、次の通りです。
・STT-A 女子の部
1位 徳市和美 2位 本江とみ子 3位 池田スミ子
・STT-A 男子の部
1位 中西美雄 2位 川口勇人 3位 林 大志(ひろし)
・STT-B 男女混合の部
1位 池田一義 2位 赤石美枝子 3位 徳市秀晴
協力していただいた審判や職員の皆様、ありがとう御座いました。
なお、グランドソフトボールは3月20日(日)に城川原運動公園で行いました。(参加者7名)
11月14日、ライトセンターにて三療研修会を24名の参加で開催しました。午前は参加者同士による技術交換、午後には講演会と盛りだくさんの内容でした。
午後の講演会ではVドラッグ熊野店の薬局長で薬剤師の斎藤大資(さいとう だいすけ)先生から薬のお話を伺いました。
はじめにサプリメントや健康食品の効果や危険性について聞かせていただきました。サプリメントや健康食品には一定の効果は期待できるとされたうえで、内服している薬との飲み合わせやアレルギーなどに注意すべきで個人差もあるので、薬剤師に相談した上で服用した方がいいとのことでした。たとえば、脳梗塞や心筋梗塞の薬ワーファリンの効果を青汁が弱めてしまうなど。
次に処方薬の注意点を話していただきました。お薬手帳を1冊にまとめて飲み合わせを管理することや、かかりつけ薬局やかかりつけ薬剤師をつくって、気軽に相談ができるようにしておくことをお勧めされました。
最後に参加者からの質問に答えていただいたのですが、質問が途絶えることはなく、30分以上も次々に出される質問に答えていただきました。参加者の薬に対する興味・関心・疑問・不安がとても強いことがよくわかりました。
今回の三療研修会は趣向を変えて薬剤師さんによる講演としたことで、参加者も多く、とても有意義な時間になったのではないでしょうか。
師走に入り、気ぜわしい時期となりましたが、天候にも恵まれた12月5日(日)、令和3年度の更生相談会が、午前10時よりライトセンターで開かれました。会員と同行者併わせて50名ほどが参加して、コロナ禍のため、研修室とロビーに分かれての開催となりました。
最初に「マイナンバーカードについて」と題して、富山県知事政策局デジタル化推進室情報システム課(電子県庁推進担当)副主幹の朴木隆裕(ほおのき たかひろ)氏を講師に招き、講演と説明を受けました。
マイナンバーカードを取得して活用(身分証明、健康保険証)すれば、いろいろな手続きが迅速に行われるようですが、パソコンやスマホの操作が苦手な方々にとっては、少し不安かなとも思いました。
講演会終了後、事務局から令和4年度の事業計画案についての報告、その後「第75回日視連全国福祉大会・名古屋大会」の旅行団について、山内副会長より日程についての説明があり、最後に短い時間でしたが意見交換会があり、今年もコロナ禍のため12時30分に終了となりました。
1.令和3年度第3回理事会
12月9日(木)14時よりライトセンター研修室において、理事10名・監事2名の出席により開催されました。
ここでは第1号議案・令和3年度事業報告について、会長から3年6月から12月までの間に開催された協会行事について概略が説明され、この中で今年も新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、家族激励大会、文化祭等多くの会員の集う行事は中止せざるを得なかったものの、それ以外の行事については概ね開催できたことが報告されました。
その後、各担当の業務執行理事の方からより具体的な行事報告がなされて、理事全員の承認を受けました。
続いて第2号議案・評議員選任・解任委員の選任について、ここでは、1名の欠員にともない早急に評議員選任・解任委員の補充が必要であることから、会長から新しい候補者、森 丞(もり じょう)氏の紹介がなされた後、審議の結果、理事全員の賛成により承認されました。
2.令和3年度第4回理事会
令和4年3月17日(木)14時よりライトセンター研修室において、理事10名・監事1名の出席で開かれました。
第1号議案・令和4年度事業計画(案)について審議され、理事全員の承認をいただきました。
第2号議案・令和4年度予算(案)について審議がなされ、同じく承認されました。
第3号議案・経理規程の改正について、この規程は、本協会法人の経理の基準を定めたもので数年に1度改正が行われる中で、先の平成26年4月1日に施行されてから8年が経過した今日、改正されることになり、今回理事全員の承認をいただいたことから、令和4年4月1日から実施される事になります。
3.合同会議
3月27日(日)午前10時よりライトセンター研修室において、この日は理事・評議員・支部長・青年部・女性部・スポーツ・三療等の代表の皆さん方と監事1名にお集まりいただき、会議が開催されました。
合同会議は議決機関ではありませんが、皆さんに自由に意見を述べていただける唯一の場として、年度末に1回、この様な会議を設けております。
会長からの挨拶の後、令和4年度事業計画案についてその基本方針9項目を一つ一つ事務局からの説明の後、会長からの補足説明、その後会場から質問など受ける形で進められました。
続いて、事業の概要、災害時対応、事業内容が報告されました。
二つ目の項目は今回の大きな議題である、支部会費の見直しについて改正案が事務局から報告されました。
この問題については、1年前の合同会議で多くの支部長の皆さんから支部会費の負担が大きいとの意見が出されたことから、見直し案が示されました。
協会としては今回の見直しにより、協会収入が100,000円余りの減少にはなりますが、支部長さんからの意見を重視する形で落ち着きました。
今後の協会の運営については、今まで以上の多くの会員の皆様のご寄付に頼らざるを得ないことから、会議の席でも会長からこの点についてお願いがなされました。
終わりの意見交換会では、あいの風とやま鉄道への障害者割引問題、マイナンバーカードに関する質問などが多く寄せられ、活発な意見交換の場となり、12時に会議を終了しました。
コロナウイルスの発生(感染被害の拡大)から丸2年が経過し、未だ終息の気配が見えない今日、令和4年度はワクチン接種・感染防止対策を徹底させたうえで、参加者の動向を踏まえながらできる範囲で協会行事は再開して行きたいものと考えており、今後とも多くの会員の皆様のご理解ご協力をお願いしたいと思うところであります。
◎第18回 無人駅について(2021年10月2日)
今回は無人駅についてのお話です。富山県内には路面電車も含めてJR西日本、あいの風鉄道、富山地方鉄道、加越能(かえつのう)鉄道に170を超える無人駅があります。有人駅に比べて圧倒的な数です。これらの中には駅舎のある駅もあれば、路面電車の駅もあります。
我々、視覚障害者にとってはとても不便で危険なことです。大分県では駅無人化に反対する裁判が進められていますが、この結果が大きく影響してくると思います。障害者にとっては命の危険もあることですし、命はお金では買えないものですが、鉄道会社も公共交通機関の維持と社員の生活がかかっています。なかなか一方的には解決のつかない問題かと思います。
障害者差別解消法により合理的配慮は義務付けられますが、これは何でも健常者並みに利用できることを保障するものではありません。まず、こちらが配慮を求めない限り、配慮の義務はありませんし、配慮の内容も一定ではありません。障害者差別解消法は我々の社会福祉を一歩前進させましたが、そこから生まれた合理的配慮は万能ではありません。我々が何に困るのかを伝え、何をどこまでなら手伝ってもらえるのかをお互いに理解しておく必要があります。
富山県視覚障害者協会では無人駅にどんな問題があるのかを考えています。おそらく、弱視の方と全盲の方では問題点が違うと思いますし、年に数回と、毎日利用するのとでも違いがあると思います。ただ、残念ながら、それらはこちらの想像でしかないため、何といっても重要と思われる、実際に無人駅を利用されている方からの情報を募集します。
皆様の中で実際に無人駅を利用されている方、あるいは、そのような方をご存知の方がありましたら、お知らせくださいますよう、お願いいたします。頂いた情報はまとめて、各鉄道会社に改善をお願いする材料にさせていただくとともに、その結果は改めてご報告いたします。
◎ 第19回 他者にアシストを求める方法(2021年11月23日)
今回は他者にアシストを求める手段として、ちょっとした話題をご紹介します。
1 白杖でSOSサイン
私はかなり視力の低い弱視で、10年くらい前から行き先によっては白杖を使っています。知らない土地や人混みでは自分の足元の安全だけでなく、他者に対しても視覚障害者の存在を知らせることで、更に安全を確保できると考えてのことです。
そんな白杖中途半端使用者の私は知りませんでした。白杖によるSOSサイン。これは身の危険のような緊急事態用ではなく、迷子になったとか、方向がわからなくなったなど、ちょっとしたアシストを周囲の人に求めるものです。やり方はその場に立ち止り、白杖の石突を下にして、持ち手が頭上50センチくらいになるように持ち上げます。あとは誰かが声をかけてくれるのを待つだけです。
これを実際にやってみた方はいらっしゃいますか。私は見たこともやったこともありませんでした。このサインを使った視覚障害者がいて、それをアシストした人のツイッターがネット上で話題になっています。すでに8万リツイートを超えているそうです。世の中の多くの人が「へー」って思うSOSサインって、どうでしょう。役に立つのでしょうか。
さて、この方法を知らなかった私が偉そうに言えたことではありませんが、これを機会に私たちが実際に使っていき、その姿を多くの人に見せていけば、誰もが知るSOSサインになっていくのではないでしょうか。いつのことになるかわからない長い話にはなりますが、積み重ねていかないといけないことの一つと思います。
「ばえー」な写真を追求しなくても8万リツイート超えとは立派なものです。
2 Be My Eyes(ビーマイアイズ)
これはアンドロイド・iOS用のアプリケーションで、視覚障害者が困った時にビデオ通話を使ってアシスタントが会話しながら画像を説明してくれるものです。
例えば、目的地の建物には着いたのに入り口がわからない時、ビデオ通話の画像を見ながらアシスタントが行き先の指示をくれます。また、「このシャツにどの上着を着れば色合いがいいのか」などのコーディネートも、ビデオ通話でワードローブを見ながらアドバイスしてくれます。アシスタントは一般人で、特に何かの技能を持っているとは限らない、このアプリに登録している人たちです。ですから、専門的なことには対応できません。責任もありません。おそらく毎回違うアシスタントとつながります。
それでも、このアプリの最大の良さは「人が答えてくれる」ところです。画像を見ながら見たり読んだりしながら教えてくれるので、問題を絞った質問や確認もできます。自分が何に困っているのかをより正確に伝えられます。そして、なんと、無料です。
さて、私は実際にこのアプリに登録して使ってみることにしました。そしてびっくりしました。アプリの画面も説明書きも選択肢も全部英語。さっぱりわかりません。それでもがんばりました。間違えてアシスタントする側に登録したりしながらがんばりました。結果、登録できました。登録さえしてしまえば、アシストを求めるボタンを押すだけなので、あとは簡単です。
自宅で特に困ったことはありませんでしたが、とりあえずアシストを求めてみました。1分ほど待って若い声の男性につながりました。心配しましたが、ちゃんと日本語でした。当方が初体験であることを伝え、明日着る服を選んでもらいました。5分ちょっとの通話でしたが、丁寧に教えてもらいました。互いの自己紹介も世間話もなし、相手の顔も映りません。それがアシスタントの負担を軽くすることになるようです。
ちょっと世知辛い気もしますが、これがイマドキのアシストなのかもしれませんね。英語だったり、世知辛かったりはしますが、とても便利なツールだと思います。
今回はアナログとデジタルなアシストの話題でした。物事に一長一短は付き物ですが、まずは1回、2回と挑戦してみてはいかがでしょうか。
◎第20回 富山県の鉄軌道(2022年1月30日)
今回は富山県の鉄軌道(鉄道・路面電車・ケーブルカーなど)についての話題です。
富山県民の視覚障害者としては、利便性に注目して「田舎は不便だ」なんて否定的に思いがちですが、全国的にみれば富山県の鉄軌道はバラエティー豊かで鉄道ファンの人気も高いようです。新幹線で首都圏と2時間程度でつながり、路面電車が広範囲に走り、トロッコ電車やアルペンルートのような変わり種もあります。
最近は富山駅で市内電車の写真を撮る人をよく見かけるようになりました。「撮り鉄」といわれる人でしょうか、観光活性化はうれしいのですが、ちょっとジャマです。ちなみにすべての市町村に駅があるのは全国でも富山県だけです。そんな富山県の鉄道・軌道のお話です。
まずは、あいの風鉄道。「一万三千尺物語」という観光列車が走るようになりました。一万三千尺は約4000メートルで立山のてっぺんから富山湾の底までの高低差のことです。窓が大きく外向きのカウンター席がある特別車両で景色を楽しみながら、豪華なお弁当を食べるもので、富山駅を発着点に高岡駅と泊駅間を往復するものです。
専門のアテンダントが付いて、多目的トイレも設置された豪華な車両、そして懐石コースか寿司コースのお弁当付きで15000円。高いか安いかは人それぞれの感性でしょうが、私には乗ってみてレポートする甲斐性はありませんでした。
つぎに万葉線のお話です。以前から万葉線では「声の車掌」として次の駅や周辺の観光案内を射水市出身の落語家、立川志の輔さんのアナウンスが流れていました。駅間が短いのでアナウンスを最後まで聞けないくらい尺が長いのに軽妙で、声も聞きやすく、たまにしか乗りませんが私も楽しんでいました。先日、久しぶりに乗りましたら「声の車掌」は富山市出身の声優、上田麗奈(うえだれいな)さんに代わっていました。
高岡駅を出発したころは「いまどきは落語家よりアニメかなあ」とか「やっぱりオッサンよりお姉さんだなあ」とか思って楽しんでいたのですが。ほとんど駅名しかしゃべらない上に、車両が旧式で騒音が大きいので女性の柔らかい声では聞き取りづらい。これもまた、私の感性かもしれませんが、庄川の鉄橋を越える頃にはオッサンの声が恋しくなっていました。繰り返しになりますが、「富山市」出身の声優、上田麗奈さんです。万葉線なのに。
最後は利便性委員会らしく無人駅のお話です。国土交通省「駅の無人化に伴う安全・円滑な駅利用に関する障害当事者団体・鉄道事業者・国土交通省の意見交換会」によれば、富山県の鉄軌道の駅の無人化率は70.3%で全国12位(無人化率の高い順)。
これが自称「鉄軌道王国」の実態です。これには路面電車も含まれています。ちなみに全国で無人駅が一か所もない都道府県が一つあります。さて、どこでしょう。答えは文末です。ちょっと考えてみてください。
線路があること、駅があることは利便性の向上になりますが、我々にとって無人駅が増えることは危険性が高まってしまいます。富山県には公表されているだけで一日乗降客数が100人以下の駅が34か所もあります。富山地方鉄道越中中村駅(滑川市の東端)にいたってはたった8人です。
さて、全国的にみて富山県の駅の無人化率が高いことはわかりましたが、「それでも駅はある」と、自称「鉄軌道王国」らしく肯定的な見方もできます。問題は「その無人駅は安全か」なのではないでしょうか。無人駅の安全性が確保されて誰にでも利用しやすくなってこその「鉄軌道王国」だと私は思います。
利便性委員会では引き続き無人駅の安全性について皆様からの情報を募集しています。よろしくお願いいたします。
最後になりましたが、クイズの答えです。無人駅が一か所もないのは沖縄県です。あそこは「ゆいレール」しかないですからね。
◎第21回 あいの風とやま鉄道の障害者割引の不思議ルール
(2022年3月12日)
今回はあいの風とやま鉄道の障害者割引についてです。本日、我が家から300メートルのところに、あいの風とやま鉄道の新駅が開業しました。新しい駅は「新富山口」で富山駅と東富山駅の間、下冨居(しもふご)にできた無人駅です。自身が利用するためにいろいろと調べたところ、あいの風とやま鉄道の障害者割引に不思議なルールをいくつか見つけましたので、まとめてみます。
有人駅から乗車する際は有人窓口で障害者手帳を見せて切符を購入します。このとき、従来の紙の障害者手帳だけでなく、ミライロID(マイナポータル連携済み)を見せても購入できます。
ここで不思議ルール①。ミライロIDで切符を買って電車に乗っても、車内で車掌さんに見せるのは紙の手帳でないといけません。ミライロIDで買える意味がわかりません。
無人駅から乗車して有人駅で降車する際、不思議ルール②。なんと、切符は買わずに乗車します。降車してから有人改札で手帳を見せて乗車駅を申告の上、料金を支払います。私はしませんがキセルし放題な気がします。「だったら小人切符で」と聞いてみたところ、「それはダメ」とのことでした。
無人駅から乗車して無人駅で降車する際、不思議ルール③。小人切符を買って乗車します。だったら、ルール②の「小人切符はダメ」の意味がわかりません。
これらのルールは単独利用でも介護者同伴でも同様になります。私はルール②が面倒なので、富山から新富山口間の障害者割引回数券を買ってきました。3ヶ月で11回乗車するように頑張ります。
さて、話は少し変わりますが、近距離単独利用での障害者割引は富山ではJR西日本以外で受けられます。ですから割引があって当然のように思われがちですが、都市部ではほとんどありません。例えば東京では都営の乗り物以外にはありません。田舎の富山の方が進んでいる部分です。
各鉄道会社にとって障害者割引、特に近距離単独利用は義務ではありません。我々はルールを守る義務を果たすことで、割引を受ける権利を得ます。不便でも不思議でもルールはルールですから、面倒でも守るしかありません。ただ、現状、利便性が悪く、その必要性が理解できないのも事実です。今後、あいの風とやま鉄道様には割引いただいていることに感謝をお伝えしつつ、利便性向上のため、現行ルールの見直し、あるいは不思議ルールの必要性について、ご説明をお願いしていこうと思っています。
出会いは私が19歳の時、当時盲学校の専攻科在学中、誘われて行った立山登山。サポートしてくださった三ツ星山の会の方々のおかげで、山登りなんて大嫌いだった私が、富山県民なら一度は登っておかなければいけない山に無事登頂することができた。
それをきっかけに山の会に入会し、いろいろな里山に行き、自然を感じ、温かい会員のみなさんと交流を深めてきた。
山登りだけでなく、冬にはブラインドスキー、そのほかにも近隣の県へバスハイクなどちょっとした旅行気分で楽しむことができた。
途中、出産・育児でしばらく行事には参加していなかったけど、ある程度子供が大きくなったころから親子で参加するようになった。子供にもなかなか経験することができない自然と触れるということ、自分たちでは行けないようなところに行けるのが魅力的で、周りの方々に支えられながら参加している。
ここ最近では、新たな取り組みとして、クライミングというスポーツにも力を入れている。数年前、三ツ星山の会が創立20周年記念式典で、記念講演の講師としてお招きしたパラクライミング世界チャンピオンでNPO法人Monkey Magicの代表を努める小林幸一郎(こばやしこういちろう)さんとの出会いで、クライミングというものを知った。
クライミングは、壁についているいろいろな形のホールドと呼ばれる石を使って登るもので、命綱なしで登るボルタリングと、ロープにつながれて登るロープクライミングなどがあり、富山県内にも素晴らしい設備が整った施設がいくつもあることが分かってさらに興味がわいていた。
初めて登ったのが、南砺市にある桜ヶ池クライミングセンターだった。秋晴れのもと、小林さんもご一緒してクライミング体験会が開催された。ここは、外には高さ15メートルほどの見事な壁がありそこをロープをつけて登っていく。視覚障害の私たちがただがむしゃらに登るのではなく、サポートしてくれる晴眼者とペアを組み、サポーターが下から登りやすいルートを見つけそのホールドの方向と距離と形を指示し、その指示通りに登っていくという仕組みだが、実際チャレンジしてみるとなかなかむずかしくゴールまではたどり着けなかった。
デモンストレーションで小林さんが登っている姿は、何の迷いもなくまるで見えているのでは?というくらいスムーズに登っておられ、ただただ驚くだけだった。
私も子供たちも夢中で登っているうち、腕や足が痛くなりながらも、恐怖というよりもゴールまでたどり着いてみたいという気持ちのほうが強く、登りだしていくと疲労もありながらも周りの仲間たちからの声援が励みとなり、おもしろいくらい体が動き進んでいって見事ゴールにたどり着くことができた。
途中からいろんな感情が混ざりあい、いつしか子供のようにはしゃぎまくり絶叫していて、なんとも言えない達成感があった。
富山市内にも数か所ボルダリングジムがあって、山の会でも何度か例会でおじゃましている。
そのうち、「リッジライン」という施設では、小林さんが全国的に、クライミングの普及を目的に行なっている交流型クライミングイベントの一環として、富山でも「剣(つるぎ)モンキー」という名で定期的に行われている。
これは、障害の有無を問わずみんなでクライミングを楽しもうという趣旨ではじまったもので、私たちも何度か参加しているが、クライミングを通じていろいろな方と交流する機会ができ、一緒にクライミングを楽しめるというなんともお得感があってよかった。
この他にも、誘われて行ったブラインド伴走会の練習会にも、運動不足解消にと始めたランニングもいつしか目標がいろいろ出てきて、本当は走ることも大嫌いだった私が、昨年富山マラソン4キロジョギングの部に出場することができた。
今では、コロナウイルス流行により、いろいろな活動が制限・中止に追い込まれていて、外出する機会がもともと少なく、人と人とのつながりが必須な私たちには本当に辛い状況になっている。
我が家でも、昨年末までは制限がありながらも山の会の行事や、散歩などできていたが、今年に入り、連日の大雪、コロナ第6波の影響で子供たちが通う学校にも魔の手は押し寄せ、しばらく家族みんなが自由が利かない状況に陥った時もあった。
冬場の定番スキーはもちろん、家の前での雪遊びすら十分にできず、ひたすら家にこもるしかなく、いつしか家族の会話も減っていっていた。そこからなんとか脱却しなければと思いながらいろいろ模索している。
まずは、暖かくなってきたらウォーキングをはじめ、冬場動かさなかった身体を目覚めさせること。あとは、いろいろチャレンジしていた頃を思い出し前向きに考えること。
一刻も早く感染状況が落ち着くことを強く祈りながら、いろいろな活動に早く参加し、温かい仲間とのふれあいができる日が来るのを願うばかりです。
【はじめに】
コロナ禍、協会の行事も減って、その報告が少なくなった。それで暇人の私に原稿依頼が来た。以下に書くことは、他愛のない、退屈なものなので、読み飛ばしていただきたい。
私は、失明して50年、内白杖歩行で25年、盲導犬歩行で25年がたった。視覚障害生活も長くなったものである。
白杖歩行と盲導犬歩行の違いは、どこにあるか。簡単に言えば、朝、家を出るときにある。
白杖歩行は、体調が悪ければ、感覚も鈍り、歩くことが億劫になる。聴覚、触覚などを総動員して安全歩行に神経を集中する。それでも電柱にぶつかったりもする。これでは気楽に、楽しく歩くことなどできない。特に中途失明者は大変である。
一方、盲導犬歩行はボーッとした頭でも、安心して歩くことができる。パートナーと楽しく歩けるのは盲導犬ユーザーの特権でもある。
1頭目のカイと歩き始めた頃である。金沢の盲導犬ユーザー、Mさんにアドバイスを受けた。「40歳を過ぎると勘も鈍るし、歩くのが嫌になる。盲導犬はいいよ」
さらに、こうも言われた。「ほどほどでいいやと思ったら、どんどん崩れていくよ」
昨年の4月、キズナとの共同訓練のため、横浜に行った。そこの職員に言われた。「引退犬3頭ともハッピーリタイヤーですね。あまりないことですよ」
ハッピーリタイヤー! いい言葉である。 人間だって、定年まで勤め上げれば「おめでとう、万歳、お疲れ様」、ハッピーリタイヤーである。
1頭目のカイ、2頭目のポッキー、そして3頭目のノーベルといずれも元気で最後まで働いてくれた。そしてたくさんの思い出も残してくれた。感謝である。
現在の私は、犬たちが作ってくれた「生活リズムプログラム」によって暮らしている。
【よかったこと】
(1)人の世話にならずに、行きたい所へ一人で行ける。
(2)規則正しく、起床できる。
(3)異類(人間以外の生きもの)、犬との対話を楽しめる。
(4)健康にいいとされる適度な運動、すなわち散歩が楽しくできる。
(5)出かけた先で、犬を介しての会話が楽しめる。
【大変なこと】
(1)毎日の世話(動物好きなら簡単にクリヤーできる)
(2)受入拒否(最近は減ってきた)
(3)家の掃除(抜け毛の後始末)
話は変わるが、ある在日韓国人の随筆に、こんなことが書かれていた。
「差別が存在する中、差別されるものでなければ味わえない『極上の人間性』に出会えることもある」
視覚障害者が、単独で行動すれば、いろんな行き違いも生じる。レストラン、ホテル、病院、乗り物等、補助犬の受入拒否もその一つである。
単純なトラブルは説明すれば解決できる。しかし、差別や、偏見、憐れみ?そんな情緒が絡むとやっかいである。嫌なことが続くと、悲しくもなる。
そんな時、思いやりのある「優しさ、温かさ」に接するとたまらない。目が潤む。人間も捨てたもんじゃないぞ。
まさに、「極上の人間性」体験である。
【おわりに】
小説家、開高 健(かいこう たけし)の言葉に、こんなのがある。途中は省くが、「1時間楽しみたかったらお酒を飲みなさい。三日楽しみたかったら結婚しなさい。そして一生楽しみたかったら釣りをしなさい」
私は考える。
「盲人が、生涯(障害)生活を楽しみ、豊かなものにしたかったら盲導犬を持つといいよ」
高野 敦子(たかの あつこ)氏(黒部市) 11月 逝去
ご冥福をお祈りいたします。
日本視覚障害者団体連合顕彰 光の泉賞
柳田 久雄(やなぎだ ひさお)氏 R3.5.24
ボランティア活動推進富山県民会議会長表彰
西田 昌子(にしだ まさこ)氏 R3.10.7
駒方 三千代(こまがた みちよ)氏 R3.10.7
富山県社会福祉協議会会長表彰 社会福祉事業関係功労者
作田 佳弘(さくだ よしひろ)氏 R3.10.21
受賞おめでとうございます。
10月3日(日) 令和3年度富山県視覚障害者球技大会〔第47回サウンドテーブルテニス〕(センター) 18名
10月23日(土)~ 25日(月) 第21回全国障害者スポーツ大会(三重県)→ 中止
10月30日(土)・31日(日) 第30回北信越サウンドテーブルテニス大会(新潟県)→ 中止
11月7日(日) 第21回富山県障害者スポーツ大会~卓球競技(県総合体育センター)
11月14日(日) 三療研修会(センター) 24名
11月21日(日) 令和3年度日本視覚障害者団体連合北信越ブロック大会(福井県) リモート開催 7名
12月3日(金)~ 9日(木) 障害者週間
12月5日(日) 更生相談会・結婚相談室・意見交換会(センター) 51名
12月9日(木) 理事会
12月末 会報『ゆきしろ』第84号発刊
― 令和4年 ―
3月17日(木) 理事会
3月20日(日) 令和3年度富山県視覚障害者球技大会〔第38回グランドソフトボール〕(城川原運動公園) 7名
3月27日(日) 合同会議
4月17日(日) (第22回富山県障害者スポーツ大会~水泳競技)(東富山温水プール)
5月22日(日) (第22回富山県障害者スポーツ大会~陸上競技)(県総合運動公園)
5月26日(木) 理事会①(センター)
5月29日(日) 第49回北信越グランドソフトボール大会(新潟県)
5月31日(火)・6月1日(水) 第75回全国視覚障害者福祉大会(名古屋市)
6月12日(日) 定時評議員会(センター)
6月12日(日) 定期会員総会(センター)
6月末 会報「ゆきしろ」第85号発刊
7月3日(日) ボランティアと利用者交流会
7月24日(日) センタークリーン作戦(センター)
8月21日(日) 第71回点字競技会・第23回パソコン競技会(センター)
8月30日(火)・31日(水) 北信越会長会議(富山県)
8月31日(水)・9月1日(木) 第68回全国視覚障害女性研修大会(福島県)
9月10日(土)・11日(日) 宿泊研修(視覚障害者と家族激励大会・歩行訓練・研修会)(富山市)
9月18日(日) (第22回富山県障害者スポーツ大会~フライングディスク競技)(県総合運動公園)
9月18日(日)・19日(月) 第68回全国視覚障害青年研修大会(福岡県)
9月25日(日) 第46回視覚障害者文化祭・福祉機器展(センター)
10月2日(日) 第48回球技大会(グランドソフトボール・サウンドテーブルテニス)(センター・南部中学校)
10月22日(土)・23日(日) 第31回北信越サウンドテーブルテニス大会(長野県)
10月 出会いと語らいの集い
10月29日(土)~31日(月) (第22回全国障害者スポーツ大会)(栃木県)
11月13日(日) (第22回富山県障害者スポーツ大会~卓球競技)(県総合体育センター)
11月13日(日) 三療研修会(センター)
11月26日(土)・27日(日) 北信越ブロック大会(石川県)
12月3日(土)~9日(金) 障害者週間
12月4日(日) 更生相談会(センター)
12月4日(日) 結婚相談室(センター)
12月4日(日) 意見交換会(センター)
12月8日(木) 理事会②(センター)
12月末 会報「ゆきしろ」第86号発刊
3月16日(木) 理事会③(センター)
3月26日(日) 合同会議(センター)
通年事業
・点訳、朗読奉仕員養成・研修事業 ・外出介護サービス指定事業者情報提供事業
・生活訓練事業 ・盲導犬育成事業 ・結婚相談事業 ・福祉機器相談事業
・三療研修会 ・IT推進員派遣事業
今年の冬は雪が積もったりまた溶けたりと、その繰り返しで寒い冬でした。それに加えて、新型コロナウイルスのオミクロン株が、猛威を振るっていました。
その為、協会事業や部会活動も参加人数制限があったりして、思うようには活動が出来なくなりました。
その中で、12月に行われた更生相談会の中でのマイナンバーカードが、私たちの生活にとても役立つことがよくわかりました。これからは、マイナンバーカードが多くの病院などで保険証として、また身分証明書として使用できますので、カードを作って生活を便利にしていきましょう。
これから先も、新型コロナの勢いが続きますが、一刻も早い終息の日を願っております。
皆さまも、体力や気力を充分に高めつつ、楽しくお過ごしください。また、皆様からのいろいろな原稿をお待ちしております。