会報「ゆきしろ」92号
(令和7年12月発行)
この「ゆきしろ92号」は令和7年4月1日~令和7年9月30日までの分を掲載しています。
第92号
(発行者)
社会福祉法人 富山県視覚障害者協会
〒930-0077
富山市磯部町3丁目8番8号
電話 (076)425-6761
Fax (076)425-9087
Eメール:bcb05647@nifty.com
Homepage:https://toyama-ssk.com/
(発行責任者)
会長 塘添 誠次
上の題字は 鶴木大壽 氏によるものです。
【ゆきしろ(雪代)の意味】
雪国にあって、大地が春の雪原と接する部分で静かに融けはじめ、しずくとなり、やがてかすかな流れをつくり、それが集まって春のはじめの雪どけ水となって音をたてて大河に注ぐ様を、古くから俳句における春の季語として「雪代(ユキシロ)」とよばれています。
当協会が、このしずくが集まって大河をつくるように大きく発展していくよう、願いを込めて命名いたしました。
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【ゆきしろ92号 目次】
《大会参加報告》
◆第52回北信越グランドソフトボール大会
◆第71回全国視覚障害女性研修大会(北信越東海ブロック新潟大会)
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《巻頭言》
◆総括所見における「教育」と「労働及び雇用」
障害者権利委員会は、2014年に日本が批准した「障害者権利条約」の進捗状況を審査し、その総括所見を2022年10月7日に公表しました。
日視連では、この総括所見について「将来ビジョン推進委員会」を立ち上げ、総括所見に関する検討がなされ、2024年2月に中間報告書(案)が提出されました。
90号では、その中の私たち視覚障害者の生活に密接に関連する「自立した生活及び地域社会への包容」について触れましたが、今回は「教育」と「労働及び雇用」についての勧告を取り上げてみたいと思います。
障害者権利委員会は、我が国が継続している障害者教育に対し、「強い要請」という表現で、我が国に対して懸念事項として、「障害のある児童への分離された特別教育が永続していること」「障害のある児童が、通常環境での教育を利用しにくくしていること」「通常の学校に特別支援学級があること」の3点を指摘し、そして、締約国に要請する内容として、「分離特別教育を終わらせることを目的とし、障害のある児童がインクルーシブ教育を受ける権利があることを認識すること」「全ての障害のある生徒にあらゆる教育段階において必要とされる合理的配慮及び個別の支援が提供されること」「その他のインクルーシブ教育に関する国家の行動計画を採択すること」と勧告しました。
即ち、日本は依然、隔離・分離教育で、特別支援教育という形で隔離・分離していることはインクルーシブ教育ではないので、地域の普通学校での教育を保障するように、早急に施策の転換をするようにしなさいという勧告なのです。
インクルーシブ教育を実現するためには、今まで、各地の盲学校(視覚特別支援学校等)で培われてきた、視覚障害教育の専門性を大いに活用し、通常の学校で学ぶ視覚障害児童生徒とその担当教員を積極的に支援することが必要となります。
しかし、現状において特別支援学校等が果たす役割や意味も大きいので、特別支援教育を本当になくしてもよいのか、日視連の将来ビジョン推進委員会は、「インクルーシブ教育」をどのように推進していくのか具体的な方策を打ち出し、行動計画を採択することが求められている国に対して、働きかける活動を進めていかなければならないと報告しています。
一方、労働及び雇用について総括所見では、「低賃金で、開かれた労働市場への移行機会が限定的な作業所及び雇用に関連した福祉サービスにおける、障害者の分離」という状況が懸念事項として挙げられています。
その上で、「障害者を包容する労働環境で、同一価値の労働についての同一報酬を伴う形で、作業所及び雇用に関連した福祉サービスから、民間及び公的部門における開かれた労働市場への障害者の移行の迅速化のための努力を強化すること」が求められました。
即ち、共同作業所、あるいは総合支援法上における就労継続支援B型事業所というような働きの場もインクルーシブではないと言っているのです。
従って、就労継続支援A型事業所や特例子会社も、他の企業とは異なる条件で障害者を雇用しているという点で、総括所見が問題視している対象になりうるかもしれないのです。
要するに、地域でアパートなりマンションなり一戸建てなりで暮らし、日常、日中は一般企業で働いているという状態が総括所見が描く理想的な障害者像なのです。
現状は、働く場所がなく、学校を卒業後に行き場がなく、一般就労が困難な障害者のために共同作業所の運動を勧め、働く場としての作業所を作ってきた経過があります。
その歴史的な経過と、そこに至った到達点と今度の総括所見をどのように見るかということが議論となります。
将来ビジョン推進委員会では、「全ての障害者が、各自の障害特性と能力に応じて働き方や働く場所を選択する権利があると考える。その選択肢の一つとして、B型事業所は現状貴重な役割を担っている。一方で総括所見が指摘するように、一般労働市場への移行を進めるための努力は、さらに力強く進められるべきであろう。そのために、進路選択における個人の意思の尊重や、能力開発やスキルアップの充実といった対策が求められる。障害者がどのような選択をしたとしても、各自がその力を発揮し、生きがいを持って社会と関われるようにすべきという目標に向けて、教育機関、企業、(B型事業所を含めた)支援機関などはそれぞれ力を尽くすべきであり、当事者団体としての日視連にも、情報提供などの役割を担うことが期待されている」と報告しています。
教育においても労働及び雇用においても、日本の現状を踏まえると総括所見で指摘されているとおりにはし難いところがあるように思います。皆さんはどのように考えますか。
《大会参加報告》
◆第52回北信越グランドソフトボール大会
第52回北信越グランドソフトボール大会が石川県野々市市健康広場にて、石川・長野・新潟・富山チームにより北信越優勝(北信越ブロック代表権)を争い盛大に開催された!
富山チームも選手・コーチャー・スコアラー17名並びに応援団6名の総勢23名で大会に臨んだ。
前日の抽選により、2022年以来新潟県と対戦することになり試合が待ち遠しくなった。
新潟戦一回表、新潟の攻撃を富山飛田(とびた)投手が2奪三振を取るなど三者凡退に抑え最高の出来で富山の攻撃。幸先よく1点を先取することが出来たが追加点が取れず2回表に1点を奪われ同点にされ、そのまま膠着状態が続き1対1で時間切れ引き分けに終わり、抽選の結果4対6で惜しくも負けてしまい優勝が無くなりました。
落ち込んでる時間もなく石川との3位決定戦に臨み、富山打線が爆発。3回までに9点を入れ圧倒的な試合運びとなり飛田投手も連投ながら3回6奪三振を取るなど、試合も9対0で勝ち3位で今大会を終了しました。
2試合とも選手一同怪我なく終われた事、良かったと思いましたし、応援団皆さんの声援も選手に届きました。ありがとうございました。来年富山県が開催県です。頑張ります!
◆社会福祉法人日本視覚障害者団体連合第78回全国視覚障害者福祉大会〈千葉大会〉
令和7年5月25日(日)~26日(月)、TKP東京ベイ幕張ホールにおいて、「全国各地から視覚障害当事者・家族・関係者が一堂に会し、福祉・職業など私たちを取り巻く諸問題について討議し、視覚障害者の自立と社会参加の促進を図る」ことを目的として、日本視覚障害者団体連合加盟団体会員及び関係者約1000名が参集し開催されました。
5月25日は、シンポジウム、団体提出議案に関する分科会(生活、バリアフリー、職業)と全国団体長会議(拡大会議)、26日は、第78回全国視覚障害者福祉大会が行われました(全国大会はYouTubeでも配信)。また、25日(日)には会場内で福祉機器展も同時開催されました。
以下にその内容を記載します。
1 シンポジウム
開会式に先立って「多様な見え方の人が集い、共に幸せに暮らすために」のテーマで弱視部会による研修会が開催されました。シンポジストからは、
① 視力・視野・色覚・眼球使用困難症などの状況により見え方は多様であるが、それを周囲に理解してもらうことが難しく不便や不安をかかえている。まずは多様な見え方があることを広く周知するためにアピールすべきであり、周知は障害当事者同士がつながるきっかけにもなる。
② 自らの見え方を的確に認識することが大事であり、そのためには早期の適切な医療的診断を受けられるようにしなければならない。そして、それを踏まえた日常生活・学校生活・職業生活の質の維持につなげられるよう支援体制を整えていかなければならない。
③ 見え方に関わる不便や不安をかかえたままの期間が長期に渡ることがあり、そうならないようにするには、気持ちに寄り添った相談や同じ困難をかかえる当事者との交流が有効となる。
④ 見え方によって障害者手帳を取得できず、そのため福祉支援策を利用できなかったり、手帳を取得しても障害等級が軽度のため福祉支援策を利用できないので、障害者手帳制度の見直しが必要である。
⑤ 買い物・飲食店・各種券売機などでタッチパネルが多用されているので操作が難しい。社会的な環境のバリアフリー化が必要である。
そして、日視連に望むこととしては、相談体制の強化、多様な見え方に関わる情報発信の強化、障害者手帳や障害福祉支援策の見直しに関する提言、早期の色覚検査と多様な見え方に向き合う意識を学校教育に求めていく働きかけ、自らの権利擁護や周囲への働きかけの仕方に関する助言・啓発などが提案されました。
これらに対して、竹下会長は、総括として、日本盲人会連合から日視連に改称した意義に触れつつ、相談体制の強化を含めロービジョンの課題への取り組みを進めており今後も強化していくこと、また、合理的配慮の提供は個々人の困難への支援であって、多様な見え方への支援の手がかりになるものであることから、今後も広く実施されるよう求めていきたいと述べられました。
最後に、日視連・弱視部会の岸本部会長がディスカッションで挙げられた現状と課題に言及しながら、主体的に考えて政策を提案し、共生社会の実現をめざすとの宣言を行って閉会となりました。
2 団体提出議案
各団体から出された要望事項を、生活・バリアフリー・職業の三つの分科会において討議し、採択していきます。
生活分科会では、障害福祉サービス全般、同行援護、意思疎通支援事業、日常生活用具、補装具、歩行訓練、医療と福祉の連携、手帳、年金、マイナンバーカード、医療、高齢者問題、教育、点字郵便、盲導犬、災害・防災、その他など44項目。
バリアフリー分科会では、鉄道の安全対策、障害者割引等、踏切の安全対策、道路や歩道等の安全対策、自動車等の安全対策、施設全般のバリアフリー、情報保障、各種機器のアクセシビリティの確保、ICT機器・スマートフォン・アプリ、無人化・デジタル化に対する代替手段の確保など46項目。
職業分科会では、あはき、マイナ保険証、ヘルスキーパー、重度障害者等に対する通勤や職場等における支援、雇用・就労に関する支援、合理的配慮の提供など21項目。
合計111項目が提出され、一部修正などを加え全て採択されました。以下は、富山県から提出し、採択された内容です。
・公共交通機関の利用が不便な地域において、同行援護従業者が車を運転している場合にも、移動・待機時間を報酬算定の対象に加えること。
・テレビ放送において、緊急放送やニュース速報の字幕の音声化、放送中のテロップ等の音声化、外国語字幕の音声化または日本語への吹き替えをすること。また、字幕やテロップについては、弱視者(ロービジョン)に配慮した表示自体の拡大と表示時間の延長を行うこと。
また、北信越ブロックからは以下の要望が提出され、採択されました。
・国は医療と福祉の連携を主導し、視覚障害リンクワーカーの育成やスマートサイト機能を全国で充実させるための助成制度を整備すること。
・国は鉄道無人駅ホームの安全対策として、列車乗務員によるサポート、ホーム中央の誘導ブロック設置、階段の位置を示す音声装置の普及、エレベーターの位置を示す音サインの検討を早急に進めるとともに、国土交通省移動等円滑化評価会議等の諸会議において地方の意見が反映されるよう取り組むこと。
・国は危険防止のための歩きスマホの禁止と併せ視覚障害者のスマホによるナビシステム移動の安全確保についてルール化し、具体的な施策を進めること。
3 全国団体長会議(拡大会議)
今回の全国団体長会議は、各加盟団体代表者の参加に加え、団体提出議案に関する分科会の参加者も出席し、拡大会議として開催されました。
令和7年度の運動方針(案)について竹下会長は、要点を次のように説明されました。
制度作りに向けた課題では、
① 社会の変化に対応した視覚障害者の社会参加を確保するための取り組み
制度などが制定されてから改善を求めるのでなく事前に在るべき基準を設けるよう働きかける。
② 障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法を個別にではなくあらゆる分野に反映させるよう議論を展開する。
③ 視覚障害者の範囲を見直す。
色覚や眼球使用困難症も視野に入れ、困難を抱える人たちが福祉支援策を受けられるよう障害者手帳の在り方を見直す。
続いて個別課題では、
① 情報保障
点字考案200周年の仕上げを行う(点字の市民権を得るための取り組み)。また、放送分野におけるアクセシビリティの確保がなかなか進まない現状だが引き続き要求していく。
② 外出保障
無人駅問題、鉄道の利便性と安全の確保、安全安心にナビシステムを利用するための取り組み(歩きスマホとの違いやトラブル発生時の対処に関するマニュアルづくり)、中山間地域における移動の確保に向けた取り組み、同行援護のガイドヘルパーが車を運転する時間も報酬対象にするなどを目指す取り組み(施設入所者の利用、地域格差の是正も)。
③ 教育
インクルーシブ教育充実に向けた取り組み(将来ビジョン推進委員会においてインクルーシブ教育推進懇談会を設置して「インクルーシブ教育に関する指針」の作成を国等に求める)。
④ あはき
あはきと理療科教育の未来を考える懇談会の報告書を取りまとめ、それに基づく取り組みを行う。また、就労移行支援事業所を立ち上げる。
⑤ 一般就労
重度障害者等就労支援特別事業の事例集の作成と拡大に向けた取り組み、視覚障害公務員の就労支援の確立に向けた取り組み、雇用の質の確立に向けた取り組み。
⑥ 相談支援
日本版ECLO(視覚障害リンクワーカー)の確立に向けた取り組み、日視連の総合相談室の安定化(財政基盤、相談員の人材育成)。
⑦ 災害対策
災害時における視覚障害当事者団体の連携強化に向けた取り組み(日本盲人福祉委員会などとの連携)、個別避難計画を全国で制定させることを目指した取り組み(視覚障害者が取り残されることのないように)。
⑧ 所得保障
障害年金制度の改革に向けた取り組み(基礎年金の底上げなど)。
⑨ 障害福祉サービス
日常生活用具・補装具の基準額増額に向けた取り組み。
今年度から、社会福祉法人としての事業計画は年単位の短期の計画、運動団体としての運動方針は中長期のビジョンを掲げることとする旨の説明がなされ、課題ごとの現状と目標では、
① 各種のデジタル化に向けた取り組み
② 読書バリアフリーの実現、解説放送、金融機関での代筆・代読支援等の情報保障
③ 医療段階からの早期相談や各種支援機関と連携した相談支援体制
④ 駅の無人化や電動キックボードの利用拡大に際しての安全確保等の外出保障問題
⑤ 就労への取り組みでは、あはきの研修に関する就労移行支援事業所の立ち上げや一般就労の事例収集・フォーラムの開催
⑥ 教育関連では「あはきと理療科教育の未来を考える懇談会」の検討を踏まえたグランドデザインの提示、視覚障害児童・生徒に対する教育体制(インクルーシブ教育を含めた教育体制の整備や通学・通園支援の要求など)
⑦ 能登半島地震をはじめとする各種災害の経験を踏まえた災害・防災対策
⑧ 生活を豊かにし、自己実現を図る上で重要な文化・芸術、スポーツへの取り組み
などの説明があり、次の質疑応答がなされました。
Q インクルーシブ教育については国連障害者権利委員会から日本政府に対して勧告が出されており、今後進めなければならないが、単に学習の場を共有すれば良いというものではない。教科書等の点訳や専門性のある教員の養成にかかわる体制が十分とはいえない現状にあり、整備・充実が必要。その一方で、好事例といえる教育委員会の取り組みがある。的確な現状分析に基づいて取り組みを展開してほしい。
A インクルーシブ教育については意見を踏まえて取り組みたい。
Q あはきの今後については「あはきと理療科教育の未来を考える懇談会」が報告書の取りまとめを行っており、文案を読んだがかなり踏み込んだ内容になっている。早期に正式の報告書を公開し、日視連として議論を深めてほしい。
A あはきと理療科教育の懇談会については意見を踏まえて取り組みたい。
Q 新たに始める就労移行支援事業について、日視連の近隣には東京都盲人福祉協会及び東京ヘレンケラー協会の就労継続支援事業所B型がある。そうした中で安定した運営について不安がないのかどうか。理事会でそうした議論が行われなかったかを質問したい。
A 日視連が行う就労移行支援事業は、あはきに特化したものであり東京都盲人福祉協会のパイオニアと競合するものではなく、また、東京ヘレンケラー協会の事業とも異なり、就職をめざした学校卒業後の研修という位置づけであり、理事会で近隣の施設との関係についての議論はなかった。
続いて団体提出議案に関して3つの分科会の座長より報告が行われましたが、その後の質疑において特に質問・意見はありませんでした。
最後に事務連絡として、能登半島地震被災視覚障害者支援のための義援金として、合計1854万円余りがよせられ、被災視覚障害者に配布されたことが感謝とともに報告されました。
4 第78回全国視覚障害者福祉大会
“急ごう、要支援者のための災害対策”
“忘れるな、駅無人化における視覚障害者の安全安心”
“実現しよう、誰一人取り残さないデジタル社会”
“分かちあおう、点字考案200周年”
の4本のスローガンを掲げ、日本視覚障害者団体連合第78回全国視覚障害者福祉大会が開催されました。
第1部の大会式典では、千葉県視覚障害者福祉協会の今野(こんの)会長が地元主催者団体を代表して歓迎の挨拶を述べられた後、竹下会長は主催者挨拶で、「全国視覚障害者福祉大会が新型コロナウイルス流行前の規模に戻り、全国から多くの会員が参加できるようになった」ことの喜びと感謝を述べられた上で、全国大会の開催に向けてご尽力された地元会員の方々をはじめ多くの方に感謝の意をあらわされました。
また、駅の無人化やタッチパネル等、デジタル化の進展により視覚障害者が取り残されている現状について触れ、変化する社会のなかで私たちが歩んでいける社会を築く為、声を1つにして国に訴え、私たち自身もどのような努力をするのか考えたいと述べられました。
その後、日視連顕彰表彰式が行われ、その中で安田副会長が礎賞を受賞されました。おめでとうございます。
第2部の大会議事では、令和6年度決議処理報告(案)、令和7年度運動方針(案)を執行部の原案通り全会一致で可決、続いて宣言(案)・決議(案)も全会一致で採択されました。以下は、その決議内容です。
1.本年4月に改正された同行援護従業者養成研修カリキュラムの周知を図りつつ、同行援護事業所及び従業者の確保と、地域間の格差なく個人のニーズに合った支給量を得られるよう要望する。
2.各種災害に備え、視覚障害者も利用できるハザードマップの配布、個別避難計画の策定、配慮された避難所の整備を早急に実施するよう要望する。
3.補装具費の支給、日常生活用具の給付に当たっては、現状に即した基準額と耐用年数の設定と、ニーズにあった品目の見直しを要望する。
4.店舗の無人化及び省人化を進めるに当たり、セルフレジや注文端末等、タッチパネル操作による機器を設置する際、これらの機器に画面読み上げ機能を導入し、操作が難しい視覚障害者に対する人的対応も行うよう要望する。
5.テレビ放送における緊急放送やニュース速報のテロップ、あるいは外国語の日本語字幕について、音声化または日本語吹き替えを行うよう要望する。
6.全国で増え続ける無人化された鉄道駅について、ホームドアまたはホーム柵の設置、視覚障害者誘導用ブロックの敷設、案内音を付したインターホンの設置、事前の連絡によって人的サポートが受けられる仕組み等、視覚障害者も安全安心に利用できる体制を早急に整備することを要望する。
7.全ての都道府県にICTサポートセンターを設置するとともに、視覚障害者が必要とするICT機器や画面読み上げソフトの操作について支援できる者を必ず配置することを要望する。
8.点字考案200周年に当たり、点字を文字として法的に位置づけ、あらゆる場面で点字による情報保障を確保するよう要望する。
9.視覚障害者の職域拡大のために、公的機関及び民間企業が視覚障害あはき師をヘルスキーパーとして優先的に採用するよう要望する。
10.視覚障害あはき師の生計と職業領域を維持し、併せて国民の安全を確保するために、無資格医業類似行為者の取り締まりの強化と、視覚障害あはき師への支援策の充実を要望する。
11.多様な職域への就労を希望する視覚障害者が個々の能力を発揮できるよう、職業訓練や支援機器の充実、ジョブコーチや職場介助者の活用等、視覚障害者向け雇用支援を全国で拡大することを要望する。
12.中途視覚障害者が自立を図るための障害者相談支援、歩行訓練、日常生活訓練に取り組むための視覚障害リハビリテーションが全国でいつでも受けられるよう、予算措置を講ずることを要望する。
13.障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法の理念に基づき、各自治体は視覚障害者にとって必須である代筆・代読支援事業を行うとともに、その支援者の養成研修を実施するよう要望する。
昨年に引き続き旅行団を結成しましたが、参加者が少なかったのが残念です。まもなく地元富山県で全国大会が開催の予定です。来年は6月7日(日)から8日(月)に宮城県で開催されます。旅行団を結成し、観光も計画しますので、日視連大会の雰囲気を味わうとともに、土地の風に触れる旅に参加しましょう。多数の参加をお願いします。
◆第71回全国視覚障害女性研修大会(北信越東海ブロック 新潟大会)
令和7年9月3日(水)午前10時より新潟ユニゾンプラザ研修室において、日視連吉松(よしまつ)政春(まさはる)副会長、日視連女性協阿部(あべ)央美(てるみ)会長、新潟県木村(きむら)弘美(ひろみ)理事長、米島(よねしま)芳文(よしふみ)北信越ブロック長の挨拶の後、全国代表者会議が開かれ各議事が承認されました。
午後1時より多目的大ホールにおいて、研修会第一部の「講演会」では、講師に新潟医療福祉大学教育・学生支援機構中央教育センター教授の五十嵐(いがらし)紀子(のりこ)様をお迎えして「がんによって得た自由『自分を解放する力』」の話を聴きました。
午後4時より研修会第2部の「レポート発表」では、演題「視覚障害あるある あんな事こんな事、失敗談やそれを乗り越えたこと」について6人の発表があり、ユーモアを交えた体験談に笑いと涙で助言者の評価も大好評でした。その後の意見交換では活発な意見がかわされて研修会は終了しました。
全国委員会終了後、午後6時より新潟駅前のアートホテルで懇親会が行われました。
9月4日(木)新潟ユニゾンプラザ多目的大ホールにおいて、「第71回全国視覚障害女性研修大会」の式典が行なわれ、議事が審議され、大会宣言と運動方針が読み上げられました。
閉会式では、次年度開催団体の兵庫県視覚障害者福祉協会会長から挨拶がありました。
「第72回全国視覚障害女性研修大会(近畿ブロック兵庫大会)」は令和8年9月3日(木)・4日(金)に開催予定です。
以下は決議案です。
1.食品の消費期限、賞味期限は視覚障害者にも見やすいように文字を大きくするよう要望する。
2.最低限の文化的生活を保障するために、物価上昇率に連動した障害基礎年金の増額を要望する。
3.地域生活での自立を高めるための歩行訓練を含む生活訓練、及び視覚障害を持つ親が安心して子育てができるよう、育児支援サービスに関する情報提供、利用支援、介助者の確保を要望する。
4.視覚障害女性が家族の介護を担う際に、適切な情報や支援が得られる体制の整備を要望する。
5.医療機関における情報保障(点訳、音声案内、触知案内等)の徹底と緊急時の入院や検査等の代筆代読を含め、医療従事者の視覚障害に対する理解促進を要望する。
6.視覚障害女性が選択できる職業の拡大と、個々の能力に応じた多様な働き方(リモートワーク、短時間勤務等)を可能にする環境整備を要望する。
7.視覚障害女性が行う家事の支援、及び外出支援、移動支援の更なる充実と、地域住民に対する理解促進を要望する。
8.災害発生時における避難情報、避難経路、避難所での生活情報が、視覚障害者にとってアクセスしやすい形で提供されるようにするため、防災計画に視覚障害者の意見が反映されるようにするとともに、避難訓練等に視覚障害者が参加しやすい工夫を凝らし、自助・共助の意識を高めるための啓発活動を要望する。
9.公共トイレはJIS規格に従った操作ボタンの形状、色並びに操作ボタン及びペーパーホルダーの配置とすること。さらに、点字や拡大文字による表示、トイレ個室や手洗い場までの音声案内や点字ブロックの敷設をするよう要望する。
10.飲食店、小売店等で進むサービスの無人化やセルフレジ化に対し、人的支援等の代替手段を設けることを制度化するよう要望する。
11.情報アクセシビリティの抜本的改善と多様な情報提供の推進を要望する。
12.鉄道駅において、視覚障害者が特急券や身体障害者割引を受けた乗車券等を円滑に購入するために、みどりの窓口等、有人の窓口や視覚障害者も利用できる話せる券売機等を確保することを要望する。
13.全ての特急券が普通乗車券と同様の割引を受けられるよう要望する。
14.高速道路において、視覚障害者が同乗する車両がスマートインターチェンジを利用した際、障害者手帳の提示で割引が受けられるようにすることを要望する。
15.防犯対策の観点から、無人駅にライブカメラの設置を強化し、指令センター内に係員を配置すること。また、事件・事故を未然に防ぐために、視覚障害者に積極的に声掛けすることを要望する。
9月14日(日)・15日(月)に、第71回全国視覚障害青年研修大会が愛知県豊橋市で開催されました。いろいろあって第65回大会から開催地には行っていなかったのですが、今回現地に行くことになりました。
1日目は、豊橋駅から始めます。豊橋駅は富山駅よりは大きく見えました。新幹線とJRと名鉄があり、駅前からは路面電車が出ています。駅は道路の都合で高架化できないので、すべてのホームが地上にあります。
青年大会の会場は駅から500メートル位離れたemCAMPUS(エムキャンパス)で、図書館や会議室などが入っているビルの5階で開会式が行われました。
開会式が終わると研修会に移り、2つのコースに分かれました。
1コースは豊川稲荷参拝とちくわの里に行くコースです。豊川稲荷は日本三大稲荷の一つに数えられており、円福山妙厳寺(えんぷくざんみょうごんじ)という名のお寺です。
ちくわの里は、豊橋市内にあるヤマサちくわ株式会社の販売所です。この2箇所に行くそうです。
私が参加した2コース目は、青年部のこれからを語る&「戦国時代から現代(今)を結ぶ~豊橋の歴史と手筒花火~」で、最初は1グループ7人で全6グループになり、各グループで話をしました。青年部での活動や困っていることなどで30分ぐらいでグループでまとめて発表なので時間が短く、現状を語るだけで終わった感じでした。
話の内容は、青年部でスポーツをしたとか観光に行ったなどです。困っていることは、青年部として人が少ないということ。これは大概の地方で言われていました。
そしてこれが終わり、豊橋の歴史を知るということでエムキャンパス前から路面電車(豊橋鉄道市内線)に2駅乗って豊橋公園内吉田城と、豊橋市美術博物館に行きました。
城は午後3時で閉館なので、着いたときには3時30分でだめでした。お城は昭和29年に復元されました。小さめの城です。それから城の前の広場に使用済の手筒花火が3つ置いてあり、1メートル前後の大きさで3種類あり、それはワラひもで巻いて、持ち手が上と下2つ付いています。使用する時は、両手で持って花火が終わるときに底が抜けるので少し体から離して持つそうです。
次に豊橋市美術博物館に行きました。ここでは豊橋市とその近隣の出土品などが入り口から3部屋に分けられており、縄文土器や石器、鎧など江戸時代までのものがガラス張りで展示されていました。ガラスで細かいところは分かりにくかったのですが、学芸員さんに解説していただいたので、少しは展示品の内容は分かりました。ただ、情報量が多すぎました。美術品展示の方はない代わりに、発掘品から壺二つとさびた刀二つを触っていいということで、見て触りました。刀がボロボロに欠けてさびていました。
美術博物館を出て市電に乗って今度は3駅乗り豊橋駅前に行きました。今回乗った市電は新型車両でほっトラムと言うらしく、富山のポートラムと同じ形の車両でした。
今日の泊まるホテルは、駅のアソシア豊橋で、懇親会もここです。洋食のコース料理は食べ応えがなかったですが、次の日の朝食はバイキングだったのでたくさん食べました。
1日目は外にいると暑くて大変でした。35度は超えていたと思いました。2日目も暑かったと思います。
2日目は、内山(うちやま)亜希(あき)先生の講演で、「見えにくい、見えないからこそ大切にしたい好印象と人との境界線」というテーマで話されました。
内容は、内山先生が離婚から再婚するまでの心の変化や男女の感受性の違いなど話されました。内山先生は東京で視覚障害者の結婚相談所を運営しておられます。
話が終わり、大会式典が行われました。その中で豊橋市長さんが来ておられたのが驚きました。こうして大会は終了しました。
最後に大会で変わった出来事を簡単に話します。内山先生とは懇親会の時にテーブルが一緒になり、帰りの昼食も一緒になり、私の結婚まで話をいたしました。その時昼食で一緒にいた横浜の青木さんが興味をもたれて、富山に帰ってから私に電話があって私の結婚するまでいろいろ聞かれました。いいこと、大変なことなどを話しておきました。これは私にとってびっくりしたことでした。
最後に研修会にずっとついていただいたボランティアの大場さん。暑いのにありがとうございました。
これで大会の報告や感想はおしまいです。読んでいただきありがとうございました。
《事業報告》
◆定時評議員会・理事会・定期会員総会
6月15日(日)午前10時からライトセンター研修室において評議員17名の出席を得て、令和7年度定時評議員会が開催されました。
第1号議案・令和6年度事業報告について事務局から報告がなされ、質疑の後、評議員全員の挙手で承認されました。
第2号議案・令和6年度決算報告について事務局から報告がなされ次いで監事から監査報告があり、質疑の後、評議員全員の挙手で承認されました。
第3号議案・次期理事、監事の役員選出について審議に入り、理事候補者12名、監事候補者2名が全員承認され、評議員会を終了しました。
その後、新しく選ばれた理事により、第2回理事会が開かれ、新体制が発足しました。
午後1時から定期会員総会が研修室で開かれ、全員起立して物故会員の方への黙祷を捧げた後、6期目を迎えた塘添会長から出席者に向けて挨拶がなされました。
挨拶の中で会長はまず今年は、点字が考案されて200年を迎えた記念の年であることが報告され、その歴史について出席者の皆さんに簡単に紹介がなされました。
続いて、県協会から出された要望の中で、選挙の投票時に弱視(ロービジョン)の皆さんが正しく記名しやすいように「記名投票補助具」がある事、その補助具を県内の投票所に設置してほしい旨、今回来賓として出席された国会議員・県担当者の方に要望されたことが報告されました。
その後、来賓の方々から祝辞をいただきました。
大会式典終了後10分間の休憩の後、総会・議事に入りました。
第1号議案・令和6年度事業報告、第2号議案・令和6年度決算報告、監査報告について、それぞれ拍手多数で承認されました。
第3号議案・令和7年度事業計画案、第4号議案・令和7年度予算案についても拍手多数で承認され、3時少し前に総会を終了。
その後懇親会で一時を過ごしたのち、3時半頃に終了しました。
◆別表 社会福祉法人富山県視覚障害者協会 役員名簿 令和7・8年度
[会長]
塘添(とうぞえ) 誠次(せいじ)
[副会長]
佐生(さそう) 秀一(ひでかず)(厚生担当)
堀(ほり) 惠一(けいいち)(施設担当)
安田(やすだ) 庄内(しょうない)(文化担当)
[業務執行理事・部長]
総務部長 山内(やまうち) 正一(しょういち)
厚生部長 池田(いけだ) 一義(かずよし)
施設・文化部長 濱野(はまの) 昌幸(まさゆき)
[理事]
延野(のべの) 悦子(えつこ)(施設)
川口(かわぐち) 勇人(はやと)(厚生)
定塚(じょうづか) 剛成(たかなり)(文化)
山本(やまもと) なつみ(外部理事・総務)
高島(たかしま) 豊(ゆたか)(施設長・総務)
[監事]
南塚(みなみづか) 忠(ただし)、高橋(たかはし) 克人(かつひと)
梅雨明けもまだの連日の気温30度以上の猛暑に負けじと、7月6日(日)にセンターにてボランティアと利用者との交流会が行われました。
午前10時よりボランティア34名、利用者25名と同行援護者14名の合計73名の参加で始まり、塘添会長のあいさつの後、濱野理事より当日の予定を聞き、音訳グループは研修室に、点訳グループは二階調理室に分かれて意見交換を行いました。
音訳部会では、始めに合成音声による音訳の聞き比べをしました。音質が合わなかったり、料金がいるなどして、聞きやすいのはやはり人に読んでいただくのが一番となりました。
意見交換に入り、社会の近況や情報を得ることができると、日ごろの音訳への感謝と新聞や県内の雑誌、県や市の広報の朗読を聞き、「市政や身近な話題に触れることができます」と感謝しました。また、「趣味の話題や取材などで広い視野が開けて楽しみ」という声が多かったです。
希望として、録音の音を大きくしてほしい。市町村の図書館にも音訳はできないか、図書はあるかなどの意見がありました。
点訳部会では、点字本に長いひものしおりがついていると便利である。点字用紙が古くなっているのもある。センターでも点字印刷が速やかにできる。などの意見が出ました。
午後からは、高島所長の歩行ガイドの要点を聞いたあと、ボランティアさんとペアを組んで、バスで富山市科学博物館に行きました。
恐竜の模型の解説や、アンモナイトなどの化石や岩石に触ったりしました。
プラネタリウムでは、宇宙の物語が冷気と眠気が心地よかったりと楽しい時間はすぐに過ぎました。
ボランティアの皆様お世話になりました。お疲れさまでした。今後もよろしくお願いいたします。
7月27日(日)、毎年恒例のセンタークリーン作戦を行いました。参加者は19人でした。
毎年、同じようにセンターの掃除をして、避難訓練をして、懇親会をして、大きな問題もなく終了しました。「変わり映えなく」と言ってしまえばネガティブに聞こえてしまうことでしょうが、この行事についてはそれでも良いと思います。新しく企画を加えたりして参加者の増加を目指すのも一案ではあるのかもしれませんが、会員、職員、財政に負担をかけるよりも、無理なく現状を維持し続ける行事があっても良いかと思います。
我々会員がいつも使っているライトセンターに「感謝」と「愛着」を持って掃除する。その中で同じ思いを持った会員同士が共同作業を通して親睦を深める。変わり映えのしない良い行事だと思います。
私は施設部長として、この先も続けていきたいと思っています。
8月24日(日)、今年も点字競技会、パソコン競技会を行いました。参加者は点字競技が12名、パソコン競技が10名でした。私は今年から文化部を担当してこの大会に関わることになりました。
この大会は長い歴史があって、富山県、毎日新聞社、北日本新聞社、日本赤十字社と錚々たる後援が付いています。また、視覚支援学校の先生や音訳ボランティアの方に審査員としてご協力いただいています。参加者数の割に看板も規模も大きな大会です。近年はスマートホン部門を新設して時代の流れに沿う形を整えています。
私は今年、スマートホン部門に参加しました。競技を始めてみると真剣に取り組むことができ、いい歳したオッサンが結構熱くなっているのに気づきました。普段当たり前のようにしているスマホの文字入力を競技として行うのは新鮮でなかなか面白い。その上、表彰もされるのでさらに面白い。
私が文化部を担当したのでこの大会をさらに発展させたいと考えています。何をどう発展させるのかは全くの白紙ですが、「なんとなく毎年やってる」ということにはしたくないと思っています。これを読んでくださった皆さん、来年は遊びに来てくださいね。
成績は以下の通りです。
第74回富山県点字競技会
・団体
1位 富山市チーム 2位 射水市チーム 3位 魚津市チーム
・個人総合
1位 松波 律子(まつなみ りつこ)(高岡市)
・一般の部 個人総合
1位 松波 律子(高岡市) 2位 佐生 秀一(魚津市) 3位 佐生 真理(魚津市)
・中途失明者の部 個人総合
1位 塘添 誠次(射水市) 2位 谷内 幸子(富山市) 3位 本江 とみ子(射水市)
・田島杯
田口 明美(高岡市)
第26回パソコン競技会(携帯電話も含む)
1位 岡本 祐子(富山市) 2位 田口 明美(高岡市) 3位 塘添 誠次(射水市)
令和7年8月30日(土)・31日(日)の両日にわたり、魚津市ホテルグランミラージュにて、県下各地より参加者25名が集い開催されました。
午後2時から、開会式・オリエンテーションの後、2時30分ごろ福祉バスに乗車。当初の予定では現地を歩きながら説明がなされる予定でしたが、近年にはない猛暑のため車中にて地元で生まれ育った山内総務から魚津の歴史についてお話いただきました。
最初に向かったのは魚津総合庁舎。旧大町小学校に降り立ち、城跡を散策。私は地元に住みながらあまり大町地区に出向くことはないのですが、改めて当時の小学校の大きさに驚き、その昔魚津の中心として栄えたことがよく分かりました。校庭の隅に、天正の初め頃越中に進軍した上杉謙信が魚津城で詠んだとされる歌「武士(もののふ)の鎧の袖をかたしきて 枕に近き はつかりの声」の碑がありました。
その後バスに乗車し、魚津神社に向かいました。ここでバスとはお別れ。思い思いに参拝した後、あいの風魚津駅まで本来の歩こう会です。
2キロ余りの道のりでしたが、厳しい日差しが注ぐ中皆さん頑張って歩を進めて魚津駅に到着。ここは魚津の天然水が流れているちょっとした有名地。ちょうど水分補給にはもってこいのタイミングで皆さんのどを潤し、最後の目的地ホテルに到着。懇親会でのビールが待ち遠しく感じられる一時でした。
その後は、歩こう会での疲れを癒すためゆっくり湯船につかりました。このホテルの9階にある展望浴場(今から1年前にできたばかり)からちょうど夕日が見られる絶好の眺め。しばし魚津の街並みを眺めながらの一時となりました。
6時からはお楽しみの懇親会。会長の挨拶・乾杯に続き魚津の美味しいお酒をいただきながらの一時。その後カラオケも始まり、皆さん自慢ののどを披露しほろ酔いの中、万歳三唱で宴が終了。
2日目はバイキングの朝食を済ませて、10時からの研修会の会場魚津歴史民俗博物館へバスで向かいました。
魚津歴史民俗博物館は、天神山中腹にある吉田記念郷土館、旧沢崎家住宅の2つの施設からなります。
館内に入ってまず目に飛び込んでくるのが、魚津の夏祭りのメインであるたてもんのミニチュアです。
魚津市教育委員会的場学芸員の方から説明をいただきました。
魚津諏訪のたてもん祭りは、県下では有名です。魚津では8月の第1金曜・土曜日に、漁師の安全と豊漁を祈願してたてもんの引き回しが行われます。
私どもは夫婦で毎年祭り会場に足を運んで、実際の迫力ある引き回しを体感し続けております。
博物館では実際にミニチュアを触ることもできました。
その後、旧石器時代から現代にいたるまでの漆器・生活用具などを実際に手に取って見ることもでき、魚津の歴史を概観できました。
魚津市は、県東部の中心地に位置しており、名の通り魚類の集散地であり、蜃気楼の出現や埋没林の遺跡地です。また、鎌倉時代から戦国時代にかけて松倉城、魚津城など常に越中の要害でした。ことに、織田、上杉の勢力がこの地を巡り激突した事は有名です。
博物館では約1時間余りの滞在の後、同じ天神山地域にある古川ぶどう園でのぶどう狩り体験を楽しみました。
実際にはさみでぶどうの根元を切り取り、粒の大きいぶどうを手に取り、早速味わう人も!(^^)! この日も猛暑の中乾いたのどを潤しておられました。
今回の1泊研修では皆さん一番楽しみにされており、良い企画となりました。
少し余談にはなりますが、最近の魚津の明るい話題と言えば未来富山(通信制高校)の甲子園出場です。いまを遡る事67年前、昭和33年(私が生まれた年)、魚津高校が夏の大会で準決勝(引き分け再試合)を戦い抜いた、「蜃気楼旋風」が今でも語り草になっています。それ以来の甲子園出場は、1回戦で負けたとはいえ私どもを楽しませてくれた夏の一時となりました。
今回はおよそ16年ぶりの魚津の地での開催となりましたがコロナ感染など、以前までの家族激励大会・歩行訓練とは趣を変え、参加者の少ない中での1泊研修・歩こう会となりました。
改めてセンター事務局をはじめ、山内総務を中心とした皆様の工夫を凝らしたご努力に感謝・お礼を述べたいと思います。
令和7年度の富山県視覚障害者球技大会が9月28日(日)9時40分~16時まで、富山市立西田地方小学校グランドと富山県視覚障害者福祉センターにおいて開催されました。
第42回グランドソフトボール大会は、富山市立西田地方小学校で行われました。9時40分から開会式を行い、塘添会長の挨拶の後審判長より、競技上の注意などの説明があり、最後に事務局からの連絡の後競技に入りました。
今年も試合が行える人数が集まらなかったので、(選手、コーチャー合わせて15名)前半はバッティング練習を行い、休憩を入れて後半は、審判の方々4人についてもらって、試合形式で行いました。声を出し、打って走って大いに盛り上がり、少し暑い日だったので、心地よい汗をかきました。
11時40分より閉会式が行われ、よく頑張った人に賞が贈られました。
最優秀選手は飛田(とびた)功平(こうへい)さん。優秀選手は河尻(かわじり)美久(みく)さん、柳井(やない)勇二(ゆうじ)さん、勝島(かつしま)佑太(ゆうた)さん、濱野(はまの)昌幸(まさゆき)さんの4名でした。
最後に、来年は北信越グランドソフトボール大会が富山県で開催されるので、全員で決意を新たにして終了となりました。
第51回サウンドテーブルテニス大会は、富山県視覚障害者福祉センターにおいて9時40分より開会式が行われ、堀副会長の挨拶に続き、審判長より競技上の注意、競技方法などの説明に続き、森田(もりた)恵美子(えみこ)さんによる選手宣誓の後競技に入りました。
午前の部は、女子A(アイマスク有)が行われました。今年は10名参加され、5名ずつ2組に別れて予選リーグ戦が行われ、各組上位2名が決勝トーナメントに進み、A組の1位とB組の2位が対戦し、B組の1位とA組の2位が対戦し、勝った人が決勝戦へ、負けた人は3位決定戦へと進む形で行われました。
参加者が多かったため少し時間がかかりましたが、白熱した試合が展開されました。入賞者は次の通りです。
1位は徳市(とくいち)和美(かずみ)さん、2位は本江(ほんごう)とみ子(とみこ)さん、3位は舟川(ふなかわ)由紀子(ゆきこ)さんでした。
午後は、男子A(アイマスク有)の部と、男女混合B(アイマスク無し)の部が行われました。
男子Aの部は、7名参加(支援学校から朝倉君15歳がオープン参加で参加)で、3名と4名の2組に分かれ予選リーグ戦を行い、各組上位2名が決勝トーナメントに進み、勝った人が決勝戦へ、負けた人は3位決定戦で戦いました。朝倉君の参加で新鮮な戦いが展開されました。どの試合も白熱したいい試合でした。
入賞者は次の通りです。
1位は中西(なかにし)美雄(よしお)さん、2位は川口(かわぐち)勇人(はやと)さん、3位は林(はやし)大志(ひろし)さんでした。
男女混合B(アイマスク無し)の部は、5名参加で、リーグ戦で戦いました。3セットまで行く試合が多く、どちらが勝ってもおかしくない試合が多くみられました。
入賞者は次の通りです。
1位は池田(いけだ)一義(かずよし)、2位は高橋(たかはし)亨(とおる)さん、3位は中川(なかがわ)慎也(しんや)さんでした。
15時40分から閉会式が行われ、表彰式に続き審判長の講評があり、「皆さん一生懸命頑張られました」との言葉をいただき、16時に終了となりました。皆さんお疲れ様でした。センターの職員の皆さま本当にありがとうございました。
来年も頑張りましょう。よろしくお願いします。
◎第34回 移動支援システムshikAI(シカイ)(2025年6月15日)
今回は視覚障害者向け移動支援システム「shikAI」のご紹介です。このQRナビゲーションシステムは、駅構内の点字ブロックに表示したQRコードを、専用アプリで起動したスマートホンのカメラで読み取ることで、現在地から目的地までの正確な移動ルートを導き出し、音声で目的地までナビゲートするシステムです。
各QRコードには正確な位置情報が紐づけられており、視覚障がい者の方が迷うことなく、ホームから改札を通り出口まで向かうことを支援します。このアプリはiPhone向けに作られています。画面読み上げ機能が標準装備されてることから、視覚障がいを持たれている方にはiPhoneユーザーが多いという現状を考慮したものです。
対応駅・エリアは東京メトロ各線をはじめ、様々な駅、大阪・関西万博会場にて順次拡大中です。
さて、こちらのアプリの素晴らしいところは駅構内など一般のナビシステムではGPSが届かず、使い物にならない範囲をカバーしてくれるところです。私も試してみましたが、割と正確にナビしてくれます。この先、対応駅・エリアがどんどん広がってくれれば大変ありがたいと思います。
そして、このアプリのダメなところは駅構内に特化していて、出口から先には対応していません。たくさんの人が必要とするであろう点と点を線で結んでくれるアプリなので、「改札」「出口」「トイレ」などの最低限の目的地しか選べません。
ただし、今年の大阪・関西万博において、試験運用が行われており、「出口」「トイレ」の他にも「パビリオン」や「その他の施設」にも行けるようになりました。今後の更なる発展に期待ですね。
現状では駅構内は「shikAI」、出口を出たらEye Navi(アイナビ)などの外歩き用のナビを使うことになります。
shikAI: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000022.000065786.html
Eye Navi: https://www.eyenavi.jp
◎第35回 画像解説アプリ「スイフトアイ」(2025年6月15日)
今回は視覚障害者向け画像解説アプリ「スイフトアイ」のご紹介です。
「スイフトアイ」はスマートホンで撮影した写真やインターネットやSNSから取り込んだ写真を解説してくれるアプリです。画像の中に何が映っているのかを詳しく説明してくれます。文字も読んでくれます。また、取り込んだ画像も同じように解説してくれます。
使いようではありますが、よく見ても理解できない画像を説明させたり、小さくて読めない文字を撮影して読ませたり、出先で看板を撮影して読ませたりなどなど。
ただし、このようなアプリはたくさんあります。みなさんの中には使い慣れたアプリをすでにお持ちの方もおられると思います。では、なぜ、このアプリをご紹介するのか。
答えはとにかく手軽だからです。このアプリは画像を解説することに特化しています。他の類似アプリは撮った写真を画像フォルダに保存し、それを選択した上で、アプリに共有することで解説が始まります。「スイフトアイ」は写真を撮るとすぐに解説してくれます。手軽で早い、これがすべてです。
これは現時点でのことですから、この先、もっと便利なツールが出てくることと思います。そのことはご承知おきください。
スイフトアイ: https://note.com/teruhiroyal/n/n7622b97d1df8
◎第36回 視覚障害者向けアプリケーションについて(2025年6月15日)
今回は様々な視覚障害者向けアプリ全体についてのお話しです。
これまで利便性委員会では様々なアプリをご紹介してまいりました。これらはそれをご紹介した時点では視覚障害者にとってとても有用であると判断してご紹介いたしました。 しかしながら、これらはいつまでも1番ではありません。後発のアプリでもっと便利なものが日進月歩で追いつけ追い越せを繰り広げております。
また、一言に「視覚障害者」と言っても見え方も、ライフスタイルも、スマホの習熟度もさまざまです。誰もが1番使いやすいというアプリは滅多にありません。
利便性委員会では良かれと思うものをご紹介していますが、それらは万能ではなく、永遠でもないことをご承知おきいただいた上で、みなさまから「もっと便利なものがあるよ」、「今はこっちの方がおすすめだよ」なんてものがありましたら、お知らせください。
以あ下の利便性委員会ホームページ、お問い合わせフォームからお知らせいただければ、富あ山県視覚障害者協会メーリングリストにてご紹介いたします。
利便性委員会: https://toyama-shikaku-ribensei.simdif.com
《事務局から》
◆消息、訃報
隅田(すみた) あけみ 氏(高岡市) 5月 逝去
栗山(くりやま) 朋子(ともこ)氏(富山市) 6月 逝去
ご冥福をお祈りいたします。
日本視覚障害者団体連合顕彰 礎賞
安田(やすだ) 庄内(しょうない)氏 R7.5.26
受賞おめでとうございます。
4月20日(日) 第25回富山県障害者スポーツ大会〔水泳競技〕(高岡総合プール)
5月22日(木) 理事会(センター)
5月25日(日) 第25回富山県障害者スポーツ大会〔陸上競技〕(県総合運動公園)
5月25日(日)・26日(月) 第78回全国視覚障害者福祉大会(千葉県) 14名
5月29日(木) 令和7年度点訳・音訳ボランティア養成講習会開講式(センター)
点訳4名 音訳4名
6月8日(日) 第52回北信越グランドソフトボール大会(石川県) 23名(内応援6名)
6月15日(日) 定時評議員会(センター)
6月15日(日) 理事会(センター)
6月15日(日) 定期会員総会(センター) 会員40名
6月末 会報『ゆきしろ』第91号発刊
7月6日(日) ボランティアと利用者交流会(センター・富山市科学博物館) 会員25名 ボランティア35名
7月27日(日) センタークリーン作戦(センター) 19名
8月21日(木)・22日(金) 北信越会長会議(福井県)
8月24日(日) 第74回点字競技会・第26回パソコン競技会(センター) 点字競技12名・パソコン競技10名
8月30日(土)・31日(日) 宿泊研修〔歩こう会・研修会〕(魚津市 グランミラージュ魚津) 25名
研修会 (1)魚津歴史民俗博物館 (2)古川ぶどう園でのぶどう狩り体験
9月3日(水)・4日(木) 第71回全国視覚障害女性研修大会(新潟県) 2名
9月14日(日)・15日(月) 第71回全国視覚障害青年研修大会(愛知県) 1名
9月21日(日) 第25回富山県障害者スポーツ大会〔フライングディスク競技〕(県総合運動公園)
9月28日(日) 令和7年度富山県視覚障害者球技大会〔第42回グランドソフトボール大会・第51回サウンドテーブルテニス大会〕(西田地方小学校・センター) 32名
10月12日(日) 第49回視覚障害者文化祭・福祉機器展(センター)
10月18日(土)・19日(日) 第34回北信越サウンドテーブルテニス大会(富山県)
10月25日(土)~27日(月) 第24回全国障害者スポーツ大会(滋賀県)
11月9日(日) 第25回富山県障害者スポーツ大会〔卓球競技〕(県総合体育センター)
11月9日(日) 三療研修会(センター) 11月29日(土)・30日(日) 第11回北信越ブロック大会(長野県)
12月3日(水)~9日(火) 障害者週間
12月7日(日) 更生相談会・結婚相談室・意見交換会(センター)
12月11日(木) 理事会(センター)
12月末 会報『ゆきしろ』第92号発刊
― 令和8年 ―
3月26日(木) 理事会(センター)
3月29日(日) 合同会議(センター)
皆さん、こんにちは。ゆきしろ92号をお届けしました。
今号からは文化部を担当することになりました濱野が担当いたします。
毎日、暑い日が続く夏が過ぎ、やっと過ごしやすい日々がやってきたと思えば、あっという間に駆け抜けていってしまい、寒い日がやってきそうな気配が漂ってきていますね。
皆さんはお元気でお過ごしでしょうか。
私は大好きだった大阪・関西万博が終わってしまい、これから何を目標に生きていこうか途方に暮れていました。そんな時に安田副会長に気付かされました。「ゆきしろの原稿を書かねば」、そして芋づる式に気付きました。「利便性委員会の原稿を書かねば」、さらに気付きました。「職場の計画書と報告書を書かねば」、よくよく考えるとまだまだありました。「青年部の新しい企画を考えねば」、「日視連スポーツ協議会の記念誌を作らねば」。ありがたいことに当分の間、途方に暮れている暇はないようです。
最後に謝辞です。今号に原稿をお寄せいただいた皆さん、編集にご協力いただいた皆さん、点訳・音訳していただいた皆さん、発刊にお力添えいただいたすべての皆さんと、今、これを読んでくださっているあなたに最大級の感謝を申し上げます。ありがとうございました。
今後とも、富山県視覚障害者協会と濱野を応援してやってください。
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