この文芸コーナーは会員の皆様の投稿によって作られています。川柳、俳句、短歌、都々逸、自由詩など、どしどし送って下さい。
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皆様の原稿をお待ちしております。
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◆平成27年◆
【2015年2月24日 投稿】
☆★ 新幹線試乗体験雑感 中西美雄
2月22日、富山駅9時30分発、上越妙高駅10時01分着。上越妙高駅10時30分発、富山駅11時01分着の往復1時間にわたる北陸新幹線の試乗会に参加して来ました。風は少し強めながら天気は晴れて気持ちの良い日でした。
快適な試乗会を楽しめると思っていたのですが、期待が大き過ぎたのでしょうか? 少し残念に思いました。
駅前は3月14日の新幹線開業に間に合わせるため、工事の真っ最中で、シートが敷いてあったり鉄板が敷いてあったりでデコボコしているのはやむを得ないとは思いましたが、私が大きく驚いたことが一つありました。
それは、点字ブロックの敷設に疑問を感じた事です。まず、ホームの点字ブロックです。想像もしていない形で敷設されていました。
ホームには頑丈なホーム柵がありましたが、その内側の通路に点字の誘導ブロックはありません。ただ、ホーム柵のドアのところに警告ブロックは敷設してありました。
さて、誘導ブロックですが、ホーム柵の外側、列車との間にずーっと敷設されています。アナウンスでは「ホーム柵から手を出さないで下さい。ホーム柵から体を乗り出さないで下さい」と盛んに注意していました。要するに、ホーム柵の外側に出ないで下さいという事なのですが、そうなら敷設されている誘導ブロックの意味は何なのでしょうか?
JRの説明では「エレベーターからホーム柵に移り、それ以後はホーム柵に沿って歩いてもらえばホームドアの警告ブロックがあります。そこには点字で号車番号などが書かれていますので、移動には支障がないと思われます」というものでした。
列車の中では、立山連峰や海岸、日本海の眺望について視覚的情報はふんだんにありましたが、我々目の不自由な者にとって大切な「トイレの音声案内」はありませんでした。
駅舎の中では、入口からエレベーターまでは点字ブロックがありましたが、途中にあるエスカレーターへの点字ブロックの敷設はありませんでした。また、緑の窓口には部屋の入口までしかブロックは敷設されていないなど、最新鋭の北陸新幹線なのに、物足りない思いで富山駅を離れました。
この新幹線建設に当たっては、各障がい者団体(もちろん本会も含めて)から、2~3回の会合が持たれそれぞれ希望や要望が出されていたはずですが、その効果はあったのでしょうか? 出るは溜息ばかりでした。
障がい者に対する配慮は、建設に入ってからでなく、構想や設計の段階から要望する必要があると、改めて感じた次第です。
【2015年1月16日 投稿】
☆★ 金谷美子
おだやかに一日が暮れし鏡餅 おだやかにひとひがくれしかがみもち
耳鳴りの奥にも潜む春の闇
そそと咲く庭の片隅雪中花
湯殿への渡り廊下や春の月
そこここと土の匂や蕗の薹
しばらくは車を止めて花の道
指先に地の温かき菊の苗
後戻りできぬ坂あり遅桜
路変えて二人の散歩藤の花
風薫る別府を後にハイウエイ 大分県
木霊する眼下に滝のしぶきかな
釣り橋も心も揺れる滝谺
滝よりも高き釣り橋渡りけり
草引きを止める潮どき夫に客
深緑や肩で空気の味を知る
緑陰やマップを広げて軍議石 くりからにて
学校のチャィムが届く稲田かな
一湾をめぐる船旅秋のくれ 氷見
天の青天に返すや秋の潮 そらのあおそらにかえしてあきのしお
烏去り雀が来たる刈田かな
度忘れを笑いで隠し柿をむく
棟上げの音跳ね返る秋の空
木犀の風に乗りくる鑿の音
ころからと葉の転げ行く秋日かな
人恋し秋の風鈴鳴りたれば
鹿の群れ縫うて仰ぐや南大門 奈良にて
陽をあびてかすかな響きほう落ち葉
冬ざるる温かき手の人と居る
木枯らしや問診票に嘘一つ
人の影地に染み入るや神無月
◆平成26年◆
【2014年6月15日 投稿】 ☆★ 金谷美子
紫陽花や日に丸くなる雨の中
愛されてあんよは上手夏帽子
磨かれて再び使う扇風機
お太子伝風の抜け行く蝉しぐれ
診察券一枚増える猛暑かな
宅配の香が知らす青蜜柑
立葵仰ぎ二人の散歩かな
七夕やこの目に光願うだけ
傘開くごとし飛び立つ稲雀
立ち話遮るように虫時雨
暗闇の膨らむ声もちちろかな
海の色まといて並ぶ秋刀魚かな
風通百万本の秋桜
陽を浴びて音は平らに朴落葉
月仰ぐ亡き父母の顔浮かべ
あちこちと熊の足跡新松子
雨音の重くなりしや冬隣
秋灯を夫と分かちて書読めり
すれ違うお国訛りの菊花展
なさぬこと多き一日蕪汁
耳掻きの綿はふんわり日向ぼこ
話の種増えて二人のクリスマス
思わざる出会いもありて歳の市
【2014年5月21日 投稿】 ☆★ 湊 繁治
ライバルを倒すつもりの 四股を踏む
叩かれて太鼓はいつも鍛えられ
半眼の仏の前でもらす私語
試着室の私語は聞かないふりをする
日本晴れ 母の遺影を窓に向け
日本晴れの笑顔でほぐす わだかまり
川柳に電子辞書まで買わされる
切れ味のいいせんりゅうは 柳生流
大海へ出て うろたえている蛙
大海と 戦が続く防波堤
◆平成25年◆
雪やんで黄昏迫る散居村 (ゆきやんで たそがれせまる さんきょそん)
指揮者への拍手泊まざる聖夜かな (しきしゃへの はくしゅ やまざる せいやかな)
小さき夢大きく願う初詣
忘れたることも忘れて去年今年 (わすれたる こともわすれて こぞことし)
萩焼のコーヒ茶碗や桜餅
膝掛をクシャクシャにして従姉妹会 (ひざかけを クシャクシャにして いとこかい)
眠る雛ゆっくりと抱き起こすなり (ねむるひな ゆっくりとだき おこすなり)
春の色引かれて寄りぬ 和菓子店
園児らの膨らむ声やシャボンダマ
にぎわいを片耳に聞く花見茣蓙
後ろよりだれか来るらし 花の坂
花の冷えサラブレッドは足馴らす
たこ焼きを返すがごとき田を起こし
鐘ついて下山の僧や花の山
厨口水田を超えて祭り笛 *厨口はおかってぐちのことです (くりやぐち みずたをこえて まつりぶえ)
薔薇館童話のページ開くごと (ばらやかた どうわのぺいじ ひらくごと)
百歳の耳に届きし祭り笛
野辺送り空青々と5月尽
冬の道 風鈴の音で 我が家知る
初デート 同行援護で 向かう駅
冬の道 温さうれしい 缶コーヒー
風門に 懐炉を貼れば 勇気百倍 注.風門は肩背部にある経穴(つぼ)の名前です。
人いきれ 長靴臭う 待合室
汽車の声 雪に消されて 時知らず
添い寝して 手をぬくとめる 膝頭
銃せいが 鳴って今夜は 牡丹鍋
川柳つれづれ 川柳は、私のように全く見えなくても、ハンディーの無い文芸である。いつの間にやらのめり込んだのが川柳である。昨年は富山文学賞に二度も応募して、二度とも入賞したりして、嬉しい年でもあった。
「冬の部屋」
寂しくは無いかと 柱時計鳴る
錠剤の一つ 気休めばかり言う
会いに来た 妻の睫の 重い雪
沸点の 違う夫と 月を見る
正直に 生きるしかない 藁の馬
雪光る いつかは消え行くために
最初から 痛い部分を 触られる
少しずつ 鬼に心を 盗まれる
どん底で 風の音にも しがみつく
告白をして 光りだすガラス玉
笑いあう 相手欲しくて 木を揺する
クレヨンの空は 平和な色にする
入れ歯から こぼれる嘘は 許される
ポケットの底で 昨日を持ち歩く
完璧な 貨車を演じる 父の背な
通じなくなった 私の変化球
記憶喪失 散骨葬で 良い私
次の世を 妻と語って 笑いあう
銃口の 無効に平和 見えますか
狙われるために 貴方の前にいる
◆平成24年◆
川柳 「笑顔」
夫婦岩 注連縄と言う 距離にいる
貧富の差 など作らない 白い雪
雪国の ロマン育てる 掘りコタツ
餅を焼く 部屋の空気を 膨らまし
胸の雪 溶かしてくれる 人と会う
不況風 財布が寒い 咳をする
馬車馬の 父に容赦の無い 吹雪
ふるさとの 民話は雪に 育てられ
職の無い 猫はコタツで 丸くなる
ふるさとの 道へ曲がって行く 背骨
カーテンの 向こうの春に 憧れる
時差ぼけの 夫婦の首が 風呂に浮く
傷つきやすい 女は クール宅配便
花の咲く 道で心の トゲを抜く
何事も 無かったように 畳む傘
お守りに 妻の笑顔を 入れて置く
愛なんて 知らぬ桜は まだ蕾(つぼみ)
お茶席の マナーを膝に 教え込む
知恵の輪が 解けたら愛を くれますか
一服の お茶に笑顔が 添えてある
この辺で 見える筈なの 五連峰
つぼ足に 続けと今日も 山男
ラッセルを 思えばこの身の 頼りなさ
シュンシュンと 鉄瓶の湯も 春を待つ
軒下で 滴を受けて 春を知る
何本目 にらむ女房の 目が怖い
体重は 春が来れば 減ると言う
カーベルの 音が呼んでる 喫茶店
杖の音 頼りにならぬ 冬の道
【2012年2月1日 投稿】 氷見支部 タンポホの会 ☆★ 湊 繁治
夫婦岩 注連縄と言う 距離にいる
貧富の差 など作らない 白い雪
餅を焼く 部屋の空気を 膨らまし
胸の雪 溶かしてくれる 人と会う
不況風 財布が寒い 咳をする
ふるさとの 民話は雪に 育てられ
職の無い 猫はコタツで 丸くなる
ふるさとの 道へ曲がって行く 背骨
カーテンの 向こうの春に 憧れる
時差ぼけの 夫婦の首が 風呂に浮く
傷つきやすい 女はクール 宅配便
花の咲く 道で心の トゲを抜く
お守りに 妻の笑顔を 入れて置く
☆★ 禅野 恵子
八重桜 さみしい心 慰める
議員数 いつ減らすのか マニフェスト
ドア越しに 聴くささやきが 気にかかる
彼からの コール遅しと 痛む胸
さみしいの 貴方の腕で 抱きしめて
食卓を カラフルにする 春野菜
キーホルダー ペアで持ってる 熱い仲
弱くとも 捻りを入れると 強くなる
難問で ここが手腕の 見せ所
☆★ 堂田 ちえ実
パソコンが 操る世界 富動く
マネキンの 着る服なぜか 高く見え
高級の 文字がまどわす 胸のうち
岩のよな 父のガンコも 丸くなる
聞く耳が とろけまどろむ コタツ番
いくつもの 山坂越えて 来た夫婦
形より 舌は味見て オコゼ褒め
戦国の お城今では 憩いの場
高台の お城を囲む ビルの山
夏山の 出水うるおす ハイキング
ゴクリ飲む 水に感謝の 猛暑の日
復活に 願いをかけた 千羽鶴
☆★ 川堰 善正
願い事 ひとつに絞り 初詣
流される ことも覚えた 処世術
普段着の ままで手合わす 初詣
子や孫に 残しおきたい 道しるべ
通学路だけ 降らないでくれ 吹雪
節約が 昭和の暮らし 連れて来る
氷点下 春の寝床が 離さない
三歳児 文字は読めぬが 空気読む
玄関に 疑い深い ドアがある
補聴器の 中へウグイス 春を告げ
防衛を 他国任せの 弱い国
花見酒 皆主役の 貌でいる
老いの酒 昭和の歌が 良く似合う
◆平成23年◆
【2011年10月23日 投稿】 ☆★ 前川与四知(まえかわ よしとも)
当選後 後援会の 怖さ知り
正直に 生きて世間に 馬鹿にされ
人柄に 問題も無く 嫁も無く
リストラで 不要家族と ののしられ
口車 乗って懐 火の車
教育費 出世払いの 空手形
我思う 気遣いよりも 小遣いを
独り身に そっと連れ添う 影法師
政局を 政策よりも 優先し
改革は 国民だけの ダイエット?
庇い合い 立場変わりて けなし合い
退職を 待たずに来るは 妻の愚痴
退職で 窮屈は消え 退屈に
膏薬の 香りただよう 湯治宿
もみ療治 音が聞こえる 迎え部屋
セロトニン 頭をやこく しておくれ
笑い声 癌の薬に なるという
君恋ゆう いで湯の里に カジカ鳴く
古里の いで湯の香り 粉になり
あのころの 話ができる 妻がいる
男なら うまくだまされ 夢をみる
焼き芋の おやじの声で 秋を知る
ダイエット 言い訳うまい 芋ねえちゃん
山行歌(月の砂漠のメロディーを思い浮かべて作る)
①君の声を頼りつつ 行こうこの山この谷を 何を恐れる恐れるものか 山はおいらの友達よ
②鈴の音のザイル持てば 君の背中に夢がある 行こうよ行こうよあの山越えて こだま呼ぶ呼ぶあの峰へ
③君の眠るこの谷を 今日も風が渡り来る 行こうよ行こうよあの峰めざし 君の心の山へ行こうよ
越中八尾 風の盆にて
とき過ぎて 若き姿の君を見る 心ときめく おわらの調べに
風の盆 名残の蛍 おわら舞う
風吹けば 一夜限りの しゃみが泣く
豊年の 願いをこめる 風の盆
三つ星山の会、志賀高原にて
君の声 頼りて歩む信濃路の 蛍火浮かぶ 淡き心に
1 音の風景
一諾一否 風から貰う 白い杖
虹の橋 渡るつもりの 杖を買う
妻が居て 菜の花色の 闇になる
グーチョキパー 夫婦の疑問 まだ続く
赤い糸 きっと枕に詰めてある
企みが 見抜けず傘の骨になる
午後6時 妻の時間が 煮えてくる
諦めて 諦めて聴く 風の音
交差路で 箱舟を待つ 白い杖
伸びきった 輪ゴムの中にいる 夫婦
明日あるを 信じて回る 夫婦こま
音だけの 風景がある白い杖
2 盲夫婦
味噌汁に 溶け出している 妻の愚痴
網膜の カラスが朝を 告げに来る
眼底の 魔女が今夜も 眠らせぬ
薬包紙 折ると悲しい 鶴になる
つかの間の 愛しか知らぬ シャボン玉
昨日は昨日 夫婦のパンが 焼けてくる
先人の 知恵が石橋叩かせる
二枚目の 舌は吹雪を恐れない
女ある日 火種に切って 貼ってくる
綾取りの 形で睦みあう 夫婦
約束を 一番先にする 小指
ニアミスは 何度もあった 盲夫婦
3 キャラメル
花冷えの 指暖める 妻が居る
掃除する 妻は飛べない 鳩だろう
天よ神よ 指に光を くれないか
厳冬の 文字でつづった 闘病記
マナ裏の 闇をからすが 支配する
二度三度 手術を重ね 木偶になる
幸せの 仕上げに買った シクラメン
諦める ために仏の 知恵を借り
8月の 町を漫画にしてならぬ
蜃気楼か 二重に見える 妻の貌
眼を病んで 指が瞳になって来る
キャラメルを 妻から貰う 日曜日
4 一切れのパン
網膜の 雪は邪念も無く 積もる
愛の字の 形で眠る 盲夫婦
幸せが 逃げないように ラップする
喉仏 ビールの泡の 乱に会う
座布団の 上で平和な膝頭
眼を洗い 新たな闇を手に入れる
赤血球 小さな嘘を 運び終え
洗濯機 夫婦の罪を 軽くする
会う事に 少し疲れた ティーカップ
素晴らしい闇 金木犀がくれる
胃袋の 形で鍋が煮えてくる
一切れの パンに男が 縛られる
気がつけば ヒアシンスの香 ただよいぬ
はつ夏の 電車に子らの 揺り遊び
ちさき手の 誘導ありし 若葉雨
尾道にて2句
盛五月 自転車も乗る 渡し船
坂の上 もろもろの音 風薫る
【2011年3月26日 投稿】 ☆★ 湊 繁治 「一輪挿しの妻」
①樹海の闇
100万ドルの 妻の笑顔と 空の旅
お守りに 入れて置きたい 妻の笑み
納豆の 糸では貴方 縛れない
闇と言う 樹海に妻と 言う味方
貴方を許す 少し緩めのある パジャマ
喜怒哀楽 妻は涙を 切り刻む
ボケの花 僕の右脳に 咲き始め
焚き火跡 残る夫婦の 丸い背な
妻が居て 菜の花色の 闇になる
青空が 進めと旗を 振っている
②日傘 雨傘
練りわさびの 妻の意見が 胸を刺す
伸びきった 輪ゴムの中にいる 夫婦
花の図鑑に 載せて置きたい 妻といる
掃除機が 俺の領土を 攻めてくる
日傘雨傘 私のために 開く妻
徳利が 阿吽の位置に 置いてある
四面楚歌 妻がリリーフカーで来る
積乱雲 沸く日もあった 夫婦箸
飛びたくて 背に付けて見る 赤い羽根
錆び止めを 塗っては夫婦 繰り返す
元日や 訃報の知らせ 茫然と
安らかに 眠りし主の 冷えし頬
アミラーゼ 服用しつつ 雑煮食う
七草を 数えつ 今朝も 粥うまし
さすが大寒 鍋囲む 夕げかな
隣家から しじまを破る 屋根の雪
立春や ピッコロがごと 小鳥来る
トタン屋根 雪消(ゆきげ)がたたく ブルースで
トタン屋根 時々つらら ドラム打ち
ピッコロか フルートがごと 春小鳥
雨垂れの 奏でしメロディー 孫の春
◆平成22年◆
冴え返る 人差指や 点字読む
本尊に 身の上話し 亀鳴きけり
参道の マイナスイオン 夏木立
本堂に 神無月 コンサートかな
オカリナの 一音シャープ 秋惜しむ
圧巻は 大河ドラマの 菊人形
虫の音に 包まれし宿 露天風呂
パソコンに 向かいし他は 寝正月
大半は 母手作りの おせちかな
駅前の シャッター通り クリスマス
【2010年9月17日 投稿】 ☆★ 禅野恵子 「キーホルダー」 氷見市 鞍川
どの党も 金の匂いに 惑わされ
信号機 私の足を 押しとどめ
キーホルダー 二人で持ってる 熱い仲
なって見て 初めてわかる 弱者の身
ボツになる ノートもやがて 呆け防止
春うらら 花が私を 呼びに来る
議員の数 いつ減らすのか マニフェスト
これほどに しても判らぬ 愛の糸
あんたなら ペットになりたい私です
初対面 心のキーが 外せない
来客に 笑顔振りまく ドアガール
今書いた レター電波で やって来る
ときめきが チョコの売り場へ 急がせる
党増えて 国の行く末 霧の中
人類が 地球のマナー 忘れ去り
彼女来て 部屋の空気を 変えて行く
口車 乗っては見たが 気が重い
弱そうな 妻どんどんと 強くなり
ポスターが 手招きしてる 旅の空
父の肩 山坂超えて 丸くなり
広々と 乗客一人 過疎のバス
花びらに 呼びかけられて 肩を貸し
ストレスを 町の酒場へ 捨てに行く
へそくりの チェックがうまい 妻の鼻
夜明け前 早朝出勤 してる鳥
【2010年9月14日 投稿】 ☆★ 湊 繁治 「脳は砂漠」
握手する右手が出ない自尊心
皿一枚割れば気が済む妻の愚痴
声のする方に向いてる金魚鉢
骨壷の音は五欲を捨てた音
不倫した事がばれそうレントゲン
言い切ってしまうとにわか雨になる
綱渡り済んだ女といる安堵
チョコレート貰って男発芽する
夫婦独楽上がりばかりの坂にいる
人間の欲には底が見当たらぬ
木を下りた猿が欲しがる回り椅子
ジャムになる までは気取っていた 苺 コンビニの傘では愛が語れない
核家族増えて昔が伝わらぬ
極楽はここかも知れぬ露天風呂
逢いに行く顔ラブレターになっている
十字架を背負う女に手が出せず
血が逆に流れて不倫してしまう
人の上に人を作ったのが諭吉
年の功語尾を濁してばかりいる
豊かさを支える膝が痛み出す
キリギリス僕の財布の中で鳴く
夢があるうちに電池を取り替える
自問自答汚れた綿を打ち直す
シュレッダー一瞬の間に過去となり
堂々と攻めるあんたは妻ですか
輪の中に入り損ねた竹とんぼ
金銀の鶴を折っても紙である
自己暗示かけて別れた人と会う
飾るもの捨てた女の美しさ
イカを干す謎が解けないまま乾く
ねずみ算の話に砂糖塗ってある
ドジ踏んだ私一人が生き残る
幸せを少し冷凍保存する
夏暖簾 それぞれの日々 語りゆく
片陰を 探して歩く ポストまで
登山靴 オカリナの音へ 引き返す
熊蝉を 聞きたくて練る 旅プラン
覗き見る 世界へ続く 海涼し
(横浜連絡船の甲板にて)
ボランティアの やわらかき手に 導かれ 上海便の 離陸見守る
童心にたちまち戻る麦の秋
父の日や 吾子それぞれの 友といて
母の日の 吾子の手作り 夕げがな
父の忌に 初なりきゅうり 供えけり
父の忌の 香りましたる 百合の花
今年また 鈴虫生まる 父の忌に
見へし日の 蛍の放つ 光あり
地球儀の 避暑地巡りて よもすがら
我盲しい 色見へるかぎ トマトもぐ
子らの輪に すぐ馴染みたる 麦の秋
強風の富山空港から羽田を経て秋田に到着。日盲連全国大会に参加した時の句です。
春嵐 気を縮めいて 離陸待つ
エンジンを 吹かせど離陸 まだらしい
春嵐 羽田空港 なお強し
乗り換えの 風音機音 胸の音
降立ちて 胸撫で下ろす 初夏の風
出羽の初夏 やっと咲きおり 春の花
菜の花や 七竈の花 五月晴れ
(東海林 太郎像の前にて)
銅像の 口に泣くなと 励まされ
(男鹿市にて)
なまはげの 蓑(みの)に五月の 日の温し
戸を床を 鳴らして幸呼ぶ 厄を取る
(入道岬にて)
鳶の舞う 入道崎の 灯台に
展望に 立てば鳶鳴く 鴎鳴く
四方海 寄せ来る波の 塩音かな
夏草を 踏めば頭上に 羽音して
右左 岩打つ波の しぶきかな
(横手市にて)
初夏なれど かまくらの中 ふるえけり
外は夏 かまくらの中 小正月
【2010年4月1日 ホームページ開設の投稿】 ☆★ あめふらし
開きたるホームページと桜かな
背戸裏の磯部桜も祝いたる
黄帽子が池を覗くや鹿威し
ねぇ かあちゃん なぜお月さまは 後からついて来るの ねぇ かあちゃん (私の5才頃の、懐かしい思い出です。)
雨音で 葉桜を知る 散歩道。
大いちご 触れば山の 二つ三つ。
雲垂るる(たるる) 今年も時の 花火上ぐ(あぐ)。
葉の2枚 それぞれに住む カタツムリ。
屋根を打つ 窓に弾ける 虎が雨。
ほしあみを、ぬらしてしゅうう、においけり。
もやいたる ふねゆるがすや あきのなみ。
もやいぶね揺らして秋の波立ちぬ。
栗ご飯湯気の向こうに大笑顔(おおえがお)
落葉(らくよう)の柿木一本夕映えて。
ふるきとも、あたらしきとも、がじょうかく。
ゆきぼうしの山、ゆうばえにりんとして。
点字読む指先匂うゆず湯かな。
良きことも、悪しきも、とかす除夜の鐘。
神子原の米で七草粥賜(たま)う。
立春や、雪尺をこえ、ものおもく。
ゲットだぜ、バレンタインの、チョコひとつ。
記録より、日の丸の数、冬五輪。
遠き日も近き日もあり我がやよい。
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